「シャワーに入りたい」

そう告げた彼女にエジソンは本から彼女に視線を向けた。
部屋の中は広くも狭くもない。代わり映えもない。カルデアにいるスタッフ全員に与えられる変哲のない無機質な部屋だった。
白獅子の姿をしているトーマス・エジソンは、そんな彼女の部屋の中で視力調整の為の眼鏡を掛けて、その人とも獅子ともいえぬ大きな手で小さな本を器用に読んでいた。
一方、そんな彼に独り言のように声をかけた彼女は部屋の中の備え付けのデスクの上でしていた作業を終えて。彼に振り返っては脚を組んでいた。

「入ってくるといい、私はまだこの部屋で過ごさせてもらおう」

エジソンは彼女にそう告げる。
部屋にはシャワートイレは備え付けであるのだ。仮に彼女が部屋を出ていくとしてもエジソンはまだ本を読んでいるため、部屋から出ていけと言われない限りは帰る気はない。と居座るつもりだが、当たり前のようにそういって本にまた視線を落とした。

「シャワーいきたい」

今度は言い方を変えた彼女にエジソンは二度も言うのはなにか意味があるのだろうと思い視線をもう一度向けると、彼女は小さく笑った。
どうやら何かがあるようで、誘われているのか、それともまたなにか閃いたのか。日頃から、この発明王であり、メンローパークの魔術師を翻弄することを得意とする小悪魔……否、魔女に本の手を完全に止めて見つめてみると彼女は視線を受けて満足そうに話をした。

「今日はね、サーヴァントのみんなの動物たちを一斉に洗う日だったの」
「あぁ、月一でしているとかいう」
「そう、八犬士くらいの子達ならいいけど、大きい子もいるからね」

タラスクとか……とか。といって笑う彼女にエジソンはあれは竜や魔物の類ではなかっただろうかと思いつつも、それは置いておいて、カルデア内にはサーヴァントたちが連れているペットのような生き物も多くいる。基本的にはサーヴァント同様、魔力や霊基などによって生きているものの、日頃からカルデアにいる動物達はみな丸洗いされる日なのである。

そうして、サーヴァントの管理係の一人である彼女は何人かのサーヴァントやスタッフと共にその仕事に駆り出されていたようだが、中々に大変だが楽しい時間を過ごせたのだという。
彼女の雑談を聞くのも悪くはないと本を完全に閉じては膝の上に乗せてしまうと、彼女は実家の長毛種の猫を洗うと、とても小さくなる姿を思い出したと懐かしむように話すことをエジソンも彼女の感性に理解を示してやった。

「だからね、シャワーに入りたいの」
「その話だと、君と……私か」

ええ。と彼女は長い前置きを終えるとエジソンはウーンと悩んだ。正直なところはあまりシャワーは好まない。生前から不衛生なところがあることは彼自身も他人に指摘されていることから多少は理解出来ているが、今の霊基はなおのこと、本能的にあまり好めないのである。
それでも目の前の脚を組んだ魅惑の女性が「アル……ね?」と幼少期に家族などから呼ばれていた愛称で呼びかけてくる彼女が、わざとらしく小首を傾げて微笑むものだから、エジソンは仕方なく付き合うことにした。

ワンルームの部屋に脱衣所などはなく、直接シャワールームが扉一枚を隔てたそこにあるのだ。二人は……特に彼女は恥ずかしがる素振りもなく、無邪気な子供が川遊びをするかのように軽い態度で衣類を脱ぎ捨てては洗濯用のカゴの中に放り込み。明るい部屋の中で眩く輝く肌を晒すと衣類をまだ残したエジソンに挑発的に誘うような笑みを見せては先にシャワールームへの向かった。
エジソンは自分の服を脱ぎ終えては後を追うように入ると、一人では十分でも二人だと狭いシャワールームで彼女がすでにシャワーをつけてお湯の温度を確かめていた。
生憎と日本の風呂などでもないため湯船はなく。完全にシャワールームとなったそこでは椅子のひとつもなく。エジソンは巨躯で彼女を見つめていると振り返った彼女がお湯が流れるシャワーヘッドをエジソンに向けると、彼を簡単に濡らした。

「イタズラ好きのお嬢さんだな」
「ふふっ、水も滴るいいライオンになるかと思って」
「それなら君もさらにいい女性になるということか」

まるで二人は子供のように無邪気に笑って湯気がくゆる中で互いの肌を濡らした。彼女の人の肌とは異なるエジソンの人の身体に似た獅子の肉体のような姿を改めて眺めると、誰かがある日告げたキメラという単語はその通りのようにも感じられるが、彼女はその肉体になんともいえぬ魅力を感じつつも、彼の顔にまたシャワーのお湯をかけると「ぐわっ」と間抜けな声を出すことにクスクスと笑った。

ふと、彼に腕を回して正面から抱きつくと、腰に回した彼女の手がエジソンの背中を撫でて、上から下へと降りると、そのまま尾てい骨を撫でるため撫でられた本人は驚くも、彼女は平然とした顔をして彼を見上げた。

「そういえばあなたって、尻尾が無いのね」
「勿論だとも、私はそこいらの獣ではないのだ」

なにせ発明王であり天才なのだから。と笑う彼を気にせずに、彼女が何度もその場所を撫でるうちに、エジソンの声が次第に減っていき。反対にシャワーのお湯を出したまま、彼の腕が彼女を抱き竦めると、同じようにその背中から下へと指を滑らせて、彼女の尾てい骨を撫でる。

「その気になった?」
「君がそうさせたんだろう」

シャワーを互いの上の位置に戻したのはどちらかわからない。
しかし互いに耳元で囁くようにいうと、どちらからともなく唇を重ねた。
尾てい骨を撫でていたエジソンの手が彼女の頬に添えると、なおのこと求めてくることを受け入れながら、彼女はエジソンの尾てい骨から前に手をやると、僅かに熱を持ち始めた彼のモノを撫でた。

薄く開いたエジソンの瞳が色を持つのをみながら、互いに口付けに夢中になり触れていたが、大きな息を吐いて唇が離れると、彼女は狭いシャワールームの壁に手をついて、薄く脚を開いて背後のエジソンに微笑んだ。
雨のように降り注ぐシャワーのお湯が彼女の髪や肌を濡らす姿さえ、一つのエッセンスのようであり、エジソンは右手で彼女の臀部の側面を撫でると、そのまま内側の薄い茂みに指を潜ませた。

「っ…ぁ」

シャワールームに響くお湯の音とは違う、粘着質な水音が小さくすると、エジソンは男として気持ちが良くなった。
太い白い指が彼女のナカに沈んで、肉壁を撫でるたびに、彼女は受け止める時に声が漏れるがシャワーの音にかき消された。
慣れた彼女の体にエジソンは濡れた指を抜くと、粘液を纏った指はシャワーのお湯に流されていき、すっかりと逞しくなった彼のモノが彼女の臀部に触れた。正確にいえば尾てい骨で、彼女が最初にエジソンに触れたように尾を確かめるようだった。

「私もアルも一緒だね」

紅潮して期待した顔をする彼女がそういうとエジソンは自分の尾てい骨から生えるものがないのを改めて感じた。シャワールームに備え付けられた小さな鏡に映る自分は獅子の頭に、人とは少しだけ違う肌質をしている。人と獅子が混ざったようなものだ。柔らかい毛が水で濡れつつも脚を広げた彼女に後ろから身を寄せて腰に手を添えた。

「男と女という違いのみだろう」

当たり前の言葉を吐いて、己の昂りを沈めると彼女の声がより一層甲高くシャワールームの中に反響した。狭いその場所で肌を重ねるとシャワーのお湯の音が激しく聞こえる中に、確かに肌と肌がぶつかり、女の声と、男の声が交わっている。

「あっ……!アルッ……!」
「あぁ本当に綺麗だ」

壁に押し付けられて彼に抱かれる彼女は雨の中の女神のように美しく麗しい。情欲を孕んで濡れた瞳と、重たく甘い吐息はエジソンを獣へと変化させる。
両手でその細腰を掴んで、より一層腰を打ち付けると、シャワーの音に負けないような肌のぶつかる音がして、互いに尻尾があるのなら、きっとそれらは互いにぶつかり合って邪魔をしていただろう。

腕を張るのも疲れて、次第に体制を崩す彼女を後ろから抱き締めるようにしてピストンを繰り返すエジソンの行為は獣に似ている。元来この行為はそういうものなのだ。今の人が知性をつけて知恵の林檎を食べたから羞恥などを覚えてしまい、その行為を次第に繁殖本能ではなく愛欲として利用しただけのこと。

頭上から降り注ぐお湯が二人を濡らす。
それはロマンティックを演出するためなのか、それともその火照りを覚まさないようにか、反対に目を覚ませというようにか。
濡れたまま互いを求めるうちにエジソンは限界が近いと彼女に身を寄せて肩口に頭を乗せて、より一層強い行為へと変わる。

「あぁっ!アルッ……アルッ……いいっ……!」
「そろそろ限界だ」

重たい吐息が吐かれるとエジソンの左手が空を彷徨う彼女の左手を掴んでぎゅっと強く握った。
そして、数回の腰の強い打ち付けと共にエジソンが彼女の背中に欲望を吐き出すと、重たそうに息を吐いて、シャワーの音を聞きながら彼女を抱き締めた。
少しすると彼女が少しだけ体を捩って、エジソンに振り返り、後頭部に腕を回すと口付けをした。

「ねぇ今度は、ベッドで尻尾がないか教えてちょうだい」
「私は君と同じだといったのに」
「嘘つき、ベッドの上じゃあ野獣じゃない」

それにサーヴァントなんだから体力くらい大丈夫でしょ。と言われてしまうと否定はできないとしてエジソンはシャワーのお湯を止めて、互いに身体を離してタオルを片手にベッドに流れるまではすぐのこと。

乱雑に互いに白いバスタオルで身体を拭くと、火照ったままで狭いベッドに流れ落ちた。先にベッドに寝そべった彼女がタオルを片手にたてがみを拭いていたエジソンをみつめては脚を薄く開いて、シャワーと彼の熱ですっかりと血色のよくなった濡れた唇に弧を描いた。

「ねぇトーマス、早く来て」

挑発するように名前で呼んだ彼女にエジソンはタオルを首に掛けたままベッドによると、狭いシングルベッドが軋んだ。
部屋に備え付けのベッドはシングルのみで狭いが文句を言うつもりはない。なにせダブルベッドに変えるとますます部屋が狭くなり。二人が椅子に座って本を読むことが出来なくなるからだ。ベッドにいるのは愛し合うか眠る時だけだ。

薄く脚を開いて挑発的に微笑む彼女。シャワーのお湯では落ち切らなかった濡れた接合部。てらてらと明るい部屋の照明に触れると蜜を含んだ薄い茂みが誘い込むことに彼はごくりと唾を飲んで、彼女の間に膝を入れて見下ろした。

「君がいうように、"野獣"にならせてもらおう、そして君もまた"獣"ではないのか確かめさせてもらおうか」

意地悪そうな目をしながらも誘うように微笑むエジソンに彼女が嬉しそうに微笑して、彼の頬に手を添えては身を寄せさせると鼻先やたてがみにキスをしたあと、唇を甘く噛みついてきたことに彼の巨体が僅かに驚きに揺れるが、彼女は脚をさらに開いて彼を誘うものだから。エジソンはその大きな手のひらで彼女の肩から胸を撫で、その下に向けて前進していく。

熟した桃のように肌が心地よく色付いた彼女の冷たい髪を撫でながらエジソンの指がまた沈んだ。シャワールームで行った愛撫は互いに余裕はなく、はやく…と急かされてしまうと彼はつい性急にしてしまったが、二度目のいまは、この目の前の挑発的な女をいつもの如く崩したいと思えた。

二人の行為は攻守交替のようだ。
勝ち負けなどはないけれど、エジソンとて自分が満足するだけなのは不平等であり。彼女から挑発的に誘われた今は獣のように貪りたいと思いつつも、その反面ヒトとして彼女を蹂躙したいとも思うのが性だろう。

濡れた茂みに手を伸ばすと冷たい水が彼の手に触れて、そこから更に奥へと垣根を分けるように太い指を滑らせて、今度は解すためではなく。快楽を享受させるように沈めてやった。
肉壁を撫でて、奥から溢れた蜜をさらに求めるように慣れた手つきで指を動かすと、次第に彼女はシーツを掴んで、頬を熟させて、重たい吐息を洩らした。
まるでモールス信号を叩くように一点を責めると、彼女は腰をくゆらせて甘い声が喉から溢れてしまう。

「ん……ぁ……アルッ、そこ」

先程は見られなかった彼女の表情をしっかり眺めながら、時に叩いて、時に撫でて、時に擦って、時に抉って。と繰り返すと彼女がより一層身体を捩らせるものだから、エジソンは喉がなってしまいそうだと自分でも感じながら、少しだけ意地悪に彼女を見下ろして告げた。

「なんだ、私よりも今のベッドの上で身体を捩らせる君の方がずっと"獣"……いいや、猫のようだな。尻尾があるのは君の方じゃないか?」

なぁ?と確認するようにひと押し大きく責めると彼女が甲高い雌の声を上げて奥からどぷりと蜜を溢れさせる。
すっかりと塾した彼女が大きく息を吸って吐いてと繰り返すことや、伸縮して指を締め付けた感覚からして、彼女もまた果てたのだと理解するエジソンは挑発的な態度を見せるが。
少しずつ理性を取り戻し始めた彼女は濡れた指を抜いたエジソンが次の段階へと向かう準備をしているのを見つつ、彼の下でS字のように身体をくねらせて、そして獅子の男に向けて、さらに目を細めては挑発的に笑って膝を立てては脚を薄く開いた。

「──にゃあ」

どうだ。と勝ち誇ったように笑う彼女にエジソンは呆気を取られた。
しかし、直ぐに彼はその胸の奥……いいや、腹やその奥から感じる熱をさらに増幅されるのを感じた。まるで彼女は溶解炉のように全てを溶かして来るとも思えた。

「君という女性はッ……いや、君の方がずっと危険な獣を飼う存在ではないか」

エジソンはいつものように声を荒らげると、途端に彼女の細い脚を掴んでは自分の腰に回して。獣のように覆い被さると、自分が尾が無くとも獣であるというように彼女の最果て目掛けて穿いた。
ベッドがギシギシと鈍い音を立てて揺れる。彼女がエジソンの背中に腕を回しては子猫のようにひゃんひゃんと鳴くが、エジソンは容赦なく腰を動かした。

「あぁっ!……アルッ、だめっ……はげし、い……」
「君が煽ったんだろう!この私を…ッ!」
「だって……だって、ぇ……」

からかうと楽しいからと彼女が笑ってエジソンの腰に回した足で器用に彼の尾てい骨の部分を撫でた。
すると彼女のナカに沈んでいたエジソンのモノがさらに反応するのを互いに感じては、彼女は笑ってしまいそうになる。なんて単純な直流思考の男なのだろうかと思ったことだろう。
エジソンはその白獅子の顔を真っ赤に染め上げると彼女の名前を呼ぶと同時にいたずらな足を掴んで離し。一度自分のモノを引き抜くと、今度は彼自身が彼女をひっくり返すようにうつ伏せにさせて、腰を掴み自分の高さに合わせると穿し貫いた。

「本当にイタズラ好きの子猫には困ったものだ」
「……ッ、あ、それ……イヤッ、アル……トーマス、やめ……て」
「なに、私の言葉を聞かせてるだけだ、それにここから尻尾が生えてくるかもしれない。猫の尾ではないな……狐かもしれない」

彼は腰を打ち付けながら彼女の尾てい骨の上で、左手の中指を用いて電信を打った。口先のエジソンは彼女に「本当に尾があるのではと思う程の反応だ」と楽しそうに言いながらも、指先の電信は愛の言葉を告げていた。
愛らしいだとか、気持ちいいか?だとか、口にするのも恥ずかしいような言葉を何度も打つ彼の言葉を理解してしまう自分を呪いながら、激しくなる行為にいよいよ彼女は「イきそう」と消えそうな声でつぶやくと、彼は手を止めて、彼女を横向きでベッドに寝かせて、その背中にいるエジソンは繋がったまま、彼女の右足を掴んで大きく開けては接合部が見える程大胆な格好で激しくピストンを続けた。

「アルッ……だめ、っそれ……んっ、あ!」
「あぁ理性もなく身を委ねるといい」

アル……アル……と彼女以外呼ぶことのない名前を呼び続けて彼女が果てると、エジソンも腰を揺らすのを続けて、それから少し間を開けた後に引き抜いては彼女の尾てい骨や臀部の谷間に擦り付けては熱を吐き捨て、二人は獣のような行為を終えた。

「「はぁ……」」

ひと仕事を終えたように深い息を互いに吐くと二回戦もしたことは流石に体力がと感じられた。彼女は肉体的に、エジソンは英霊としての魔力の循環から。互いに一汗かいたような気持ちでベッドで横たわっているが、ほとんど巨躯のエジソンがベッドを占領し、彼女は彼の半身に身を乗せてるような形で横たわっていた。

「それでご満足いただけたのか?我が猛獣使いくん」
「あら?獣じゃないと言ってたのに」
「うむ、もちろん私は獣ではない、立派な人だ」

しかし、男は獣……狼だとも言うだろう?とエジソンが茶目っ気の混じった笑顔で自信満々に言うのを聞いて彼女は目を丸くする。
エジソンの手は彼女の腰を支えて、相変わらず尾てい骨を撫でており、彼女はそれを味わいながらも直ぐに笑みを浮かべて、ちゃあんと返事をした。

「あなたったら立派なたてがみをしたライオンじゃあない」

狼よりももっと立派だったわ。と彼女が彼の太い腰に手を回して背後に回って臀部を撫でると、やはり見た目は獅子の姿でも尾はなかった。
くすぐったいのか、恥ずかしいのか、なんとも言えぬ反応をするエジソンに満足そうな顔をして、彼女は鼻先にキスすると後でもう一度シャワーを浴びなきゃと言った。今度はちゃんと互いを泡まみれにさせて。

2026.06.04
タイトル:荻窪メリーゴーランドより