ややグロテスクな表現があります
「……え"」
少女の腹部を貫くは燦爛たる装飾の成された黄金の剣。
剣を見つめたまま黙している梓を冷ややかに紅の眼で見下し、王は口を開く。
「その姿を形取れば我から情報を引き出せると考えたか。しかし所詮は雑種の浅知恵よ」
「な、にを言って…わたし、だよギ…ル」
「百歩譲って梓の姿を模すことは許してやる。だが……」
心の臓に新たな剣が穿たれ梓"だったもの"がいよいよ膝をついた。
長いプラチナブロンドの髪ががみるみる鈍み縮んでいく。それを目の当たりにしたギルガメッシュは宝物庫から三つ目の得物を取り出すとそれを女の首に宛がった。
「その名で呼ぶことを許されるのは我が雑種ただ一人。それ以外の俗物が膚浅に呼ぶでないわ、虫唾が走る」
ギルガメッシュの声が周囲に反響する。
血に汚れた宝物に小さく舌打ちを鳴らしながら死に際、女が漏らしていた言葉を思い出す。
「"なぜ変装していると気付かれた"か。変装は確かに完璧であった。それが故に致命的な失策を犯していると貴様は最期まで気付くことは叶わなかったようだな」
遠くで己の名を叫ぶマスターの声がする。この骸の後処理はどうしたものかと一考したギルガメッシュは静かにその場を後にした。
この現状に気付いている英霊共とそこから聞き及んだカルデア職員に処理は任せ、梓の元に赴いてやろうとギルガメッシュが選択するまで瞬きひとつとかからなかった。
「よかった〜急にギルが姿を消すから心配してたんだよ。何も無かった?」
勢いよく王に飛び付いた少女から漂う甘い匂いにギルガメッシュは目元を和らげ、そのまま瞼を閉じた。
梓に扮していた先の輩からしなかった香り…この娘が王の物であると周囲に知らしめるために贈った甘いバニラの香水。
自身と同じ匂いを纏う