Chapter7 〜奇蹟〜





霊圧制御を終え、躍起になっている他の隊長格を他人事の様に眺めながら、お茶を飲んでいた白哉は、玲の霊圧が異常に弱くなったことに気付いて立ち上がった。


「っ…玲?!」


同じく気付いた冬獅郎を手で制し、告げる。


「後少しだろう。終わらせておけ」


恐らくもうすぐ制御を終えるだろう彼を止めて、足早に彼女の霊圧を辿る。

ともすれば今にも消えてしまいそうな、弱々しい霊圧を。


見つけた時、玲は壁に寄り掛かって息を整えていた。


「玲」


呼びかけると、何時もとは違う何処と無く焦点の合わない瞳が白哉を見る。


「…びゃく、や…?」


「どうした」


「っ…霊力、使い過ぎ…かな…」


苦しそうに息をする玲を抱きとめて、背中を摩る。


「何か出来ることはあるか」


「…は、霊力、同調…出来る?」


「送ればよいか」


こくと頷いた玲に白哉は口付けた。

この方が同調しやすい上に無駄が無いから。

やましい事など、考えていなかった。

しかし、玲が舌を絡めて来た事に、一瞬思考が止まる。

恐らく、枯渇寸前になって渇きを癒そうとする本能だろうと、必死に理性を働かせて。

それでも、つっと口から零れる唾液と、こくりとそれを飲み込む彼女に、欲を煽られない筈もなく。

どうにか安定してきた玲の霊圧を感じ取って、これ以上は理性が持たないと彼女を引き離した。


「っう…ごめ…なさ…」


謝る玲の瞳が、少し力を取り戻していて、白哉は無意識に肩の力を抜く。


「構わぬ」


彼女の口元を拭って、髪を梳いてやると、安心した様に目を閉じた。

が、このまま寝かせられる所に運ぶのは良いが、自分を抑えきれる自信は無い。

そこへ丁度、冷気を纏う霊圧が近づいて来るのを感じて、息を吐いた。

孕むのは安堵か、それとも呆れか。


「朽木。玲は…」


「取り敢えず今は安定している。元の部屋へ連れて行け」


玲を預けると、彼は意外そうに白哉を見る。


「どういうつもりだ?」


「枯渇寸前の魂魄に直接霊力を送る法。少し考えれば分かるであろう」


告げると、不快そうに寄せられる眉間の皺。

しかし、白哉とて預けたくて預けるわけでは無い。


「不服なら、私が運ぶが」


冬獅郎は何か言いたそうに口を開いたが、結局何も言わずに踵を返した。


「私も休むか…」


ご丁寧に扉に下げられたプレートを見て苦笑を浮かべ。

白哉は、凡そ半分に削られた自分の霊力を戻す為に、自分の名が下げられた部屋へと足を向けた。


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