「鷹村さん…私…鷹村さんに…シテほしいんです」

自分の家の中で2人きり、同じボクシングジムの後輩であり紅一点のナマエがそういって自分の上に股がってきた、着ていたシャツのボタンを2つ3つと外していけば彼女の白い肌と小さな膨らみがみえて

「だめですか?」

甘ったるい女の声にゴクリと唾を飲み込む、今まで散々ガキだ処女だと笑ってきた女がこんなに色っぽく誘いをかけてきた、供え膳食わぬがなんとやら…とはいうものの同じジムの後輩に手を出すとは何故か引け目を感じておもわず顔を逸らしてしまう
そうすれば手を取られて彼女は鷹村の大きな手を柔らかな胸に当てる、柔らかくて暖かくて心臓の音がして

「鷹村さんに、してほしいんです」

ちゅっと優しいリップ音が耳に張り付いて、そして彼女の潤んだ瞳が鷹村を捉えて

「好きだから」





「…まじかよ」


なんて夢を見てしまったんだと思わず自分ながらドン引きだ
目を覚ましてその事を考えたあとふと違和感を感じて下半身…いや、下着の中身をみれば最悪な事態が発生していた
中学生のガキかオレは!!と怒鳴り声を上げたかったが何処にもぶつけようの無い怒りをどうにか抑えて朝から下着を虚しく履き替えた
何が好きで夢如きで出てしまったのやら、ここ数日ご無沙汰だったのがいけない、おまけにテレビの前に転がしていたアダルトビデオのせいだと結論付けて鷹村は朝食を食べていつも通りロードに出た

「おはようございます鷹村さん」
「…おう」

いつも通りに接しろ、ガキじゃねぇんだから普段通りに振る舞えるはずだ、そもそもこのガキに色気なんざ……ある、めちゃくちゃあるな、こう見たら結構タイプだわ
雑談かと思いきや朝からボクシングの話ばっかりだがそこもいい、全身にしっかりと筋肉がついていてスタイルもいい、胸はまぁちいせぇがこいつくらいならまぁそれの方が似合ってるしな
おまけにオレ様のロードについて来れるとなると生意気だが相当なもんだ、一歩くらいしか来れない中で来てるんだからジムのプロボクサーメンバーなんて屁じゃねぇ
おまけに顔もまぁ綺麗なもんだ、長いまつ毛にぱっちりとした二重に通った鼻筋に横から見て綺麗なEライン、そりゃあ一部の見た目だけで来るファンもいるわな。

「ちょっと、鷹村さん聞いてますか?」
「水色か、相変わらず色気がねぇお子ちゃまだな」
「ひゃあっ!もうっやめてくださいよ」

キャンキャンッと吠える子犬みたいなこいつの服を捲ったら淡い水色に少しフリルのついたガキっぽい下着、すげぇ…なんかこう…キタ
好みじゃない、オレ様は赤や黒や紫やアニマル柄やら派手な色気抜群な方が好きだ、でもまぁナマエならこういう方が似合ってるしこちら好みのものは持ってないだろうし仕方がない

「お疲れ様です、先シャワー浴びてきて大丈夫ですよ」
「なんだ一緒に浴びねぇのか」
「セクハラですよ鷹村さん」

ようやく一汗かきおえた後人の少ないジムに寄って更衣室の中の着替えを片手にシャワー室に行く
その間にもナマエは垂れた汗を拭っているがなんつーこう…エロかった、下半身が膨らむ感覚を感じて慌ててシャワー室に逃げ込む、もしかしてオレ欲求不満なのか?確かに最近女を直に抱いては無いがまさかここまでとは思わなかった、今晩くらいに適当に女引っ掛けるか店に行くか
頭を切り替えるために髪の毛までしっかり洗って気分爽快

「鷹村さんタオル忘れてたからおいてま…っ何してるんですかぁ」
「ウオオォイ!キサマこそ覗きに入りやがってこのすけべ!!」
「すけべじゃありませんし、てか前隠してくださいよ、タオル置いときますからね」

ドアを開けた途端にナマエがタオル片手に立っていた、思わず情けない声をあげて叫び合うが逃げように出ていった以上何も起こることなくタオルで体を拭う
柔らかい洗剤の匂いにあぁあいつが洗濯してるんだっけかと思い出したらまた熱が溜まってきた、オレは多分病気だ…今日は必ず店に行こう、女を抱くぞ

更衣室から出ていけば人のいないジムの中で整備をしてるナマエに声を掛けてやる、律儀に謝るあいつの背中を見届けながらバンテージを巻いていく、朝は軽く流すだけにしてまた夕方来るしなと考えてサンドバッグを叩くがまるで己の煩悩を制御するためのようだった

「お待たせしました」
「おう、お前も軽く練習していくか?」
「あっそうですね」
「仕方ねえな、オレ様がミット持ってやるよ」
「いいんですか」

そんな満面の笑みを女が向ける時ってのは大抵プレゼント貰った時だろうに、こいつはミットを持つだけでそんな顔をするからあぁいい女だなと思う
ミットを持ちながら打ち込む姿を見て、相変わらずいいパンチを持ってるし女じゃなきゃ木村たちよりかは幾分いい成績でいけるだろうと思えるほどだった、まぁ楽しそうに見つめてやがって

「ほら最後にワンツー」
「ッはい!」

バンッバンッと大きな音を立てて最後のワンツーは腰が入っていてよかった、それでもまだ少し肩を広げ過ぎだわ足があまり開けてないやらで改善すべき点は多い、10分もミット打ちをしてたくせに息がそれなりに整ってることだけは評価してやる
昼頃になれば少しずつ練習生たちも増えてくるがオレたちは早く来ていたから一旦昼飯を食べて解散することにした、そういえば借りてたアダルトビデオの返却日が今日だったなと思い出して家に帰ってビデオ屋に向かって新しいやつを借りに行く

"後輩と二人きりラブラブえっち"
"部活の後輩と♡秘密の放課後"

目に入るものはどれもそれ系ばかりで、ふと好みだな…と思った女優はよく見りゃあアイツに似ていてその場で頭を抱えていれば隣のオヤジが「凄くいいですよ」なんて慰めてきやがった、うるせぇ

借りてしまった
オレ様にしたらめちゃくちゃ珍しい純愛ハジメテ系
"ハジメテの夜 ジムの後輩としあわせらぶらぶ初エッチ編"と記載されたそれと何度かお世話になってるやつを借りた、少し今日はおかしかっただけだ、1度いつものやつを見れば正気に戻れるはずだろう
……オレ様の身体はおかしくなってやがる、今まで何回と見てきたはずのものじゃもう飽きたのか1mmも動きもしない、昼間っからシコったくせに新しく借りてきた方にしか反応はしなかった、おまけにその都度ナマエの顔がチラついてきやがる

「こんにちは鷹村さん」
「おう」

15時頃にやってきたナマエはまた新しい練習着に変わってきていた、白いシャツを着るなブラジャー見えてんだよ

「ひゃあっ、何するんですか」
「ガキの下着が見えてんぞ」
「え…あっ、すみません…替え持ってきてないので借りてもいいですか?」
「はぁ!?」
「だめですか?」

ダメじゃねえよ、とはいえず結局適当にその辺にある黒いTシャツを投げてやれば風呂場に行った
直ぐに戻ってきたナマエはTシャツが大きすぎたせいか少しだけシャツの首元が開いているがまぁいいだろう、下に履いている練習着がショート丈のせいで少し履いてないようにもみえるがまぁいい

「よくねぇ!!なんだその練習着はテメェは男に襲われてぇのかよ」
「鷹村さんがくれたやつですよ」
「下も着替えろ」
「入らないですよ」
「うるせぇじゃなきゃ家から出さないからな」

オレ様の短パンを渡せば文句を言いたげな顔でまた風呂場にいってしまう、本当に自分がおかしくなっている
風呂場にいるというだけで興奮してる自分は本当に相当イッてしまってると感じられる
出てきたナマエは不服そうに腰紐を最大限引っ張って調整をしていた、鷹村にとって膝丈ほどの短パンだったものも彼女が着れば7部丈ほどのなっていてこれならまぁいいかと納得して部屋を2人で出る

「おい、服は」
「今からジム行くのでここ置いててくださいよ、帰り取りに来ますから」
「仕方ねぇな、忘れたら捨てるからな」
「そんな…泊まりに来た時とか用で置いててくださいよ」

こいつオレ様のことをなんだと思ってやがるんだ、仮にもお前は女でオレは男だぞとまるでジジイみたいな頭の固いことを思ったがもう疲れたやめとこう
朝同様に2人で走ってジムに行けば朝よりも人が増えて練習をしている、ナマエが用意のために2階に上がっていくのを見送って準備をしていればどこかで「あれ今日のナマエちゃん鷹村さんの服着てなかったか?」「やっぱできてんのかな」「俺狙ってたんだけどなぁ」なんて小声で聞こえてきやがる、流石に練習生共だから許してやるが青木達だったらしばいてたな
そう思っていれば嬉しそうなナマエがうさぎみたいに跳ねて2階から降りてきては飛び付いてきた、柔らかいしいい匂いだしつか近いんだよな、なんだと見下ろせば満面の笑みで

「試合決まりました」

なんていうから、普通の女はボクシングの試合でそんなに喜ばねぇよと言いたいがらしくていい
頭を撫でながらよかったな。なんていえばもうこりゃあ飼い主に尻尾を振る犬みたいに嬉しそうにするものだから何かこうクるんだよな
性的なもんというかこう胸がぎゅっとなる感覚だ

「決まったところで練習沢山頑張りますから、いっぱい応援してくださいね」

手を取られてそう微笑む姿に正直ぐっときた、女のモテる仕草ってのはボディタッチとか自然な笑顔だというが正しくその通りだな
結局午後の練習も随分と飛ばしまくって青木木村一歩とスパーリングをしたナマエは今日もリングのキャンパスの上に大の字で寝転がっているところを水をかけて起こしてやる、びしょ濡れのナマエは瞬きをして慌てて起き上がる、濡れたナマエにタオルを投げてやれば顔を拭きながら「あとちょっとだったのになぁ」なんで言ってやがる

ジムも終わって夕飯を食べて2人の帰り道、ナマエが何故か同じ道を歩いいた

「家帰らねぇのか」
「鷹村さんの家に服置きっぱなしだから取って帰ります」
「とっとと帰れよ」

じゃなきゃオレ様の気が変になる
結局錆び付いた階段を登って家にいつも通りやってきたナマエはリュックの中に着替えを片付ける、そのまま帰るかと思いきや玄関先で足を止めてなにか物言いたげにみつめていやがる、何なんだと思っていれば

「今日…泊まったらダメですか」

ダメだ、絶対変なことになる、残念ながら好みでもねぇガキに手を出すほど飢えちゃいないとは今日オレ様はいえねぇんだよ
それでなくても部屋に微かに香るてめぇの匂いに興奮してるところもある

「変なことすんぞ」

こうなりゃ脅し文句だとちょっとからかい混じりに笑って言えばナマエは少し驚いた顔をしてさたあとに「いいですよ」といった
思わず手に持っていたダンベルを落としてしまい激痛が走るがそれ以上にナマエの言葉の方が優先だ、驚いていればナマエが部屋にまた入り込んで、そして座っているオレ様に近づいて

「鷹村さんが好きだから、いいですよ」

キスをして、一丁前に女の顔をして言った
真っ赤な顔で処女のくせに男を知らないくせに必死に取り繕ってそういうものだから手を出そうと思ってるのに身体は金縛りにあったように動かず、そしてただその姿に目を奪われていれば優しく頭を撫でられる

「好きだから」

人から与えられる言葉であんなに真っ直ぐピュアなものは初めてだった、抱きしめたその小さな体をみつめて結局泊めたくせにヤリもせずに寝かしてしまったことは後悔もない
同じようには絶対に言えないが小さく「ありがとな」と言えば寝てるはずのこいつはぎゅっと抱きしめる腕を強くした、明日起きたら言ってやるからまぁ待ってろ

夢とはいえこうなったことは悪くない、そう思いながら鷹村は目を閉じた、初めての愛を知りながら。