セカンドワンナイト



二度あることは三度あるということわざが日本語にはあるが韓国語にはないのはその人たちには過ちを繰り返すことがないからなのかもしれないと感じつつ、厳密にいえばまだ二度目だと自分に言い訳をしつつメガネを外して少しお酒とタバコの匂いの交じったその人に顔を寄せられるとフワフワとした頭で見つめてしまう。

「本当にいいんだよな?」

そういったサンウさんの真っ黒な瞳になにも言えずにお酒のせいですと言い訳を自分の中でしている間にキスをされてしまえばまたしても母国にいる両親に悪い子でごめんなさい。と思いながら思わずサンウさんのシャツを掴んでしまうのだった。

◇◆◇

数時間前
あの日泥酔した彼女が記憶を失いつつ最悪な朝を迎えた相手との日を彼女はあれから忘れられなかった。
記憶がなかったもののあの後一度帰宅し身だしなみを整えようと改めてシャワーを浴びた時に残っていた赤い跡は確実にベッドを共にしたサンウからのものとわかった彼女はその場で座り込み酷い後悔に苛まれた。
おまけに偶然彼がゲームの参加者リストに居たからよかったものの、そうでなければ始末書どころか始末されることになるほどであり、スカウト業をしている中でも信じられないことだと思われても仕方が無いとあの日から随分と落ち込んでしまったほどだった。

大抵の事は寝たら忘れてしまうものだが、彼女が忘れられない理由はあの男、チョ・サンウとの夜をせいだった。
重たい雰囲気を醸し出していたが何処か儚く壊れそうな繊細さも兼ね備えているが駆け引きが上手そうでもあり、さらにはあの日の帰りにいわれた言葉とされた行動、ワンナイトという彼女にとっては有り得ない関係に発展したが故に頭から簡単に消すことは出来なかったのである。

「にしても疲れた⋯本当この仕事って肉体労働過ぎる、こういう時は飲んで帰っちゃおう」

女性の一人飲みというのはあまり推奨されないものだが日本にいた頃から一人でも特段困らずに行動できるタイプであるゆえにスーツ姿のまま彼女は騒がしい繁華街に入り、何を食べようかと考えながら歩いていた。
丁度適当な居酒屋があり、中を覗けばそれなりに騒がしく一人でも気兼ねなく飲めそうだと判断して踏み出した時、ちょうど反対側から踏み出した足の相手と引き戸に触れる手を当ててしまった。

「すみませっ!⋯あれ?」
「悪い⋯この間の」
「ナマエです、偶然ですねこんなところで」
「ナマエ⋯さんか、そっちこそ飲みに?」

そう聞かれてしまえば女一人でこんな金曜日に飲みに来るなどと無性に恥ずかしさを感じてしまい口をまごまごとさせて誤魔化そうとするものの「俺も一人だからよかったら飲むか?」という声に少しの気まずさを感じつつも、このまま背を向けることや、はたまた一人で店に入るのも忍びないと感じては絞りカスのように小さな声ではい。と返事をして結局流されるように店の中に入っていった。

お互いにスーツ姿であった為、まるで上司と部下が仕事終わりに飲みに来たかのような雰囲気にも読み取れるだろうが、その実女側は背中を丸めてビクビクしているように見えるため、まるで今日は何かミスをしてそれを飲み相手の上司が慰めてやってるようにも見えるだろう、お陰様でカウンター席なこともあり見兼ねたカウンター奥の店主が二人にサービスだと刺身の小さな盛り合わせを置くものだから余計な申し訳なさが彼女に募った。

「この間のこと⋯本当にすみません」
「いや気にしてない、それよりちゃんと家に帰れたのか?」
「ええそこは問題なく、お酒も残ってなかったので」

苦笑いをしつつ目の前のピーチウーロンハイを飲む彼女は家には帰れたがあなたのせいでとんでもなくびっくりする羽目になったんだ。と内心言いながらチラリと大きなジョッキを両手で持ちながらサンウを盗み見た。
次回のゲーム参加者であるため軽い情報は眺めていたが元の職業からみても彼は真面目な中年男性にしかみえなかった、とはいえゲーム参加者となる借金持ちなど大きくわけても2.3種類なのだから当然かと思いつつその事は今は考えることをやめておいた。

「今日も仕事で嫌なことがあったんだろ」
「そんな風に見えます?」
「そんな風にしか見えないな、女性が一人で飲みに来るならなおのこと」
「まぁいつものことなんですけど、最近ダメなことばっかり続いてるからつい⋯」
「例えば?」

仕事の忙しさ、上司のパワハラもどき、組織の圧力、顧客の扱い方、私生活においても上手くいかない事ばかりだと指折り数えて呟いては、私生活って彼氏か?と聞かれたことに彼女は目を丸くしては「いませんよ!」と思わず声を張り上げてしまうのは実際彼女に恋人という関係がもう数年いなかったからだ。
欲しい気持ちは少なからずあれど毎度上手くいかないことも悩みであり、趣味と仕事と恋人の両立が難しいのだと顔を顰めさせてサンウの手を見たが彼には指輪の跡さえみえなかった。

「ご結婚されてないんですか?」
「してるようにみえるか?」
「いや⋯みえ、ないです」
「お世辞ってやつを言わないんだな」

その言葉にう"っと喉を詰まらせたのは彼の言う通りであるからだ。
仮にそう見えると言ったところで建前合戦が始まるだけでなんの意味もないじゃないですか。といえばサンウは意外な顔をしたものの小さく笑った。

「意外とクールなんだな」

そういう貴方は笑うとかわいいですね。と内心呟いた言葉は口に出ていたのか、気付けばグラスはもう三度変わっていてフワフワとしていた、カウンター席は込み合い隣にやってきたカップルの男が寄ってきた為、彼女は思わず椅子をサンウの側に寄せると互いの膝が当たり慌てて離れようとすれば椅子が揺れて落ちそうになるもサンウは彼女の足に手を置いて問題ないというようにみつめた。

「今晩は一人か?」

それがどんな意味かは分かっていた、断った方がいい、彼は自分達からしてみればゲーム参加者であり何かを入れ込んではいけない。あのゲームに参加して帰って来れる人間など結局いつも一人なのだから。
そう冷静に頭の中で警告をしていたのに、気付けば手を取られタクシーの中にいた。
タクシー運転手に行き先を簡単に告げると運転手は分かりきったようで何も言わずに走り出す、白いカバーのかかった後部座席で五分もないのにシートベルトを律儀に閉めて手を重ねられながら以前とは違いはっきりと記憶があることに胸が高鳴った、今すぐ電話でも鳴ってくれれば断って逃げられる気もしたが生憎とそれは叶わずに流れるように部屋の中に入り唇を奪われ、ベッドの上に寝かされた。

「⋯いい、です」

許可を待っていたサンウがメガネを外し我慢の出来ぬように見下ろしてくることに胸がドクドクとうるさく音を奏でた。
大きな男性らしいその手が頬を撫で優しく唇を重ねた、小さくリップ音を奏でて恋人のように甘いキスを繰り返していけば互いに自然と求め合うように舌を絡ませてより深くなっていく。

「はぁ⋯」
「電気消しとくか?」
「⋯お願いします」

そんなことを聞いてくれる相手も滅多にいないと思うと感じつつ、眼鏡をかけていたサンウに見えなくは無いのかと心配すると、彼は「こんなに近いならちゃんと見える」と笑って部屋の照明を小さくした。
服をどうするべきかと悩む姿さえみえていたようでサンウは自分のシャツのボタンを外しながら脱がないのか?と聞くため慌ててシャツのボタンに手を掛ければ先に脱いでしまった彼の手が彼女のシャツのボタンに手を伸ばし一つずつゆっくりと外していく。
白いシャツを脱がされインナーを脱がされてさらけ出された下着姿に彼女は気恥しさを覚えるもののサンウはそんな彼女の背中に手を回し下着のホックを外した。

「この間の逆だな」
「⋯ソウデスネ」
「覚えてないって顔だ」

本当にあの日の夜のことは記憶になかったが一晩を共にした事実だけは残っていることはわかっていた、申し訳なさを感じたもののサンウはそれを気にした様子はなく彼女のスカートのホックを外しストッキングごと脱がせ下着一枚に互いになればもう一度触れるように唇を落とされる。

「それでも今日はちゃんと覚えるだろ」
「っ、ぁ⋯はい♡」

乳房に触れられてじっくりと形を変えられる、ほとんど見ず知らずのはずの相手に触れられてしまうことに驚きを感じつつも受け入れてしまうのは彼が悪い人ではなく、一晩過ごしたなら今晩も⋯と浅はかにも考えてしまったのだ。
小さく開いた彼の口がまだ柔らかい彼女の右胸に吸い付いて舌先で先端を転がせば思わず背中が小さく反応してしまうものの、サンウはもう片側を指先で器用にこねくり回しては責め立てた。

「っ⋯♡」

喉から出てしまいそうな声に彼女ははしたなさを隠そうと必死に抑えようとするが、深い深淵のような黒いサンウの瞳が胸から彼女の瞳に移された。
じっとりとしたその瞳に捉えられると同時に彼は薄く口を開けては見せつけるように歯を立てて甘くその小さな先端を噛み、指先で掴んだ。

「あッ♡♡」

堪らずに溢れた声にサンウは満足そうにしては強く吸い付き彼女の身体を刺激すると身体を震わせるその反応に彼は楽しそうに唇を離してその身体をなぞるように撫でて、ゆっくりと最後の一枚となる下着を撫でる。
少し乙女チックな趣味をしていると感じつつもそのレースとリボンのついた下着の表面からクロッチ部分を撫でたサンウは喉をくつくつと鳴らすように笑うため彼女は思わず顔を逸らすが彼は耳元に顔を寄せては囁いた。

「随分濡れてるな」
「⋯⋯ッ」
「それに、"ココ"弱いよな」
「っ♡ぁ、あ、ぁあ♡」

下着の上から小さな突起を撫でられると腰が揺れて甘い声が上がってしまう。
顔を覗き込むように眺めてくるサンウに顔を背けても唇を奪われ舌を絡め取られてしまえば拒絶できずに薄く目を開くと互いの視線が絡み合ってしまう。

「ハァッ⋯♡あっ♡」
「イキそうって顔だな、別に我慢しなくていい」

低い声で耳元でじっとりと囁かれるとその声に身を委ねてしまう。

「好きだっていってたもんな」
「〜〜〜ッ♡♡」

頭の先まで電流がビリビリと流れて思考を奪われてしまう、簡単にイかされて息を絶え絶えにする彼女を放置して下着を脱がせるサンウは媚びた雌の香りをさせる彼女を眺めては楽しそうに口角を上げて微笑んだ。

「サンウさっ⋯ん、ぅ♡♡」

まるで恋人のように唇を重ねる彼に身を委ねていたのも束の間にサンウは唇を封じたまま彼女の濡れたナカに指を簡単に沈めては支配していく。
二人の舌の絡む音と、彼女のはしたない愛蜜の音が部屋の中に響く、くぐもった彼女の声を聞くサンウは手を止めずに掻き回してやれば彼女は彼の骨張った長い指先を小さなその場所で締め付けては雌としての悦びを顕にさせる。

「ぁ♡は⋯ぁ♡サ、ンウさ⋯⋯ぁ♡♡」
「自分が言ってたんだろ、キスしながらされるのが好きだって」
「や、ぁ♡♡んぅっ⋯⋯♡」

その通りだった、恋人のように甘く抱きしめられてキスをして酸素を奪われながら責められること。けれどそれをあの日の夜、初対面の彼に告げてしまっていたのかと思うと羞恥心が激しくなるがそれと同時に快楽も強くなり身体を震わせては彼の指に翻弄される。

「イキそうだな、我慢しなくていいからな」

優しく抱きしめられながら指で責めたてる彼にそういわれるナマエは頭の中でこんなことは良くないと言い聞かせた、見ず知らずの相手とこんな関係になることも、ましてや運営である自分が自ら参加者と⋯と思えば思うだけ酒が程よく回った熱い体は反応してしまう。

「あッ♡ゃ⋯あ♡♡イック♡イクッ♡サ、ンウさ、ぁ〜〜♡♡」

絶頂とまた違う感覚に彼女は頭の奥で快楽とは別のものを溢れさせてしまったことに気付いては顔を青白くさせるものの、サンウは彼女の足元と顔を見比べて笑う。

「本当こういうのが好きだなナマエは」

まるでその顔は意地悪だった。

「あ"ッ♡♡だめっ♡♡や、ぁ♡♡イッグぅ、〜ッ♡♡」

ベッドの上のシーツが色を変えてもサンウは許してくれずに彼女を指で弄んだ。
まるで彼の指先は幾度も彼女を触れてきたような慣れた指先で彼女は快楽の中に困惑を持っていた。
気付けば背後から抱き竦められて、足を開かされてははしたない音を奏でるそこが指を何度も抽挿させて彼女を絶頂に導く、柔らかな乳房をイジメ、その首筋に赤い印を残すことをダメだと拒絶しなければならないのにほんの少しのアルコールとサンウから与えられる心地良さに溺れては自ら舌を絡ませる。

「サン⋯ウさ、ぁ♡♡」

熱に熔けた彼女の女としての眼差しをぶつけられる度にサンウの心は心地よく感じられて口角が上がる、女を抱いた経験はいくつもあれど彼女のその素直な反応や男を喜ばせる姿は彼の心を刺激する。
しかしながらサンウも彼女を感じたくて堪らないのは本音で、その腰に押付けた彼のモノは既に最高潮の昂りをみせているがそうさせるのはナマエだった。

まるで彼女は男を喜ばせる全てを知るかのように自分の快楽を味わいながらもサンウのモノを撫でていた、次第に彼女を押し倒して背後からサンウは彼女の小さなおしりに自分のものを押付けてやった。
期待を含んだ彼の先走りと彼女の濡れた愛液が絡まり合えば、ナマエは膝を立てたは薄く足を開きサンウを期待した眼差しでみつめる。

「⋯⋯くだ、さい」

サンウはゴクリと唾を飲み込んでは直ぐにベッド上部に置かれた正方形の薄い避妊具を破り捨てて自分のモノに被せては彼女の腰を掴みその脚の間に自分の体を滑り込ませた。

「⋯本当に、どこでそんな風に育ったんだか、なぁ?!」
「ッ""♡あ"っ♡ひゃ、あ♡」
「前の時のこと覚えてるか?サンウさん好きって言いまくってたの」
「あ"ッ♡♡おぼ、ってな"ッ♡ん"ッ♡♡」

その言葉にサンウは思わず彼女のおしりを軽く叩いてやった。

「叩かれるのも好きで?乱暴にされるのも好きって自分で言ってたんだぞ」
「そッ⋯⋯んなこと♡♡あッ♡はぁ、ん♡♡」

パシンと音が響き痛みを感じるというのに彼女はそれがどうしようもなく気持ちいいと思えた。
紳士的で年上らしく話を聞いてくれていたサンウがベッドの上でまるで本性を見せるように乱暴にしてくれることに彼女は喜びを感じているのだ。
自分の中に潜んでいるマゾヒズムを知られなくと思いながらも隠せぬことに彼女はその身を震わせては受け入れることしか出来なくなっていた。

「本当に誰に仕込まれたんだ、酒に酔って俺みたいな男に着いてくるなんて危機感もない」
「あ"ッ♡♡ごめ、なさっ⋯⋯♡♡」
「全くナマエは悪い子だな」

肌と肌がぶつかり合う音が響く中でナマエは以前の自分に何をして何を言ったのかと責めてしまうが、それこそ無意味なものだった。
気付けばサンウの上に乗せられて腰を自ら揺らすナマエはその快楽の奥で以前彼に対して激しく求めていたことを薄く思い出してはさらに彼を締め付けてしまう。

「前も⋯っ、上に乗ってたの思い出したか?」
「は⋯⋯♡あっ⋯⋯⋯♡♡」

グリグリと親指でクリトリスを押し潰されながら下から責められるナマエはその言葉にはっきりとあの日、泥酔した末にサンウをタクシーに乗せたのは自分であり。
そして気付けばたどり着いたホテルで彼の唇を自ら奪い、そして彼の上に跨り痴女の如く彼をレイプするように身体を繋げたのだ。
あの日は酷くストレスを貯めていて、生理も近く様々な感情が昂っていた中で優しく慰めてくれたサンウの優しさと彼に対してほんの僅かな下心が生まれてしまったのだ。

「お"ッ♡♡あ、の日は♡っ⋯ちが、ぁ♡魔が、っさして♡♡」
「魔が差してホテルに誘うのか、全くナマエは悪い奴だな」
「ほっ♡おッ♡らめっ⋯♡それ、イグッッ♡♡」
「あんな風に誘われて、忘れられると思うか?」

危機感が無さすぎるんだ。と彼女を押し倒しては足を掴み最奥まで腰を叩きつけるサンウに彼女は羞恥と後悔に苛まれながらも抗えぬ快楽に啼いた。

件の一件からサンウは生きるのに精一杯だったというのに目の前に現れたのんきな女は自ら送るといいながらタクシーで寝てしまい結局彼のホテルに連れ帰ることになったものの、まさか熱烈な行為をされるとは思いもよらなかったのだ。
拒絶することも出来たが女にしばらく触れていなかったことや、ストレス発散をするように激しくしても彼女は甘い声で「サンウさん」と名前を呼ぶために彼の頭の中は抑えられなくなり、そしてその夜深く求め合ってしまったものの、あの日以来サンウは度々彼女を夢に見てしまっていたのだ。

蠱惑的で妖艶でまさに自分を狂わせる悪魔のような女だとさえ感じられた。
酔っていた時と比べて次の日の朝にはまるで初心な女の姿をした彼女にもう一度会いたいと以前会えたその場所でさ迷っていた日々の中で再会できた時の悦びなど知りもしないだろう。

「ほらナマエ、名前を呼んでくれ、ン?」
「サ、ンウさ♡っあ♡サン、ウさ、ん♡♡」
「いい子だ」

名前を呼ぶ度に奥を小突かれて褒めるようにキスをされてしまえばナマエの頭の中はサンウで満たされていく。
激しくも優しく恋人のように熱い行為を行ってくれる彼に自ら足を広げて背中を抱きしめる姿はまるで恋人のようで、自ら舌を絡めては安いホテルのベッドが騒がしく音を立てる。

「は、ぁっ♡すきっ⋯♡サン、ウさん♡♡あっ、イッちゃ⋯♡♡」
「あぁ俺もそろそろ⋯ハァッ」
「あ"ッ♡ん、っく♡や、ぁっ♡っく〜〜♡」

強い締めつけと共に背を逸らす彼女を逃さぬようにサンウはその身体で押さえ込んでは腰を揺らしてやった。
余裕もなく額に薄い汗を滲ませては彼女の声を耳元で聞きながらサンウは限界を感じて彼女の唇を塞いで舌を絡めた。

「〜〜〜ッッ♡」

息が出来ずにさらに締め付けるその場所にサンウは欲望を吐き出せば甘く唇を噛まれぐったりとした彼女がその腕の中に落ちていた。
久し振りの行為の倦怠感を感じつつもサンウは優しく触れるだけのキスをしたあと、真っ白なその首筋に吸い付いては連絡先も知らない彼女に夢ではないというように赤い印を残しては優しく頭を撫でて、瞼を閉じる彼女に微かに微笑みながら目を閉じるのだった。

◇◆◇

「あんなに言わなくてもいいのに⋯」

今日も今日とてスカウトマンとして仕事をする彼女は仕事愚痴を零しつつ歩いていた。
仕事を終えて明日は休みとなれば一人であっても少しくらい外食をして帰ろうかと繁華街を歩いては立ち並ぶ店のメニューをみていた頃、ふと隣に並んだ黒いビジネスシューズに顔を上げた。

そこには少し前に顔を合わせたチョ・サンウがいつものような姿で立っていた。
彼女は目を丸くして「お久しぶりです」と恐る恐る口にすれば、彼もまた平然とした態度で友人のように「元気だったか?」と答えてくれたことにほっと胸を撫で下ろす。

「晩飯は?」
「今からちょっと飲んで帰ろうかなって」
「じゃあ、一緒にどうだ」

店前のメニューの書いた看板を眺めていた視線からもう一度みればサンウは口角を薄くあげて微笑んだ。
それはいつだって変わらない彼の笑顔で心臓がドクリと音を立てる時、彼の手が伸びて彼女の首筋を撫でる。

「もう消えた頃だろ?」

その一言だけで期待に揺れてしまう。
そう思いながらも彼女は招かれるように彼と共に店の中に入ってしまう、今日もまた帰れないことを知りながら。