銀灰の狂愛

翌日、九番隊の執務室でぼんやりしながらも、機械の様に筆を走らせていると。
くすくすと女性死神達の笑い声が耳に付いた。
「市丸隊長、彼女振ったんだって」
「え、そうなの?いい気味ね」
「ちょっと隊長に気に掛けて貰えるからって調子に乗ってたんだよ、きっと」
何時もなら気にも留めない嫌味が、酷く心に刺さる。
調子になんて、乗ってない。
私は何時だって必死であの瞳に映ろうとして。
届かない声を張り上げて、気付いてもらおうとしてた。
正直に言えば、鬱陶しかったのかもしれない。
何かと理由を付けて、三番隊の彼に会いに行く私が。
隊主室に居なければ、消し去った筈の霊圧すら辿って、探しに行った私が。
不意に強烈な吐き気に襲われて、がたんと席を立つ。
けれど、同時に酷い目眩がして、結局私はその場で身体の不調を堪えるしか無かった。
吐いたって、何も食べてない胃袋から出てくるのは胃液だけだろうけれど。
ぐるぐると世界が回る様な不快感と吐き気を必死に耐えていると、遠くから声が聞こえた。
「おい、瑞稀、大丈夫か?!って、大丈夫な訳ねぇな」
その声の主すら分からず、言葉も上手く聞き取れないまま、私は意識を手放した。
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