_

過去へと来て数日。給料日直後だったからか、まだなんとか過ごせた。宿賃は流石に出せないので野宿だが。

「…うう…困ったなあ…」

過去の探偵社にはいけない。まず、僕のことを知らないだろう。かといって、孤児院にもいけない。どうしたものか。僕は肩を竦め、ため息をついた。

「やあ。なにか困っているようだね」

僕の前には、黒―昔の太宰さんが見えた。未来の上司である彼だが、色々と違うようだ。なんか、こう―。

「だ、…この前の、」

太宰さんと言い掛けたのを止める。危なかった。今はまだ彼は知らないのだ。彼は少々訝しんだが、直ぐに笑みを浮かべた。

「この間はすまないね。なにしろ、とても綺麗だったから。」

そう言われ、頬を触られる。それが、ぼくの知っている太宰さんと重なった。少々潤んでしまいそうだったが、堪える。

「…どうしたんだい?」

顔を覗きこまれる。僕は、慌てて手を振り笑みを浮かべた。そうだ、必ず帰れる。大丈夫。必ず、必ず。

「なんでもないです。それで、僕に何か用ですか?」

太宰さんは、笑みを浮かべると僕の手を取った。

「デヱトしようよ」

そう言って。


ALICE+