16.ノックアウト
『新女王誕生+王者カップル誕生!?』
翌日の新聞はもちろん全面二人のキスショットで埋め尽くされており2人して朝から呼び出されお叱りを受けていた、反省をするたづなと悪びれた様子のない鷹村の反応に怒りをさらにあげたが流石に試合を終えたばかりでまだ体の回復しきっていないたづなの身体が悲鳴をあげてしまった為説教は終了した
歩かせるのも悪いといい鷹村におぶられてたづなは自分の家まで送られてしまう
「あの…よかったらあがりませんか?」
「しんどくねぇのか」
「身体はまだ少し重たいですが大丈夫です」
そういう意味では無いが…と思いつつ一人暮らしをしている彼女の家に上がれば如何にもな女子の部屋に鷹村は反対に落ち着きがなくなってしまう
コンドームのひとつもなさそうな家だな…と思いながら当たりを物色すればちょうどタンスがあり小さな段をあければ下着が入っていた
「あっ!こらもうすぐそんなことするんですから、みないでくださいよ」
「ッチ、もう少し色気のあるやつおいとけ」
ちゃっかりと彼女のパンツを1枚盗んだがバレないようにポケットの中に入れて帰ってから楽しもうと決めた、コーヒーを2人分置いたたづなの部屋には可愛い女子の部屋の中にベルトが飾られてありその下には雑誌やら切り抜きやらが大量にあり思わずみようと身体を寄せるがたづなが身を呈して止めようとした
「なんだ俺様に隠し事か」
「そうじゃないんですけど、ダメって言うか」
「どうせボクシング雑誌だらけだろう」
「本当ダメなんですってば!」
慌てるたづなも鷹村の前では赤子のようなもので片手で制する、よく見れば自分の記事にはたくさんの付箋が貼られておりコメントまで書かれている
よく読めば小さな丸字で「ここの鷹村さんかっこいい」「さすが鷹村さん」「こういう選手になってみたい」などと散々自分についてのことが書かれてあり流石に自信家のナルシストの鷹村でも恥ずかしかったのか静かにそれを直したがたづなは顔を真っ赤にして睨みつけていた
「俺様が好きだと言うのがよくわかった」
「だから嫌だったのに」
「まぁまぁいいじゃねぇか、もうたづなのものだからな」
小さく耳元で囁けばまた顔を赤く染まらせる、からかいやすくて面白くいいおもちゃだと思う反面自分の中の欲が溢れるのもよくわかる、この女が自分をどう思っているのかは分からないが鷹村にとっては全てが自分を擽るいい仕草だった
「あの…いいんですか」
「なにがだ」
「私まだ
それなのに貴方は私の欲しいものを与えようとしている
身体の痛みも何もかも忘れそうなほど嬉しい出来事なのに何故か素直に喜べなかった
けれど鷹村はそんなたづなのことなど気にした様子はなかった、反対に冷静な真面目な顔だった
「俺様の隣に立つんだろ」
「立ちます」
「じゃあ大丈夫だ、お前は必ず俺様の隣に来る」
「そんなの分からないじゃありませんか」
「いや分かる、俺様の女だぞ?来れないはずがないだろ」
前髪をのけられて鷹村の額がたづなの額に押し付けられる、互いの瞳が混じり合い見つめあったあと静かに唇が重ねられる
「俺様の女だ」
その言葉だけで本当に何もかもができてしまいそうだと感じられた
高鳴る心臓を抑えるように鷹村の胸に顔を埋めれば彼もまた同じように高い心拍数であり、思わず勢いよく顔を見上げれば恥ずかしそうに逸らされる
「鷹村さん…大好きですよ」
たづなのその言葉に彼は小さく笑って唇を重ねた、塞がっていた口の中が小さく切れて鉄の味のするキスだったがそれでも何故か2人には甘く優しい味に感じたのだった。
end