Chapter5 〜遊戯〜

精霊邸中央付近。
元流斎は、紛れも無く玲と対峙していた。
「あれ、お爺ちゃん出てきちゃったの」
「世間知らずの小娘には、仕置きが必要じゃろうて」
怒りモードの元流斎の霊圧に苦笑して、玲は少し気を張り直す。
迷いも無く流刃若火を抜き放つ元流斎に少し嫌な予感を感じて玲は問う。
「ねぇお爺ちゃん。幾ら何でも遊びでそこまでやらないよね?」
「遊びじゃと?この惨状を見てか?儂はそこまで甘くは無いぞ」
「あはは。…流石に天照顕現させなきゃ厳しいかなぁ…」
空笑を見せた玲は、思考を同期させている他の創造体に避難指示を出した。
序でに、天照の能力は暫く使えないだろう事も。
「お主の斬魄刀、見せてもらうぞ。卍解、残火の太刀”東”旭日刃」
発動と同時に天相従臨によって灼熱地獄と化した周囲に、玲は呼吸を止める。
大気中の水分が全て蒸発し、息をするだけで喉に焼ける様な痛みが走るからだ。
「こほ…天照顕現せよ。流水系に属性固定」
虹色の光が玲の手元に集まると、七色に移ろう刀の形を形成する。
そして、それは青い光で色を固定し、周囲に膨大な質量を持つ水流を創り出した。
流刃若火の天相従臨に反発し、空を厚い雲が覆う。
熱に蒸発させられながらも、雨を降らし始めた空は、斑らに青と黒が入り混じっていた。
「ほう、それが天照か」
「お爺ちゃん、被害拡大したらどうするのよ」
「何とかするのじゃろう?」
「わぁ、鬼畜」
人任せな元流斎に呆れ、青く輝く天照を振るう。
太刀筋から溢れた水流が、巨大な狼の形を成して元流斎に襲い掛かった。
「その水はお主の霊圧が成す技か?」
水狼を灼熱の刃で斬り裂いて、彼は問う。
この程度じゃ当然かと、息を零しながら玲は答えた。
「天照の力は創造。水も炎も雷も。彼女にとっては創造物よ」
「つまり、それも創造の産物か。ならば此奴の領域内で対極の力も使い得る」
納得した様に頷いた元流斎は、その目をすっと開いた。
「じゃが、此奴の切れ味に耐え切れるかのぉ」
「子が親を斬るにはまだ早いわね」
「戯言を」
瞬間、灼熱と水流がぶつかり合った。
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