「すごーい!ひろーい!」

それでは御夕食までごゆるりと。といって正座をして部屋を後にした女将に頭を下げたオニは場所を問わずにはしゃぎ回る恋人を見てはそうなるのも無理はないかと思いつつ軽く荷解きをしては流石日本有数の老舗旅館だと感心しつつ広縁から外を眺める彼女の横に立つオニは久方振りの日本だと感じる頃、静かになった恋人が自分を見つめていることに気付きオニは見返せば彼女は嬉しそうに微笑んだ。

「本当にラッキーだって、こんなところで休暇が取れるなんて」
「そうだな、今回の任務とあの社長に感謝しなきゃな」

なぜ現在二人が日本の老舗旅館にいるのか、それも決して決して来ることの無いような高級旅館であるか。

――それは数日前に遡ることとなる。

民間軍事会社コルタックに所属するオニとナマエは突如作戦会議室に呼ばれ、とある日本人の警護任務につけといわれたのであった。
警護対象となる男は製薬会社の社長をしており、ここ数年で突如急成長をしていたものの黒い噂が後を絶たず、実際のところ日本では禁止された武器の取引等や違法な薬物投与による実験等を行っていたのである。
警護対象者はタイに仕事に来るがギャングに狙われている身でもあるため警護を行って欲しいという依頼であり、二人は了承したもののその男がとんでもない遊び人であり約数日の警護を担当したものの酷く疲れる形であった。

「命が狙われてるって言うのに肝が据わってるっていうか、学びがないっていうか、なんだかすごい人だね」
「元はヤクザものらしいからな、任務じゃなかったら守る価値もない」
「それなりの金額だったらしいけど何処のPMCも嫌がったんだと思うよ」

最小限の人数のみで極力目立たずにといわれていた為にコルタックにおいて日本人警護に向く二人のみでの任務ではあるものの簡単な任務ではなかったと思いつつ早く終わることを祈り、数日のタイでの任務をようやく終えた二人は対象者を送り届け任務を完了する予定だった。

しかし男は予定よりも帰ってくることが遅れたことや緊急事態が会社内で起こっていたようで随分と慌ただしい様子となった、仕事に忠実であり命も無事でなにより不便なく過ごせたおかげかオニとナマエの二人を気に入ったこともあり、行く予定だったが無理になったから。という理由で二人に旅館の宿泊権をくれたのだった。
タイでの遊びぶりもみて二人は凡そ帰国後あの男が愛人と来る予定だったのだろうと予想し、二人は会社自体に早急に戻るように指示されていない為、任務完了の旨を伝えては恋人同士であることもあってあの男の提案を受けることにしたのだった。

オニからしてみればどこか懐かしくそして趣深いその旅館は心地よく、ナマエからしては真新しい新鮮でしかし何処か落ち着きのある旅館に目を輝かせて満喫していた。
コルタックに所属する二人は単独任務や小規模任務なども度々頼まれることがあり多忙気味でロクにゆっくりと過ごす時間は与えられてこなかった、互いの生き方があるのだからと不満は感じないが与えて貰えるのならば当然二人でゆっくりと時間を過ごせるのならどれだけ嬉しいことかと想いあっていた。
警護任務の際も気を抜くことは出来ず、別々の部屋であり夜にときおり顔を合わせても仕事の話しか上手く出来ずに苦笑いをして、互いの為の時間をちゃんと取ることは実に半年ぶりであったかもしれない。

「気に入ったか?」
「うん、日本の旅館って凄いとは聞いてたけどこんなになんて思わなかった、そういえば手続き中に他の人に聞いたらこの辺りは滝とか観光スポットが沢山あるんだって」
「行きたいが今日はもう遅いだろ、もう時期辺りの店も閉まるだろうから明日行こう」
「そうだね、二泊三日もあるしこんなにゆっくり出来るのいつぶりかなぁ」

そういった彼女の肩を抱いたオニは優しく唇を重ねた、仕事のことも場所も何も問わずに二人きりで過ごせることを心から喜んでいたからだった。
夕方の到着の為、暮れゆく夕日を広縁から眺めている間に夕飯の時間だと現れた女将の案内に待っていたといわんばかりに飛びつく彼女を眺めては夕飯、そしてその後の大浴場までと二人は旅館での時間を満喫しゆっくりと過ごしたのだった。

室内にも露天の天然温泉はついているものの大浴場も売りであるといわれれ二人は折角だからとたっぷりと大浴場を楽しんだ、いくつもの効能や形の違う温泉の数に圧巻されつつ堪能したオニは長風呂だったと思いつつも浴場から出たあとの待合室にて見かけない彼女の姿に未だに浴場か、または部屋にいるのだと判断して彼女が好むであろうフルーツ牛乳を買っては部屋に戻った。

「ただいま」
「おかえり⋯着れたのか」

それから凡そ三十分後、なかなか戻ってこない彼女を置いて晩酌をしていたオニの元に戻ってきた彼女は綺麗に旅館内の浴衣を着ていたものの、旅館の人に折角だからと着付けられたのだといい、変では無いかと不安な表情を浮かべるが綺麗だと彼が告げると満足そうにして広縁で静かに日本酒を呑むオニの傍に寄った。

「何飲んでるの?」
「日本酒だ、米の酒だが飲んでみるか?」

コクンと頷いた彼女にお猪口を手渡してやり徳利を慣れた手つきで注いでは自分のものにも注ぎ二人で見つめ合い飲み干した、辛く喉をツンとした感覚が走りながらも米の甘みが程よく立っていた日本酒に「美味しい」と彼女が呟けばオニは嬉しそうに徳利を掲げるものだから堪らずにお猪口をもう一度彼に向けた。
椅子に座るオニを見下ろす彼女は外の月明かりがずっと眩しく電気もいらない程に明るく、その明かりが彼を照らしていることに美しいと感じられて静かに盗み見るように眺めた。

「そんなに見られたら穴が開きそうだ」
「やっぱり浴衣姿が似合うんだなって思って」
「ナマエもよく似合ってる」
「本当?色んな色や模様があってすごく悩んだの」

照れくさそうに笑う彼女に見合った紺色の温泉浴衣はオニのものと同じであり、男性用には一つのデザインしかなかったことから旅館の者が敢えて揃えてくれたのだと察しては微笑ましく感じられた。
袖口の裾を持ってヒラヒラと見せて回る彼女の上機嫌さと新鮮さにオニは彼女の腰に手を回して椅子に座る自分の膝に招いてやると、程よく温泉と酒で赤らんだその表情を眺めてしまう。

「お酒は?」
「もうなくなった」

嘘じゃないというように徳利を逆さにしてみればそこからは一滴ほどしか垂れることはなく、オニの指に落ちてしまい、彼はその指先についた日本酒を彼女の唇に塗っては唇を重ねた。
身体の熱は酒と温泉ではないものも混じっているのは明確で、二人は互いに触れ合いたいと口にせずとも感じており、風呂を終えて戻ってきた部屋に敷いてある布団をみてはそこに入ってからだと思っていた欲望は簡単に崩れてしまい、時間を奪い合うように唇を重ねて薄く開いた隙間からオニの舌が伸びれば彼女も答えるように彼の口腔内に舌を伸ばし深く絡めあった。

「は⋯ぁ」

鼻の抜けたような小さい吐息が漏れて互いに酒の味のする唇を貪り、ゆっくりと離れるが彼は彼女の首筋に舌を這わせて浴衣の上から柔らかな双丘を手で掴んだ。
風呂上がりで寝る前だからと下着をつけていないらしい彼女の布越しの感触にオニは何も言わずに鼻で小さく笑うと彼女の視線がぶつかった、何を笑ってるんだといいたげな不満な彼女の表情にオニは人差し指の背で頬を撫でては伝えた。

「その気だったんだと思って嬉しくなったんだ」

自分だけが求めているわけじゃない。
それがどれだけ嬉しいことなのかと彼は胸の内で呟くと彼女はほんの僅かに気恥しそうに視線を逸らして「⋯当たり前だよ」と呟いた。
互いにゆっくりと触れ合えることどころか、本来顔を合わせることさえ同じ会社にいても出来ないことがある、大抵同じチームにはなるもののそのひとつの任務が最後となることも可能性として高く、いつだって二人は口にせずとも可能性のあることを考えていた。

「俺もだよ」

日本語で話す時の彼の言葉は英語よりもずっと柔らかく聞こえて彼女はその心地良さに小さく頷いては、それなら早く愛し合おうと言いたげに自身の帯に手をかけようとするがオニは彼女の手を止めた。

「浴衣を着るのは初めてだよな、まだ脱がないでくれ」

そうした彼の言葉に案外俗なところもあるのだな。と彼女は思ったのは彼が普段から軍内でも下世話な会話に乗ることもなく、ましてやそうした欲望を向けることもなく淡白であると感じていたからだ。
しかし実態は彼もただの男であり、彼女を求める一人の男でしかない。
背中を向けてくれと頼まれた彼女は不思議に思いつつも彼の膝の上に背中を向ける形で座っては外の美しい枯山水をみつめて、どのような職人がこれほど美しいものを作り上げるのだろうかと考える頃、首筋を優しく噛む彼に意識を戻される。

「あっ⋯ぇ、そこ入るんだ」
「そうだ、だから下は着てたほうがいい」
「っ⋯部屋に、来るだけだったから」


突如脇の下の開いた場所から彼の手が伸ばされて簡単に彼女の乳房に触れる、熱くトクトクと小さな音を奏でる心臓は期待に揺れていて、ツンと立ち上がった先端を彼の指先が弾けばその身が強ばるがそれを和らげるように彼は首筋に舌を這わせ唇で食んではその吐息を聞かせた。

「ん⋯ぁ」

小さく漏れる彼女の吐息とは反対にオニはただ何度もわざとらしいリップ音を立てて彼女に口付けをして、その唇が項を撫でて着物の襟首を緩めていくと紺色の浴衣から彼女の素肌が覗いていく。
まるで天女の羽衣を奪うような禁じられた気持ちをくすぐられて、現れた華奢な肩に彼は歯を立てて薄い歯型を残しては謝るように舐めた。
手のひらで心臓を感じるように触れていた優しい手は次第に激しさを増して強く乳房を揉みしだく姿はまるで子供が遊ぶように乱暴だが心地よく自然と声が小さく漏れて、彼に手を伸ばしてオニの短い黒髪を撫でると互いに短く重なった視線に彼女が耐え切れず体を向き直して唇を重ねた。

「はっ、ぁ⋯ぁ」

激しい口付けの中で彼女の手がオニの浴衣の下にある胸を撫でて唇から首筋を吸って、鎖骨や大胸筋を舐めたあと赤子のように彼の尖端に吸い付けばオニはその身を震わせた。

「っナマエ」

駄目だとはいわずに彼女の乳房を正面から撫でる姿は滑稽にも感じるだろう。
赤子のように吸い付く彼女の頭を撫でては名前を呼んでやると、ようやく離れた彼女に乳離れの出来ぬ子に苦労する母の気持ちも分からなくは無いとオニは内心思いつつも彼女の浴衣の前を開いてやり現れた乳房を眺めては指でその柔らかい円形を撫でると身動ぎした。

「相変わらず綺麗だな」
「大きくないけどね」
「サイズはどうでもいいだろ」

大きくも小さくもない平均的な彼女の乳房に対して告げた言葉を彼女は唇を尖らせていうのはいつものことで、それはかつてオニが仲間たちと話していた時に仕方なく自分も女性らしいほうが好きだと言った発言を仲間から彼女にからかいのために告げられたせいだった。
もう一年以上前の言葉を未だに気にしている恋人に彼はその双丘の間に顔を寄せてシャンプーの香りを感じながら言い返しつつ甘えるように彼もまた先端を咥えて舌先で転がした。
こそばゆい感覚に身を捩り肩に手を置く彼女の熱は滾り、次第に自身の足の間に感じる彼の熱を求めるように刺激すると、オニの長いまつ毛が揺れて彼女を見つめると悪戯をする彼女を窘めるように歯を立てた。

「ひゃっ⋯」

痛みではないその感覚に声を上げる彼女にオニは背中に手を回して浴衣の襟首から手を入れて背中を指先で撫でながら整った浴衣を崩して彼女の上半身をさらけ出させては、乳房から脇の下や二の腕や肩に唇を落としては膝の上に座る彼女を見上げれば彼が言葉にせずとも何を言うのかを理解して、彼の首に腕を回しては立ち上がる彼は部屋の明かりを消して敷かれた二枚の布団の内の一枚に彼女を下ろした。
どうするのかと思う間に、彼の浴衣の隙間から覗いた下着はゴムが伸びてしまいそうなほど強く主張をして、彼のボクサーパンツは色を変えていた。

彼女はその姿を見て、彼の肩に手を添えて口付けをしては足の間に手を滑らせて主張する彼の熱を撫でれば、それは悦びを示すようにビクリと反応をするため下着のゴム部分に指を引っ掛けると僅かに体を浮かせてくれた彼の下着を脱がせては現れたモノに視線を奪われては、まるで犬が主人の機嫌を伺うようにみつめることにオニは何も言わずに彼女の頭に手を添えれば、彼女は手を添えて顔を寄せては彼の雄の匂いを感じた。

風呂を終えた故に汗臭さなどは何も無く、反対に清潔感のあるモノに彼女は微かな物足りなさを感じてしまうがその反応も予想していたようで座った彼の足の間で夢中になる彼女の髪を撫でれば合図のように口を大きく開いた彼女があっという間にオニの男根を喉奥まで飲み込んだ。

「ぁあ⋯っ」

低い彼の吐息が溢れた時、ナマエはいつも艶めかしい声だと感じた。
男が女を啼かせることに喜びを感じるように、女も男を啼かせることに喜びを感じるのは、それは互いの普段見ぬ部分を覗き見るような気分になるからかもしれない。
久方振りの彼の甘い吐息に心地よくなり、もっと味わって欲しいと彼女は喉奥まで迎え入れ、わずかに残る根元を扱き上げるとオニの足が震える、浴衣の隙間から見える彼の整った腹筋も鍛えられた太い足も、全てが自分と異なるものを普段と異なる場所から見上げる。
部屋の明かりを消しても外の光が十分に部屋を照らして、彼女はシーツを握るオニをみて咥えることをやめて鈴口を舐めてはより激しく手を上下して溢れるカウパー液を拭い空いている片手でオニの重たい陰嚢を揉んでやった。

「ナマエ⋯っ、はぁっ、くそっ」

悪態ついた彼の言葉は久方振りの触れ合いに容赦のない彼女に向けられる、それを理解してはますます加虐心に火を付けて舌をわざと見せつけて彼の大きくなったものを上から下へと舐めた上で手で弄んでいた陰嚢を咥えた。
ゾクゾクと背中に快楽の波が襲い来る感覚を味わい大袈裟に足が震えたオニに彼女は人差し指の腹でカウパーの溢れる小さな口を刺激してやった、次第に彼の吐息が強くなりナマエも夢中に咥えては彼を強く感じる頃、髪を優しく掴まれる。

「ナマエもう、だめだ」

苦しそうな彼の声に残念な気持ちになりながらもナマエは素直に止めた、布団の上で浴衣を乱し火照った彼は艶めいて、ナマエはオニが欲しくてたまらなかった。
乱れた浴衣の下の素肌は熱く火照り、オニを求める体はジクジクと刺激して、薄い布の奥の女の場所はそれはもうぐっしょりと濡れていることを気付いていた彼女は彼に抱き寄せられ唇を激しく奪われると、自然とその身を寄せて彼に早くと強請るように腰を押し付けた。

しかしオニは彼女の態度に自分を崩すことはなく布団の上に寝かせてしまえば浴衣を乱して足を開かせて下着を履いた女の中心部を覗いた。
期待した彼女は濡れた下着を簡単に抜き取られて捨てられてしまえば糸を引くほどに濡れたその場所に恥ずかしさを感じながらも何も言わないオニに心臓が高鳴る。

「あっ」

足を大きく持ち上げられ舌を見せ付けるオニがそこに顔を埋めたことに彼女は堪らずに声が漏れた、濡らさなくても充分潤ったその場所を舐める彼に羞恥心を感じるものの止められない彼女は期待したこととは違うが与えられる快楽に身を捩るとオニはたしなめるように彼女の足を掴んでいた左手を滑らせて小さく主張をしていた彼女のクリトリスに触れた。
ヒクヒクと期待したそこを焦らすように軽くしか触れないオニは濡れきったその場所をわざとらしくゆっくりと撫でると彼女は足と声を震わせた。

「ちゃ、んと⋯シて」
「ちゃんとシテるだろ」
「⋯指で、ちゃんとシて」

いつものように馬鹿になるほど掻き回してイかせてグズグズになったソコにちょうだい。と強請る恋人にオニは毎度素直に誘われるとどうしようもない喜びが内側から沸き上がる。
仕方なく顔や手を離して「脚を開け」と命じたオニは薄く開いた彼女の右足に自分の足を重ねて身を寄せて片手で頭を抱き寄せて唇を重ねるが、優しいリップ音のようにクチュクチュと濡れた入口や表面を撫でるだけで彼女がはしたなく腰を揺らすと彼は塞いだ唇を解放したかと思えばまるで人工呼吸をするかのようにまた深くキスをして、濡れきった場所に指を挿入した。
簡単に指を飲み込む彼女のそこは狭く、会えない間にほかのものを受け入れた様子もないようだと最低だと理解していても考えてしまう。
まるで彼の指を求めるように締め付ける小さな蜜壷に早く繋がり合いたいと願いながらも、熱に浮かされた彼女の表情を見てしまうともっと乱してやりたいと願う程で濡れたそこにもう一本と指を沈めると耐えきれぬような彼女の声が漏れ出した。

「はぁっ、ぁ⋯」
「大丈夫そうだな」

念の為にそう呟けば彼女は小さく首を縦に振る、初めての行為でもない二人からしてみればそうした確認は不要と理解していても久方振りであるが故に無理をさせたくなかったのだ。
彼女のナカに沈めた指が蜜を絡めれば微かな水音が部屋の中に響き、オニは長い指先を曲げて彼女の弱い箇所を指の腹でノックした。

「ッ、あ⋯ん⋯」

素直に欲しがった彼女に答えてやらぬわけが無い彼が親指の腹で蜜壷の外の花芽を撫でてやればより一層蜜壷が餌を喰らうように締め付けるものだから、素直なその肉体の上に覆い被さっては指先で可愛がってやる。
髪を乱して次第に声を抑えられなくなる彼女にオニが堪らずにはだけた浴衣から覗く乳房の蕾に舌を這わせて吸い付けば彼女の手がオニの背に周り優しく子を抱くように抱き寄せる。
次第に彼女の足が震えて快楽に抗うように抑える彼女を誘うように指先で弄べば、より一層彼の指を食らいついて嬌声が上がる。

熱に浮かされた彼女が布団の上で倒れ込む間に彼は少し離れた位置においてあった自身のカバンの中を漁り買っていたらしい新品の避妊具を箱ごと持ってくれば枕元に部屋に備え付けのティッシュ箱と共に投げ捨てて彼女の上に跨り準備を進めようとする。

「脱がないの?」
「あぁせっかくだからな」

案外彼は助兵衛なところがあると彼女は内心感じていると、それを見透かしたように彼は自分のモノに薄い蛍光色のゴムを装着して彼女の足を撫で、その指先が伸びては花芽をまた撫でてやる。
男と違う女の弱点となる其の場所を撫でられた彼女は小さく声が漏れてしまうが意地悪に笑うオニは「その方が興奮するのはお前だ」と彼女の内面を暴いてしまう。
いつだって彼女の本心を知るオニは二人きりの任務だと言われた時から浮き足立ったような彼女の態度に可愛がってやりたくて堪らなかった、恋人でありながらも互いの環境下から恋や愛よりも仕事を取ることの多い二人がようやく得られた二人だけの時間に期待しないわけが無い。

「だってヒロさんのいまの姿かっこいいから」

酒や女を得て火照った肉体は彼の白い肌を程よく火照らせて、風呂上がりの髪はまた汗をじわりとかいては濡れていて、そんな彼をより妖艶に演出する紺色の浴衣から覗く彼の肉体は決して衰えを見せぬ武士-もののふ-の如く美しきモノであった。
彼女の姿を見て彼が興奮するように、また彼女もオニの姿に興奮して止まなかった。
その言葉を胸に抱きながら若くもないのにと内心苦笑しつつも彼女の上に跨りその柔らかくも鍛えられた足を掴んでは自分のモノを支えた。

「ナマエもずっと綺麗だ」

そういって唇を重ね合わせては互いの身体を密着させ、オニの肉棒が彼女の蜜壷の中に沈んで行く、あっさりと深く飲み込んでしまえば彼の根元がギッチリと抑え込まれ、彼女の最奥を優しく触れている。
舌を絡めて深く口付けを交わす二人は快楽以上の胸の心地良さを感じながら薄く開いた眼で互いを見つめ合い、それが戦場でもむさ苦しい兵舎やキャンプ地でもましてや安い薄暗いモーテルでもないことに感動してしまう。
場所と相手というものが大切だと理解していても特別な日を祝うようなこともない二人にとって、今日この場所は特別なものであり、互いの感情を昂らせた。

「ナマエ?痛かったか?」

ふと彼女の瞳にじわりと溢れる熱い涙にオニは彼女の恋人としての表情で心配そうにみつめて頬を撫でた、触れ合う事が久方振りであるが故に彼女を傷つけたのかと不安になるものの彼女はオニの頬に手を伸ばして互いの額を合わせた。

「幸せだと思って⋯こんなとこで、こんな風に出来るのが」
「⋯そうだな、俺もそう思ってるナマエとこんなに静かなところで過ごせるだなんて」
「今日はずっとシてほしい、満足するまで何回だって」
「そんなに若くない」
「嘘つき」

いつも本当は我慢してるの知ってるよ。という彼女にオニは気まずそうな表情を見せたのは事実であるからだ、毎度彼女の身体を考えて一度で終えるが頻繁に行わないが故に彼女との行為は時間が許すのならばもう少しだけ愛し合いたいと願っていた。
無理をさせたくないことや互いに自由のない時間を考えてのことだが今日は違う⋯⋯愛し合えるのだ。

「提案は受け取ろう、だけど今は目の前のことに集中しろ」
「ッあ!⋯ふ、うッあん、っごめ、ん」
「ハァ⋯あんまり言うな、じゃなきゃ一回が早くなる」
「ぁ⋯っはぁっ、あっ、いっいよ、じか、ンッ!⋯アッ、るし⋯ぃ」

まるで二つの肉体が一つになるように二人は身体を深く密着させて繋がりあった、部屋の外の露天風呂の音が二人の激しい行為の音をほんの少し誤魔化してくれていたものの熱い愛を止めることは出来ずに次第に二人の浴衣がはだけて、産まれたての姿のまま落とした浴衣の上で激しく行為を続けた。
向かい合い、背中を向けて、立ち上がって、寝そべって、まるで互いに出来る行為は全てしてしまおうとでもいうように普段の行為の何倍もの時間をかけて水を飲み汗を流しキスをして手を絡めて一つとなった。

「ナマエそろそろイキそうだ」
「う、ん⋯わた、しも⋯ぉ」

自身の上で腰を揺らすオニの汗がぽとりと彼女に落ちていく、唇に落ちた汗は不快感はなく涙よりも濃い塩の味がすると感じて彼女は彼の汗を拭いながらその唇を撫でて強く抱き締めてくれた彼が果てるのを優しく抱きしめ返しながら受け止めた。
胸の内の暖かさをずっと感じながら⋯

「お風呂ついてるのっていいね」
「そうだな⋯なぁ、ところでここでもヤッていいか?」

ようやく行為を終えて一段落した二人は部屋の備え付けの露天風呂を味わっており、人の気配もなければ自然のみがみえる露天風呂で提案された彼の言葉に彼女はダメだとは拒否できなかった。

「まっ、ぁ⋯あ、こえっ、でる」
「大丈夫だ、この時間だしこの辺りには人も部屋もない」
「ソコッ、っやっぁ、なっ⋯ぁ、だめっ」
「凄く濡れてるな、部屋よりやっぱりいいのか」

風呂の縁に腰掛ける彼女は湯船に浸かる彼に足を開かされ先ほどまで彼の肉棒を咥えていた蜜壷を舌や指で懸命に愛撫されていた。
溢れ出る声に抑えも聞かずに繋がり合うだけだと想定していた彼女にとっては手足が震えて今にも意識が取られてしまいそうだと思いながらもオニは彼女の極上の反応に喜んだ。
ヒクつく雌の蜜壷が次々と蜜を溢れさせて彼を誘い、先程果てたばかりの彼の肉棒にまた力が思ってしまい、透明な湯の中でハッキリと見えるその姿に彼女は目を奪われていた。
薄い風呂場の暖色のライトがぼんやりとしていたものの、遥かに月明かりとなった自然光がその場を照らした。

「ヒロさ、ぁ⋯やっぁ、イクッ⋯だめ、イクのっぉ、〜〜っ」

耐え切れずに背を逸らす彼女に顔を押し付けてジュルリと音を立てる彼の愛撫に耐えられぬほどの快楽を得てぐったりとする彼女から身を離したオニは立ち上がり優しく抱きしめてやり、オニは身体を清めて湯船に浸かって寝ようとかと思うものの彼女の手が彼の足を撫でて硬くなるそこに触れていた。

「準備出来てるならもう一回シよう」
「ゴムがない、取ってくるから待ってろ」
「ここならお湯もあるし流せるから平気」
「ダメだ、すぐ戻るから」

求められることは良くても互いのルールは守ろうとオニは彼女のためを思って伝えるが彼女は「平気だから」と告げた、任務終わりで荷物をそのまま持ってきた彼女は万が一のために医療ポーチに常備しているアフターピルがあることを伝えた。
確実では無いものではあるが彼女の強い眼差しはそれほどまでに彼を求めているものであり、彼はしばらく考えたあと「帰ったら病院に行くって約束するならい」と話をしては納得をする彼女を抱きしめて、風呂の縁に腰掛けさせれば期待した彼の肉棒を入口に擦りあてる。

「焦らすの⋯やだっ⋯」
「焦らしてない、濡れすぎて勢いよく入ったら怖いだ⋯っろ!」
「ッッンン!あっ、まっ、ゃ」
「あんなに誘われて喜ばないと思うか?」

湯船の中のお湯が激しく音を立てて外に流れ落ちる、情熱的に恋人に求められることを喜ばないわけが無いだろうとオニが堪らずに彼女に伝えれば嬉しそうに肩に腕を回されて二人は初めて隔たりなく互いを感じた。
湯船よりも熱く感じるような互いの熱に浮かされて何度も肌がぶつかり合う時、二人の快楽のボルテージも最高潮で抱き上げて繋がるオニの身体に足を絡ませて深く口付ける彼女が彼の首筋に顔を埋めて泣いた子供が甘える様に縋り付いてしまう。

「ッイキそ、ぉ⋯これ、っきもち、ぃの」
「あぁ⋯イッていい」
「はぁっぁ、すき⋯ヒロさ、ん」

虚ろにぼそぼそとつぶやく彼女に相当意識がイッているのだと気付いては激しく腰を打ち付けると背中に爪が立てられて強く締め付けられてしまい、彼はダメだと理解していても彼女のナカに愛欲を吐き出して互いの身体を抱きしめ合った。

「ロープウェイもあるし、滝とかもあるんだって、あと表のお店が美味しのも有名だって」
「それなら明日は滝を見に行ってみるか」
「はぁ〜にしてもこんなにゆっくり過ごせるならこういう任務もありだよね」
「今回だけだろうがな」

あの色ボケ社長にも感謝だと湯船に浸かりながらいう彼女は相当あの男が苦手だったらしく、理解は出来るものの苦笑いの返事をするオニは次回の任務も警護関係を受けてみたらいいのではないかといえば彼女は長期間激戦地に行くことに慣れているが確かに悪くはないと感じた。
湯船の中で心地よさそうにしている彼女は外の景色を眺めながら「でも時間もあるしどこも行かなくてもいいかも」と呟くことに観光地を巡ることやその場所の食事を楽しむ彼女が珍しいと思いみつめれば彼女は笑ってオニをみた。

「どうせ帰ったらまた忙しいから、二人の時くらいゆっくりいてもいいかなって」
「⋯誘ってるのか?悪いが三回目は出ないと思う」
「今のでキャンセルになりました、お風呂上がったら寝ます」
「悪かったナマエ、冗談だ」

ぷうっと頬を膨らませた彼女に冗談だと慌てて返事をするが逃げられてしまうオニはタオルで体を拭う彼女の横で一緒に拭いては、彼女の浴衣を拾ってやり着付け直しをしてやっては満足そうな彼女がまだ寝ない様子であることをみて手を取り広縁の椅子に座らせてオニはお茶と彼女の医療ポーチからアフターピルを取り出して二人を挟むテーブルの上に置いた。

「私も長期任務が多いからあんまり会えないけど、たまにはこうしてゆっくりしたいよね」
「そうだな、転職でもするか?」
「コルタックから?無理でしょ」

私たちなら尚のことと笑う彼女にオニもそれは理解しており、互いの経歴や出で立ちからして今更どこのPMCにいくことも、ましてや銃を握らない仕事をすることも難しいことは理解していた。
赤い錠剤を一粒飲み干した彼女を見て、本来ならばその指に飾るものを渡したいことや、薬を飲まなくてもいいといえる状況ならよかったと思いつつ何も言えないのは彼自身の問題であるからで、そんな彼を横目に手を握った彼女は笑った。

「来年は自分たちのお金で一週間くらい来よう、滝を見て四季を眺めて美味しいものを食べて温泉に入って、それでここでまたお茶を飲もう」

それは生きていく上での約束だ。
いつ死んでもおかしくは無いと、後悔しないとは言いきれないことだから、彼女は二人を繋ぐ約束をした。
オニはそれを理解していた為、握ってくれるその手を眺めては、来年これるか分からずとも、それでも「あぁ必ずそうしよう、この時期に二人で必ず」と約束の言葉を返した時、互いの微笑みを眩い月光が優しく照らしてくれるのであった。

2025.09.30