パーセプター
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何故ならこの星では誕生日もクリスマスと何もかも地球と時間が違うのだからそうそうやってはこない、多分下手すりゃ5年に1度とかだろう、そんな今日は自分の誕生日であるがバーマカダムにて忙しなくパーセプターが用意してくれたローラースケートのようなシューズを履いて走り回っていた、お陰で足は健康的なくらい筋肉が着いたことだ
「3番テーブルに」
「はぁい」
サイバトロン星まで来てしまった自分を保護した上に身元引受け人にまでなってくれたパーセプターには感謝で頭が上がらないものの誕生日くらい定休日にしてくれたっていいのにと思いつつ彼に自分のそんな日だと伝えてなかった
「にしても今日に限って忙しいんだから」
「広場の銅像が完成したからだろう、祝いに何処の店も賑わっていた」
「案外みんなお祭り事好きだよね」
「人間もそうじゃないのか」
グラスを拭きながらそう話をするパーセプターに人によると思うと告げたものの確かに人間も色んなよく分からない祭りをしているから彼らよりずっと祝い事が好きな種族に思われるかもしれないなとおもった
そうしてゆっくりと時間が経つにつれ人は減っていき、いよいよ二人きりになってしまい時間も時間だから閉店作業でもしようと彼は言った
いつもより3時間ほど早い閉店時間はある意味誕生日プレゼントかと思えて閉店作業をする手にいつもより力が篭もる、店内の清掃ドロイド達も仕事を終えて充電に戻りテーブルの掃除も終えてエプロンの紐を解いた時パーセプターはこちらをみつめた
「何がいいのか分からなかったんだが・・・」
そういって彼が差し出したのは普段履きにしては随分と厳つい金属のブーツだった、どちらかといえば仕事で使用しているローラースケートのように似ていてそれもパーセプターが作ってくれたものだった
一体これはどうしたのかと問いかければ彼は気恥しそうに「誕生日プレゼントにと、思ったんだが」といった、いつの間に知ったのだと聞けば半年以上前に客と話をしているのを聞いたという機械生命体である彼らに対し記憶力云々は言わないがまさか会話を聞かれて更にそれを意識されてるとは思わなかったと驚いてしまう
「嫌だっただろうか」
「ううん、覚えてるって知らなかったからビックリしただけ、とっても嬉しいよ」
「よかった」
彼は笑うと綺麗だと毎度思う、しっかりとプレゼント用の箱に納まったその靴を取り出せば見た目よりも随分と軽く履いていた仕事用の靴を脱いで彼の前で履いた、ピッタリとフィット・・・というよりもそれは身に付けると同時に足のサイズに合わせて変形した、全くもってバーのマスターが作る代物ではないと笑ってしまう
「サイズもピッタリ、シンプルだしすごく素敵ありがとう」
「気に入ってくれたようでよかった、正直心配だった」
「どうして?パーセプターに貰えるものはなんでも嬉しいのに」
「私の気持ちも?」
気持ち?と思っていれば私は君が好きだから祝いたいと思うのに君は教えてくれなかった。こんな特別な日なのに…と呟いた、目を丸くして彼を見つめれば「すまない」といって離れようとする彼の指を慌てて掴む
「それって先に言うことじゃない?」
雇い主から貰うものと恋人から貰うものじゃ訳が違うじゃないかといえば彼は観念した様子で想いを告げるものだから堪らず同じ返事をした
静かな店内で靴を見下ろして、ふと大きな恋人に問いかける
「男性が女性に靴を送る意味って…知ってる?」
到底知らないだろうとおもい問いかければ彼は想像通り分からないと首を横に振った、ちょっと耳を貸してねと告げて近付く彼の聴覚センサーに教えてあげる
男性が女性に靴を送る意味って…
パーセプターはそれを聞いて思わず顔を上げてパチクリと片方だけのオプティックで瞬きをした、そして口元を抑えてつぶやいた
「そうなれるといいと思うのは私だけだろうか」
そんなわけないでしょと笑って彼の頬にキスをすれば、そちらだけじゃなくて。というものだから一体どちらが誕生日なんだかと笑いながら背伸びをして彼の唇に口付けた
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