宇宙探索部隊の医師として任命された際その大変名誉ある立場に酷く彼女は感謝した、宇宙では様々な種族……特にトランスフォーマーの戦争はなかなかに終結せず未だ地球も巻き込まれながら手を取り合い続けていた

 そんな危険な宇宙に飛び立ち半年、その事件は起きたのである。

 隕石が乗っていた宇宙船にぶつかり大破してしまったのである。訓練をしていたものの当然人はパニックに陥る中で彼女は冷静に宇宙服やメットを身に付け出来うる限りの知識を持って対処するが機長は逃げられる者だけでも逃げてくれといいポッドに押し込めた、だがしかし隕石は流星群のようになっており切り離した緊急ポッドさえ大破し目の前で仲間達は星屑となった……そうして無事に逃げ出したはいいものの真っ暗な宇宙空間に放り出された彼女はあと数時間でなくなる酸素に危機感を覚えつつもいい人生だったと目を閉じた

「こんなところで寝るやつがおるか」

 フワフワと暗い宇宙の中を漂う彼女を捕まえたのでは大きな翼を持つ一体のトランスフォーマーであった、このまま握り潰されるのかと思いきやその手はとても優しく彼女を抱き、気付けばデストロンの基地に案内されていたのだ

「あのぉ……私これからどうなるんですか?」
「考えてはおらんが暫くはここで暮らすといい、生活必需品等はワシが揃えてやろう」
「左様ですか、ちなみにお名前は?」
「デスザスラだ、好きに呼ぶと良い」

 そうして拾われた彼女は特に何不自由無くその基地での生活を始めた、何故彼女が飼われたのかなど特に理由は無い意味があるのかないのか暇潰しか……とはいえ彼女にとって命の恩人であるのだから何かしらの力にはならねばと思ってしまったのだ、例え悪人達だとしても彼女にはそう感じられなかった

「それで俺達はお前の実験台ってか」

 見下ろす巨大な存在に彼女は怯えることもなければ当然かと眉を下げる、リペアという彼らの医療知識を身に付けあとは実技とのことだが人間とて信頼もできない素人の医者に身体を託すなど到底出来ないだろうと彼らの警戒心に納得する
 デスザラスと一体一での座学を続け早数ヶ月、いい加減医療者としての腕を振るうのもいいと言われるがまま紹介されたのは恐竜戦隊という特に前線活動の多い部隊である
 細かな傷を各所につけて戻ってきた彼らは治療室の入口でその存在を睨みつけ大きな隊長の背中を見ては「俺達実験台にはなりたくないです」と呟いた、だがしかし大帝の提案を拒絶するとならば何が起きるやらと彼は悩みに悩み出した答えは……

「こんなもんだな」
「あなたが教えてくださるからスムーズに出来ましたがお加減は如何ですか?」
「いい調子だ、もう少し慣れたら軍医として使えるだろうよ」
「よかった、ありがとうございます」

 部下達の怪我を任せることは出来ないため隊長である自分がと提案した彼に了承し、腕の大きな傷を治したものの半分以上は彼の説明のおかげでもあったがそんなことは関係なく素直に彼女を褒め称えた

「また次回も頼むぜ」
「はい、あっ……そういえばお名前お伺いしてなかったんですが」
「ゴウリュウだ、好きに呼びな」
「ゴウリュウさん、うん、また沢山教えてください」

 何度か名を小さく呼ぶ彼女にくすぐったさを感じた、こうして人に優しく甘く呼ばれることなど彼には一度たりともなかったように感じるからだ
 それでも何度も練習しては嬉しそうに笑みを浮かべる彼女にもういいだろうといえば彼の顔を見てもう一度「ゴウリュウさん」と呼ばれる、なんなんだと呆れて返事すれば彼女の嬉しそうな笑みが治療室に響く
 全くもって変わった生き物を大帝も拾ったものだなと思いつつもその優しさに絆されればいい加減フランケンシュタインにでも魔改造されたのだと思った部下達が震えながら治療室に来た為彼は騒がしく出ていってしまう

「ゴウリュウ……さん」

 とっても素敵なお名前。そう思い出して彼女は一人広い治療室に残されては嬉しそうに片付けをした、器用な割に不器用な彼を思い出して