ハロウィンの悪戯





「馬鹿が。霊力使えないお前が、瞬歩使える俺らから逃げられる訳ねぇだろ」


「ふぁっ」


瞬歩で現れた冬獅郎に対応し切れずに、彼の胸にぶつかって蹌踉めく。


「っ〜」


大人気ないと訴える様に彼を睨むと、呆れた様な溜息と共に身体を抱え上げられた。


「冬獅郎?」


「直に松本が追い付く。それに、この事を知ってるのは隊長格全員だ」


その事にさっと青褪める。

というか、そんなに恨みを買った覚えなんて無いんだけれど。

私いつの間にか、そんなに嫌われてたんだろうか。

しゅんと落ち込んでいると、瞬歩で運んでくれていた冬獅郎が小さく溜息を吐いた。


「何を勘違いしてんのか知らねぇが、少なくとも男共が狙ってんのはこういう事だ」


すとんと建物の陰に降り立ったかと思うと、壁に追いやられて口付けられる。

呼吸する暇もない、深くて長い口付け。

唇が離れると、つっと唾液が糸を引いて、恥ずかしくて目を逸らす。

でも、こんな事、よく知りもしない人と何て絶対嫌だ。

怖くて震えが止まらなくなる。


「心配すんな。俺の悪戯は終わりだ。後は、守ってやるよ」


そんな事したら、意味無いんじゃないのか、そう思って首を傾げる。


「…如何して?」


「俺が嫌だからだ」


何処と無く自棄気味にそう告げて。

また、私を抱えて瞬歩で駆け出した。


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