「これまた随分みんな…」

遊んできたんですね。という彼女に恐竜戦隊の面々は照れ笑いを浮かべた、今回の任務は殆ど成功を収めたといってもいいほどだが途中サイバトロンの襲撃にあってしまい怪我こそないものの地球での活動の中泥池に落ちたらしい彼らの姿はとても野性的になっていた
ゴウリュウを抜いた面々は基地をこれ以上汚せば怒られるから今から洗浄室に行くといったとき彼女はその表情に明かりを灯して彼らにひとつの提案をして衣装棚を漁りついて行った


任務の成功を珍しく褒められたというのに出ていく間際反対に大帝からの任務を失敗した副官レオザックは基地をあまり汚すなとゴウリュウの機体を睨みつけ言った、そんなことは理解しているから今すぐ洗浄室にいくんだと部下たちにも伝えようと恐竜戦隊に与えられた広い部屋に行くが仲間たちは誰もおらず面倒臭がりな連中が珍しいものだと感心しつつ彼も洗浄室に足を向けた

「にしてもみんな凄い汚れてる」
「いやぁ沼に落ちちゃったからな」
「ロードシーザーの野郎が投げ飛ばすから」
「おかげで俺たち泥んこちゃんよ」

タオルを片手に洗浄室のドアを開けてゴウリュウは思わず足を止める、視線の先には恐竜の姿で洗浄される部下達とそして彼らを洗浄する一人の人間だった

「あっ、ゴウリュウさん」

彼を見るなり忽ち嬉しそうな顔をして手を振る彼女に部下達はついつい同じく微笑ましそうに笑みを浮かべるがゴウリュウは当然そんな状態ではいられずに彼女に指をさして叫んだ

「何してんだ!」
「なにってみんなのこと洗ってあげてるんです」

パーツの隅まで泥が入り込んでて取れないみたいで、という彼女に言いたいことはそうじゃないのだとゴウリュウは唇を噛み締めた、そんな彼の様子に指差す先を再度見た彼女は自身の身体を見下ろしたあとまた彼を見上げる

「どうです?とっても似合ってるでしょう?」

下着と変わらないその姿は人間が海やプールなど水場に行く時に着るものであると理解したがあまりの露出度の高さにいくらトランスフォーマーと人間という関係であれど女としてどうなのかとゴウリュウは考えた
だがそんなことを気にしない彼女と部下達はご機嫌に鼻歌をうたってスポンジやらデッキブラシを持つ手を進めるのだ、先に入っていた彼らは一人また一人と出ていってしまいゴウリュウも自身で適当にシャワーで落とせばそのままその場を後にしようとするものの最後の片付けをする彼女に呼び止められる

「まだ綺麗になってないじゃないですか、ほらこっち来てください」
「いい!俺は自分のことくらい自分で出来るんだ」
「そんなワガママいっても足元まだまだ汚れてるんですけど」

彼女の言葉にゴウリュウは言葉を詰まらせる、足元は確かにまだ汚れが残っていたせいか茶色い水溜まりが残されていた
このままじゃレオザックどころか大帝にも怒られるぞという彼女の言葉に一理あると感じこうなればなすがままよと彼は腹を括り洗浄室の真ん中にあぐらをかいた、納得してくれたことに満足した彼女はご機嫌にまたシャワーを片手に近付いた
親密に人に触れられるということは一体いつぶりかと感じた、鼻歌を歌いながら嬉しそうに笑みを浮かべる彼女に悪意のひとつも感じられず時折ゴウリュウはここがデストロンではないようにさえ感じられる

「痛くないですか?」
「はっお前さんの力じゃ触られてるかさえ分かんねぇさ」
「なにおう」
「おい、やめろっこらっ」

彼の言葉にムッとした表情を浮かべた彼女はゴウリュウの足の上に立ち胸元を洗っている手を伸ばし、繊細な首元に触れてコードの隙間に指を入れる、元より敏感なそこに彼は慌てて止めようと彼女を片手でまるで人形のように掴んで離せば二人の間には奇妙な空気が流れる
ゴウリュウははじめこそ悪戯をする彼女を止めるためとは思っていたが今現在その手に感じる柔らかな肉体にフリーズしたかのように動きを止めた、手の中の彼女はまるで自分に危機が迫っているなどとは思ってもいないのかいつも通りに微笑んでいた為、呆れた彼は思わず彼女を先程と同じ自身の足の上に乗せる
静まり返る洗浄室で彼女は何も言わずにまたゴウリュウの機体にスポンジを滑らせた、水の流れる音と彼女の鼻歌が混じり合いながら響くこの環境が悪くないと思いつつもいくら種族が違えど異性に無闇矢鱈と世話を焼くものじゃないという話をいつにするべきかと思いつつ何も言えず彼女をそのバイザーの下のカメラアイで見つめた