チクタク…チクタク…右腕の時計が音を立てる度にもうそろそろかと胸が高鳴った、ふと人混みの中で一際目立って見えたその人物に思わず近くのガラスに反射する自分を見ては何も問題はないことを確認して深呼吸をする
「よぉ〜ってなんか早くねぇか?」
「おはようステカセ、早いって約束時間からもう三十分は遅れてるよ?」
現れた恋人にそう告げれば彼は慌てた様子で「そんなわけねぇだろ!俺の時計…」と告げた彼はデートのために用意した腕時計を見たあとに彼女の腕時計と街中にある時計を見ては自分の時計が大幅に遅れていることに気付いては機械超人でありながらも大層顔色を変えた
「きょ…今日はしねぇと思ってたのに」
「平気だよ、そうなると思って遅めの時間のチケット取ってるし」
「ワリぃ」
ステカセキングという男が時間にルーズな訳では無いが些かドジを踏みやすいと理解したのは三回目のデートからであった。
悪気がある訳では無いものの時間に遅れてしまったり、予定していたことを出来なかったりとする度に格好がつかないと落ち込むその姿を彼女は多少なりとも悪魔超人と恐れられるべき彼のキュートな姿を好ましく感じた
「ほら落ち込まないでいこう?ポップコーン食べるんでしょ」
「そうだな!!」
彼女の言葉に直ぐに明るい表情に変えた彼はその大きな手で彼女の小さな手を握りしめ歩き出した、一際楽しそうに今日こそ彼女に完璧なデートをしてみせると思いながら
「にしても多いな、人間共は暇なのか」
「休みの日だし、初週はこんなものだと思うよ」
売店列に並びつつも人の多さに驚くステカセキングに彼女は小さく笑み零しつつ内心胸をホッとなでおろした、数日前新しい映画に行こうと言い出したステカセキングからの誘いに二つ返事の了承をした際にチケットは?と問いかけたものの彼はその時に買えばいいだろうといい取らなかったのだ
その結果チケットは売店に並んでいる時点で完売となっており、超人であるため一般席で見れないことも相まって取っていて本当に良かったと感じたのだ
『ゲゲーッ!なんで完売なんだよ、ちくしょうどうすりゃいいんだ!』
二回目のデートの際にそういって取り乱した彼のことを覚えている彼女としてみればステカセキングは凡そそんなことはとっくに忘れているのだろう。と感じつつドリンクとポップコーンを購入し映画を眺めた。
「クソォ…あの犬コロちゃんと飼い主のとこ帰れてよかった」
「そうだね、ほらそんなに泣いてたらショートしちゃうよ」
「泣いてねぇよ、これは電池の液漏れだ」
機械超人な上に悪魔超人が泣くわきゃないだろ。といいつつもハンカチを受け取る彼の情の厚いところは魅力的だと感じつつ映画を終えてからもそれとなく彼女は自分の行きたいところと称しステカセキングの好みの店に足を運び、そしてそんな彼でも問題のない飲食店に入り夕飯を共にした
「それでブラックホールのやつがな」
楽しそうに仲間のことを話す彼に人間の身である為に理解できない話も多いものの頷いて話を聞いてやった、身振り手振りで話をする彼の動きは激しくなりふと彼の腕の近くに飲み物がまだ入ったドリンクが置かれていることに気付きそれを静かに下げては彼女はニコニコと話を聞いた
「あぁ〜上手かったな、すっかりこんな時間だし…その」
互いに程よく腹を満たせば空は暗がりすっかりと恋人たちの夜に変わっていた、騒がしい飲食店街では程よく酒を飲んだ男女が人目も気にせず腕を組み抱き締めるように歩いておりステカセキングはこの後をどうするかと考えた。
まだ帰したくは無い。という気持ちはありながらも素直にそれを口にするのはまだ彼には気恥しいのだ、しかし彼女を誘いたい…どうするのか、そうした時ひとは音楽に流されることも彼はまたカセットプレーヤーとして理解していた
ふとステカセキングの手が音楽の再生ボタンに触れようとした時、彼女の手が彼の手に重ねられ思わずその彼女を見下ろした
「明日も休みだし、ステカセとまだ二人でいたいな…だめ?」
ステカセキングは悪魔超人であった、しかしながら悪魔というのは人間にも存在しているのだと彼女の艶めかしい表情に息を飲んでは感じた、思わず再生ボタンから指を離した彼は「しっ、仕方ねぇな」というため二人は腕を組み夜の街にまた足を向けるのだった。
「それで朝までカラオケ行っちゃった」
先日のデートはどうだったんだと茶化すために聞いたスプリングマンとバッファローマンは顔を見合せては深いため息をついた、いい歳した男女が朝まで過ごしてカラオケ…その話しぶりから本気でカラオケをしたのだろうと察しては二人はあぁこいつら本当にお似合いなもんだよ。と思いつつ気量はいいが抜けた彼女に呆れを見せた、
…一方その頃ステカセキングは
「テメェはあの子とデートに行きながらまたエスコートしてもらってんじゃねぇか!」
「ゲゲーーッ!!なんでアンタが知ってんだよォ!」
鬼教官からの指導に悲鳴をあげているのだった。
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