Chapter12 〜葛藤〜
その頃、玲は彼等の苦戦を感じながら、退屈を持て余していた。
狛村の頭の上で。
「瑞稀…何をしておるのだ…」
そうは言いながらも拒絶する事は出来ない忠犬。
彼は溜息交じりにゆっくりとその場に座った。
「癒されてるの」
「…左様か」
もふもふと狛村の毛並みを撫でる玲。
大きさ的に、丁度耳の間に身体が埋まってしまう彼女に恐らく他意は無い。
が、それを見ていた死神達には、衝撃が強過ぎた様だった。
「う…七緒ちゃん。僕今ショックで死にそうだよ…」
「隊長!しっかりしてください!」
がくりと膝を付く京楽と、その肩を揺する七緒。
「あれ、可笑しいなぁ…病気、治ったはずなんだが…ごほごほっ」
「あらあら、浮竹さん。落ち着いてくださいな」
ちゃんと治ってますよ、と浮竹を宥める卯ノ花。
「瑞稀。何やら隊長達がダメージを受けておる様だが…」
「何でだろうね?」
不思議そうに首を傾げる玲は、何故彼らが膝を付いているのか分かっていないのだから、タチが悪い。
更に轟っと風が渦巻いて、向こう側と隔てていた結界が割れる。
其処から凄まじい殺気を感じた狛村が、慌てて玲を降ろそうとするも、琥珀の瞳が彼等を映すと、それも直様霧散する。
「あ、冬獅郎、白哉終わったの?」
大きな溜息を吐き出した二人は、黙って頷く事で肯定を示したのだった。
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