次は詐欺かな。手っ取り早く金が手に入る。いや、それも長くは続かないだろうし、継続的に金が手に入る方法…。
「パーティーとか…講演会…」
高い参加料を徴収してのパーティー形式の講演会とかはどうだろう。政治資金パーティー的なやつ。未だにそういうことはやっていないようなので、提案してみてもいいかもしれない。
メールで夏油に【ご提案があります】とだけ送信。案外すぐに返信がきて、会議室にくるように言われた。
夏油と寝てからというもの、体が重い。まるで何かに取り憑かれているような感覚。ていうか多分取り憑かれているのだろう。この間双子の子どもに指をさして笑われたし、秘書の女の人にも鼻で笑われたし、半裸のムキムキのオネェにはじーっと肩の上を見られていた。
夏油の仕業だろう。大方、私のことを見張っているのだと思った。
「で、提案とは?」
「講演会をしましょう」
「講演会?」
「猿に食事を楽しませながら、あなたのありがたい説法を聴く会です」
「私が、猿どものために、わざわざ…?」
怒気を含むその笑みに、ぞわぞわと鳥肌がたっていく。
しかし怯んではいけない。そしたら私はこいつにいい様に使われて、殺されるだけだ。
「定期的に開催すれば多額の資金を得ることができます。信者の満足度も増すでしょう」
ついでに聖水とか言って呪い込めた水でも売ればいいんじゃないですか。
と適当に言うと、これには案外食いついた。面白そうだね、と目を細めて、「段取りはきみに任せる」と言ってもらえた。
実の所、今のこの団体の資金繰りはどうしているんだろう。私は金を集めるだけで、そこまでは関与していない。
でも今そこで出しゃばるときっと失敗してしまう。まずはこの講演会を、成功させなければ。
「というわけで水に呪力込めるってどうすればいいんですか」
「なんで私に聞くワケよ?」
私が頼ったのはムキムキオネェのラルゥさん。
めちゃくちゃに嫌そうな顔をされているけど彼…いや、彼女?は一番私のことをなんとも思っていない気がする。なんとも思っていない、そこが重要だ。
「猿に売ろうと思うんです。できるだけ依存性があるように、なんか呪いでそういうのできないんですか?」
「呪いは万能ではないわ。個人によって術式も違う」
「縁もゆかりも無いのでそんなことは知りませんよ。できるかできないか聞いてるんです」
「……出来るとも言えるし、出来ないとも言える」
あなた本当に生意気ね。と本当に私のことを嫌そうに見てきたので、光栄です。とだけ言っておいた。
じゃあこの"家族"では無理ということか、覚せい剤でも溶かしていれたほうが現実的だろうか。と考えていると、背後からス、と小瓶が現れる。小さな液体が入っていて、瓶の中でユラユラ揺れている。
「……これ、大量に作れます?」
「造作もないよ」
そう簡単に言ってのける教祖様。私は彼からその小瓶を受け取ると、試しに自分で飲んでみた。
「あ」と小さく声が遠くで聞こえた。すごい、これはどんな薬物よりもやばそうだ。ぐわんぐわん揺れる視界で、体も言うことを聞かない。自分が立てているかももうよくわからない。ただ、何かにしがみついて体を預けているのだけはわかった。なんだろう、この酩酊しているような感覚。それと体がすごく熱くて、心臓がドキドキと痛いくらいに大きく脈打って苦しい。
そのまま酷く深い眠気に襲われて、目を瞑る。
後のことは、覚えていない。