Chapter2 〜天賦〜





控えめに扉を叩く音で、落ちかけていた意識が覚醒する。

時計を見ると、午前零時。

誰だ?こんな時間に。

霊圧を探ると、微かな、玲の霊圧。

慌てて扉を開くと、彼奴が申し訳なさそうに立っていた。


「…どうした?」


問うてみても、玲は何かを耐えるように目を逸らすだけ。


「…取り敢えず入れ」


隊舎の廊下は目立つ。

玲みたいな綺麗過ぎる女が歩いていれば尚のこと。

入れたは良いが、どう扱っていいのか分からずに、玲を観察する。

適当に椅子に座った玲は、さっきよりは落ち着いているように見えた。

「玲?」


「うん?」


「どうした?」


再び問うと、彼女は胸の前できゅっと手を握った。


「…眠れなくて」


「それで俺の部屋に来たのか?」


「迷惑…だったら、帰るよ」


瞳を揺らす玲は、何処と無く不安定だった。


「此処を出て何処へ行く?」


部屋には帰らないだろうと思った。

今の此奴は、多分、自分の感情に戸惑っている。


「白哉のとこ…」


玲が最後まで言葉を紡ぐ前に、抱き締めていた。

行かせたくなかったから。


「ここで寝ろ」


「いいの?」


至近距離で見上げられると、理性が切れそうになる。

それをなんとか押し留めて、濡羽色の髪を撫でた。


「寂しいんだろ?」


「…うん」


一人になって、此処まで不安定になるのなら、昨夜は彼奴と寝たか。

じゃなきゃ辻褄が合わねぇな。

導き出した答えに苛立ちながらも、玲に悟られないように、無理矢理鎮める。


「冬獅郎?」


不思議そうに此方を見上げる此奴は、思ったより勘が鋭い。


「なんでもねぇよ。ほら、寝るぞ」


玲を解放して、ベッドに戻ると、後ろを大人しく付いてくる。

端に寄って寝転べば、すぐ側に擦り寄ってきて、俺は華奢な身体をまた抱き締めた。



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