前の客が置いて行ったという本を読むと、私が死んだ後のことが書かれているようだ。
どうやら私は交通事故で死んだらしい。
両親や友達、職場の人も悲しんでくれているらしい。
なんてことない人生だったように思うけど、ほどほどに幸せだった。
自分でいうのもなんだが割と順調な人生を歩んでいたと思う。
心残りがあるとすれば夫のことかな。
もう私がなにかしてあげることはできないけれど、幸せになってほしい。
結婚できて幸せだった。
わがままを言えば私のことを忘れないでほしい。
彩花、守れなくてごめん
彩花と結婚できて、一緒に生活して一緒に未来について考えてとても幸せだった。
もっとしたいこと、行きたいところがあった。
彩花のいない人生なんて、意味がない…!
でもそんなこと言ったら怒るよな。
つらいけど、前を向くよ。
愛してるよ
気づいたら、泣いていた。ここは外だというのに恥ずかしい。
最後のページを見たら神よりってちゃっかり書いてあって微妙な気持ちになったが、作り話ではないのだろう。
見られていたら恥ずかしいな、早く顔どうにかしよう。
「これ、よろしければおつかいください」
『え…あ、すみません…いい大人が泣いてしまって…』
見られてた!恥ずかしい!!
どう言い訳しようかな…
「いいえ。感動するお話だったんですか?」
『いえ、もう会えない人からのお別れの言葉でした。
今までいたところからこちらに移ってきて、お別れを言えないままだったんです』
「そうなんですか…でも本でくれるなんてすごいですね!」
『本当に。私の宝物になりました』
私は意外と素直な人間だったようで嘘がつけなかった。
怪しい人だと思われてないといいけど。
「こちらに最近引っ越されたんですか?
『今日ついたところです。誰も知り合いがいなくて寂しくなっていたので声をかけてもらってうれしかったです』
「そうなんですね!よければお友達になりませんか?私榎本梓っていいます!」
『うれしい!竹中彩花といいます。よろしくお願いします、梓さん』
「よろしくお願いします、彩花さん!」
かわいい女の子の友達ゲット!
ただここはポアロだぞ…大丈夫だろうか…
とりあえず梓さんがかわいいからいいか!