::マクギリスとは彼が養子になる前からの幼馴染
::一緒に引き取られる(養女ではない。後見人と被後見人の間柄)
::ラスタル様ロリコン説(手を出すのは成人してから)
ヴィーンゴールヴの一角で、初めて少女を見た。
噂には聞いていた、イズナリオ・ファリドが引き取ったというもう一人の子供。
晴れた空の下、ベンチに座り、ファリド家の養子と共に紙でできた本を読んでいた。
つと、こちらを見た彼女と視線が交わる。
決して珍しくもない、アンバーの瞳。
だが、少し離れた距離でも分かる、きらきらと瞬いた星を閉じ込めたような琥珀色の双眸に、ラスタルは己でも気付かぬうちに惹かれていたのだ。
近づけばきっと、もっとよく見ることができるだろう。彼女の星を。
アリアンロッドの自室。
総司令官であるラスタルの自室は高級なホテルの一室のように広い。
戦艦であるため当然本物のスイートルームと比べれば狭いが、事務的な執務を行い、体を休めるだけの用途でしか使われないことを考えれば、十分な広さであった。
その部屋には今、部屋の持ち主であるラスタルと、件の女性――ファリド准将の幼馴染である、瞳と同じ髪色を持つ女が、彼の手によってベッドの上に押し倒されていた。
「なぜ、こんなことを…」
エリオン公と、か細く声を漏らす唇を己のそれで塞いでやる。
彼女にしてはたまったものではないだろう。何せ、大事な話があると――それも機密事項だと、そう言われてラスタルの部屋へと赴いたのだから。
サラは、マクギリスを追うようにギャラルホルンに入隊した。
イズナリオが後見役を務めることもあり、彼の口利きにて当初はマクギリスと同じ監査局に所属していたが、イズナリオの失脚とともにラスタルが統制局、ひいては己が総司令官を務める月外縁軌道統合艦隊へと引き抜いた。
今はラスタルの秘書官として、彼の側に控えている。
弱々しい抵抗はやがて止み、苦渋を映す琥珀の双眸がラスタルを見つめる。
彼女が逃れる術はない。
「…っ、なら、せめてシャワーだけでも」
「ならん」
サラの懇願をラスタルは一刀のもとに切り捨てる。
エリオン公と非難の声が聞こえたが、ラスタルには彼女の要求を聞いてやる気はなかった。
しかし、こんな時に”公”呼びとはいささか無粋である。
名前を呼べと命じれば、逡巡の後、震える唇がおずおずと”ラスタル様”と動いた。そう、かつてのように。
「思ったとおりだな」
右手で彼女の顔にかかる一筋の髪を横に流し、頬を包み込むように指を這わせる。
吐息が触れる距離で彼女の瞳を見れば、もう二十年近く前だろうか。
あの時、想像したとおり、彼女の星が良く見えた。