きっかけは至極単純だった気がする。

「人捜し、ですか。」

舞い込んできた依頼に、僕は宛てがわれることになった。国木田さんが危険になったら直ぐに連絡しろ、そう言っていた気がする。

「私もついていくよ!」

そう言った太宰さんは、国木田さんが持ってきた別の仕事に引っ張られていった。鏡花ちゃんが代わりについてきてくれた。


「あの人……!!」

鏡花ちゃんが声を上げた。見てみれば、捜索願いの人だった。行こう、僕らはそう言って走りだす。角を曲がった。僕らも、角を曲がれば道は二手に別れていた。

「二手にわかれよっか。なにかあったら連絡して」

僕らは二手に別れた。真っすぐを鏡花ちゃん。右折が僕。だが、それが駄目だったのかもしれない。



背後から現れた気配に、僕は振り返る間もなく後頭部を殴られた。脳内が回り、足元がおぼつき倒れこんだ。結構強く殴られたらしい。

「まさか、探偵社がついてきているとはな。」

顔をなんとか上げれば、捜索願いの人。どうやら、殴った人とグルらしい。

_太宰、さんに連絡しなければ。

携帯電話を出す手を踏み躙られる。携帯は取られ、叩きつけられた。

「生きて返すわけにはいかない。だが、殺すのも勘弁だ。」

だからな。

__過去へと行け

そう聞こえたかとおもえば、異能力らしき光が見えた。

「…だざ、いさ…」

僕の姿は次の瞬間消えた。


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