目を開ければ、先程とは違う場所だと判断した。ゆっくりと起き上がる。まだ痛む頭に、現実であることを実感させられる。

_ここは、どこだ。

僕は、当たりを見回すと見覚えがある。どうやら、ヨコハマなのはヨコハマらしい。だが、所々見覚えない場所もある。とりあえず、人目のつかないところへと移動しよう。ここでは、人目が付きすぎる。とにかく、人目のつかない――。

「お姉さん!私と心中しない?」

そんな声に、僕は驚いて固まった。まず、僕は女じゃない。それだけは心の中でつっこめた。おそるおそる振り返ってみれば、見覚えがある。だが、いつも着ている砂色の外陰ではなくほぼ黒という格好だ。

でも、太宰さんだった。

「…えーっと…」

僕が、男ですけど。そう言う前に、連れの人なのだろうか。その人が太宰さんに男だと言ってくれた。ありがとうございます。太宰さんは、ショックで固まった。

「…すいません。彼も悪気はなかったので」

僕は、大丈夫だとつたえるとその場を離れる。なんか後ろで聞こえてたけど気にしないでおこう。

とりあえず、これからどうしよう。


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