ラチェット
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「みないでよ」
はずかしいなぁという彼女に苦笑いを浮かべて彼の手には遥かに小さなティッシュを取り出して鼻に押し付ければ子供じゃないもん。と言われる世話を焼きたくなるんだから仕方がない
ふと触れた時彼女の体温が普段よりも高いように感じ、彼はその精巧なセンサーで瞬時に彼女を調べればやはり体温はいつもより2度高い
「熱があるようだ」
「うそ、どうりで熱いのに寒いと思った」
矛盾した面白い言葉を使う彼女に今日はもう帰りなさいといえば彼女は気乗りしない顔をする、普段ならばいうことを聞いてくれる素直な恋人にどうしたのだろうかとおもっていれば 誕生日なの と言われた
トランスフォーマーには製造日というものがあるがそれは祝ったりするようなものじゃなかった、それ故に誕生日というものが何かをはじめこそ理解していなかったが彼女と過ごして1年ほど-2人が付き合ってはじめての誕生日-それの重大さをラチェットも知っていた
「そうだった、私としたことが忘れていたよ」
「だって教えてなかったから」
「めでたい日なんだろう?」
「でも帰ったって独りだし、もういい歳してるからめでたくなんか無いし」
彼女が暗に帰りたくないと言っているのを理解したラチェットは小さく微笑み待っていなさい。と伝えて彼女に大きなブランケットをかけて出ていってしまう数分後戻ってきた彼は「司令官に許可を貰ったから今日は君の家で過ごそう」という、その言葉を聞いて彼女は喜びを秘めた目を向けた、そんな彼女を抱いてすぐ様トランスフォームして彼女の家にあがる
「誕生日に風邪引くなんてついてない、神様も意地悪だよね」
「おや、風邪を引いたから私がここにいるのは神様のおかげではないと?」
機体を縮小させたラチェットは彼女の部屋を勝手知ったるかのように入ってはベッドに彼女を寝かせる、すぐ様出たがる彼女の為にテレビをつけてキッチンで何かを始めるのをもう何も言えずに眺めた
寒気はいつの間にか消えてぼうっとしていればベッドが重みに沈み意識を戻す
「ちょっとは食べられるかい」
出来たてのたまご粥がちいさなお椀の中で湯気を立てていた、彼女は少し恥ずかしそうに「ひとりじゃ無理かも」といえば深淵困ったような嬉しいような顔をしてラチェットは彼女の口に冷ました粥を運んでやる
「ふふラチェットってば白衣の天使みたい」
真っ白な綺麗な機体でおまけに軍医となればまさしくその例えだろうと悪戯気にいう、その言葉に彼はなくなった粥の皿をサイドテーブルにおいて彼女の火照った手を握る
「天使なんてチンケなものより、君の恋人と呼ばれたいものだ」
例えば最高の彼氏とかね と付け足す彼に思わず目を丸くしたあと恥ずかしそうに彼女は布団の中に逃げ込んだ、あぁからかってしまったかと思っていれば分厚い布越しに ラチェットはいつだって最高の恋人だよ。 と聞こえてしまい彼は布ごと彼女を抱きしめた
「治ったら誕生日は仕切り直しにしよう、かわいい私の恋人と祝う誕生日がこれじゃあ味気ないからな」
それまでに沢山のプレゼントを用意しておこうとラチェットは思いながら小さく見えたつむじにキスをした、風邪引きにはキスのひとつも出来ないなぁと愚痴を吐けば 貴方達には罹らないでしょといわれて唇を封じられた、あぁはやく治してくれよ我慢が出来なくなりそうだと2人してベッドの中に沈み込んだ
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