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忍者のように壁を重力無視で登ったり、下ったりしていた。小学生からの友人のKと一緒に遊んでいるようだ。そのKはどうやら失恋し傷心していた。そのKの失恋相手は自分が気になっている女の子だった。Kが落ち込んでいる間にその女の子と仲良くなった。
「おはよう」と自分は彼女に声をかけた。
「おはよう」と彼女は優しく返事をしてくれた。
彼女の名前はUと言う。笑顔が可愛い女の子だ。Uとの出会いは同じ職場だった。

女子高生達が自分を取り囲んでいる。おそらくUと親しくしている自分が気に入らないのだろう。そのとき携帯電話が鳴った。
「あたし、あたし、あはは、あたしだって、覚えてるでしょ、あたし」と聞き覚えの無い女の声がした。声を聞いた時、酒に酔って悪がらみされているような気分になったが、徐々ににその女の声は狂気じみてきた。その女は興奮していた。この女は酔っている。間違いなく自分に酔っている。背筋が凍るのを感じた。しばらく様子を見ていた女子高生の1人が笑い出した。自分の中の怒りという怒りが腹から頭に上るのを感じた。
「お前、何したんだ?」
しらばくれる彼女の胸ぐらを掴んで、強く押した。彼女の仲間の女子高生の1人が悪びれた様子もなく一枚のファイルを取り出した。
そこには数枚の紙がファイルに収められていて目を通した。電話番号、思わず目を逸らしたくなるような女性の顔、この世への恨みつらみが書き殴られていた。どれを見てもゾッとするものだった。自殺した女性の情報のようにも見えたがそうじゃないのかもしれない。

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