Chapter15 〜胎動〜

「保持時間、伸びた?」
少しまともに話せそうな矢胴丸に問うと、彼女は呆れ顔で首を振る。
「全然あかん。才能無いんやない?」
「ホンマにな。カスや、チンカスや」
ひよ里の暴言に、遠くの一護が一瞬で飛んできて叫び出す。
「煩ぇな!これでも必死にやってんだよ!」
「あーそうか!ほな更にカスや、塵や!死んでまえ!」
「んだとぉ?!」
喧嘩を始めた猿柿と一護を一瞥してから、矢胴丸に視線を戻す。
「制御、その様子じゃ出来たみたいね」
「あぁ、取り敢えず全員終わったわ。ひよ里と白がえらいストレス溜めとったけどな」
「あら、あの子も…「ていやぁ!!」」
横から飛んできた膝蹴りを交わして、小さく溜息。
「まだまだなんだからねっ!白の怒りは〜!」
叫びながら再び向かってくる久南を、灰色の短髪にタンクトップの六車拳西が止めてくれる。
「おい、白やめろ。お陰で強くなっただろうが。恩人に殴りかかるもんじゃねぇ」
「何よぉ!拳西あの子の肩持つの?!酷い!ウザい!やっぱり殺す!」
「止めろって言ってるだろ!ローズ、手伝え!」
「はいはい、騒がしいねぇ、本当に」
ローズと呼ばれた長いウェーブのかかった金髪にハードロック風の…綾瀬川を彷彿させる雰囲気の男、鳳橋楼十郎がやれやれと暴れる白を抑えにかかる。
「…うん、騒がしいねぇ…」
「それよりよ。この上がった霊圧、ちっと抑えらんねぇのか?日常生活送るには不便だぜ」
ひょっこり現れた、サングラスにアフロヘアーの愛川羅武が、ブレスレットを指しながら眉を下げる。
「うん、元々それに封印機能付け足すために来たから。貸して?」
愛川から制御装置を受け取って、それに霊力封印と演算機能を書き足して、返す。
「お、この封印率とか言うのを上げりゃあ良いのか?」
「うん、念じれば上がるから。それと、この修行、続きあるんだけどどうする?」
「へぇ、今度はどんな修行なん?」
矢胴丸の制御装置にも書き足して、手渡す。
「霊力を効率よく扱う練習、かな」
「効率…?何するんだ?」
眉を寄せる愛川に、少し離れた岩山を指す。
「何でもいいから、彼処に鬼道撃ってみて」
「げっ、嫌だぜ、今更死神の術なんてよ」
「それよか、あんた何で私らが鬼道撃てるん知っとんの?」
怪訝そうな矢胴丸に、そう言えば説明して無かったなと、思い出す。
「私が神様だから」
「今冗談言うとこちゃうで」
「本当なんだけど…まぁ信じる信じないはこの際置いておいて。
私はこの世界で起きた事象は全て情報として知ってる。
貴方達が昔どういう立場の人間だったのかも、何が起こって今ここに居るのかも。
名前も能力も限界霊力も。総て」
告げると、案の定頭可笑しいんじゃ無いかとか、気味が悪いとでも言いたげな目で見られたけれど。
「まぁ、それは置いておいて。虚閃だと消耗が激し過ぎるから訓練にならないのよね」
「…あんたが言うてることがほんまやとして。その神様が私らに手を貸すんはなんでや」
「藍染惣右介がしようとしてることは世界への冒涜と同義。
それを止めるに当たって、どうせなら関係者全員を救いたい。
本当なら藍染惣右介を殺すだけなら、今すぐにでも出来る。
崩玉を破壊すれば、歪みも戻せる。
でもそれじゃ、貴方達の恨みは晴れないし、誤解も解けない。
本当は、嫌いじゃ無いでしょう?尸魂界も、死神も」
矢胴丸も愛川も、何も言わない。
ただ、難しい顔をして、視線を下に落としている。
「無理にとは、言わないけどね」
そう言い置いて、私は他の仮面の軍勢達のブレスレットに触れていく。
一護の制御装置にも霊力封印と演算機能を書き足すと、演算機能の数値の説明と、修行方法を一つの珠に吹き込んで、有昭田に渡した。
序でに、鬼道演習用の的と、阻害結界を張って、修行出来る場所を作る。
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