理不尽なマイ☆クラ


「ありゃ…今は獏良君じゃないのか」
「…んだよテメエか菜乃。愛想作りかけて損したぜ」
「こんにちは。姿見えたから声が掛けちゃった。何してるの?」
「何でお前に一々話さなきゃなんねーんだよ」
ぷいっと顔を逸らして言うバクラの言い分はごもっとも。しかしいつにも増して刺々しいと言うかなんというか。
今の彼は虫の居所がきっと悪いのだろう。(知らないけど)

「…で?超多忙な俺様に話しかけてきたんだ。何か用あったんじゃねぇのか」
「用があるのは君じゃな…」
「うるせえ黙れ口答えするな。ぶち殺すぞ」
「(本当のこと言っただけなのにいきなり殺ですって!!)」
ここまで機嫌が悪いとなるとこっちの獏良くんが苦手としているもう一人の遊戯君にさっき出食わしたのかもしれない。(我ながらタイミングが悪かったなぁ)
一概に言えることは"触らぬ神に祟なし"のこれに尽きるのでその事に関しては触れないようにしておこう。

「(しっかしコレどうしよう。獏良君に頼まれてた作ってきたシュークリーム…手作りだから日持ちもしないし)」
「コソコソ後ろ手に何を隠してやがる」
「ちょ、ちょっと返してよ!」
男子の中では背も引くく、ひ弱そうな彼にどこからそんな力が…と浮かんだコレも禁句な気がするので口には出さない。
体は獏良君だけど今の魂は獏良君じゃないから色々違うのかな。遊戯君ももう一人の遊戯君とチェンジしたら背が気持ち高くなってた気がするし!

「へーシュークリーム、ねぇ」
「甘いのは好きじゃないでしょ?あ、君から獏良君に渡して…えぇ!?」
紙袋からひとつ、またひとつとシュークリームを取り出し口に放り込んでゆく。
やっと成功した私の手作りシュークリームは無常にも彼であって彼でない人に食べられていく。

「また遊戯君に無惨に負けて爆☆殺されたりマインドクラッシュ受ければいいんだ!」
「テメエ誰に口利いてるか分かって…」
「大声が聞こえた気が…どうした菜乃!またバクラに苛められたのか!?」
勢いよく開け放たれたと思うと颯爽ともう一人の遊戯君が姿を現し、私と獏良君との間に立ち塞がった。
背中で視界が奪われる前に見た獏良君の顔は今まで見たことないまでに青ざめていた気がする。

「さ、ささささ先行くぜ菜乃!」
「久々に遊戯の家行くんだ。お前も一緒に行くだろ?な、なァ!?」
遊戯君を追うようにして駆けてきた城之内君と本田君によって半場強引にそこから連れ出される。
背後から聞こえてくる声を全て聞き取る事は出来ないけど俺も食べたことのない手作りシュークリームを!とかこのうさぎ野郎!など遊戯君は何やらかなりご立腹らしい。

「悪しき心を砕く…マインドクラッシュ!!」
遊戯君個人の私情をかなり含んだ内容だった気がするけど?!あんな理不尽に人の心をマイクラしていいの!?
獏良君に対して申し訳ない気持ちと悪事を働いていないにも関わらずマインドクラッシュを受けた彼が哀れに思えて、次にシュークリームを作る時はシュークリームが大好きらしい遊戯君の分も作ってこよう。
そしてもう一人の獏良君のお墓にもお供えするとしよう。

「俺様はまだ死んじゃいねぇ!…菜乃テメェ!」
「まだまだぁ!マインドクラッシュ!!」


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極夜