その薄いデコルテの、背景が透けてしまいそうな白にふさりと黒が滑り落ちる。僕は瞼に射影機でも仕込んでいるみたいにそれを凝視め、瞬きを繰り返している。ぱしゃりぱしゃり。200mmのレンズの奥であなたが微笑する。



仗助くん、君は他人の評価にどれだけ重きを置く?



伏せがちな睫毛は作業台に向いたまま。彼女の質問はいつも脈絡がなく、然しその真意を追及するのは野暮だと、不思議に相手に感じさせる。



さァ、どうでしょうね。よくわかんねースけど、自分が正しいと思ってりゃ、関係ないんじゃないんスかね。




ぱしゃり。

眼差しの移動を僕のカメラは見逃さない。この人の振り向いた顔が、僕は、



「うん。屹度、そうだね。」




いっとう好きだ。



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