銀灰の狂愛




「僕は君を壊しとぉてしゃあないんや」


愛おしげな声音で囁かれる。

もうとっくに壊れているのに。

貴方以外見えてなんて居ないのに。


貴方は今夜も、壊れ物を扱うかの様に、私に触れる。

表情の読めない、仮面の様な笑顔を貼り付けて。


「でも此れで仕舞い。僕はもう、君なんか要らへんよ」


突き放す様な言葉。

それは、確実に壊れ掛かっていた私の心を、粉々に打ち砕いた。


去り際に彼がどんな瞳を私に向けていたかなんて、分からなかった。


只、存在を否定された私は、何もかも、分からなくなっていたから。



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