悪い子小悪魔におしおきを




ハデスは毎日のように悩まされていた。
それもこれも自身の最愛の女にして我が城のメイドに対して。

「ハデスおじさま〜お茶の時間でございますわ!本日もたっぷり♡甘くて美味しい愛情と共にご用意いたしました♡」

午前十時の執務室は今日も今日とて冥界における重要な書類が文字通り束になって鎮座しており。ハデスはそれを捌くことが毎日の仕事の一つだった。
真面目であるゆえにその仕事量自体に問題も滞りもなく進んでいるもののハデスの手を止める声が一つ。

それが彼の恋人であり、黒山羊の悪魔バフォメットの孫娘、カオスの小悪魔バルゼミアである。

6cmのヒールのついたエナメルのパンプスにハデスの城にいるどのメイドとも全く異なる露出の多い過激なメイド服を着て現れたメイドの一人でもある彼女は、銀のトレーの上に落ち着くような心地よい香りを漂わせたティーセットを片手にやってきたと思うなりハデスの膝に早速と乗り込んだ。

冥界の一級クラスの獣の革で出来たハデスの執務椅子が小さく音を奏で、ハデスの上にやってきた彼女は横向きに腰掛けてはその長く美しい足を伸ばし、ハデスの首にトレーを持ちつつも左腕を添えて、右手で彼の美しい頬を撫でてはいつものように熱を孕んだ瞳でじっくりと見つめた。

「さぁ召し上がれ♡」
「忙しいんだ邪魔をしないでくれバルゼミア」
「はにゃあ!まさかの下ろされるだなんて、もうおじさまったら!」
「今朝メイド長からも伝えられたはずだ、余は忙しいから下手な遊びに巻き込むなと……全く仕事が終わったのなら早く持ち場に戻ってくれ」
「私の持ち場はおじさまの傍ですわ♡」
「すまんが間に合っておる、ではな」

ハデスは魅力たっぷりに自分に誘惑をしてきたメイドであるバルゼミアを片手で抱き上げては執務室の外の廊下へポイッと投げ捨てるとドアを容赦なく閉めては瞬時に鍵をした。
ガチャガチャと何度も開ける音が聞こえたものの「覚えておいてくださいませ〜!」と悔しそうな負け犬の遠吠えと共に去っていくヒールの音を聞いたハデスは鍵を外してドアを開けると、相変わらずの様子に哀れんだような他のメイドの視線がハデスに突き刺さり、彼はそっと仕事へと戻った。

普段であれば多少構ってやることも出来たものの重なった仕事は山のようになっており。それこそ猫の手も借りたいほどだと思うが残念なことに冥界はいつでもまともな人材が不足しており。ハデスの仕事は減る気がしなかった。
その上であの小悪魔メイドバルゼミアとなれば暇さえあれば、あの手この手でハデスを誘惑することばかりを考えてちょっかいをかける始末で彼も深いため息をつく他ならないものだが、それでも差し入れられた紅茶の味はハデス好みのものであるため、真面目にしてくれたらと思わず小さく胸の内で呟くのだった。

「それで?これはどういうつもりだ」
「え……ええっとぉ、そのぉ、ほっ本気じゃなかったのですわ!」

ハデスは執務室を開けて別の仕事をして戻ってきた間に起きていたのはそれは盛大なトラブルだった。
執務机の上は水浸しになっており。そこには慌てふためいて片付けをしようとしているバルゼミア。水浸しの書類はそれぞれ明日には天界へ提出しなければならない重要書類であり、ちょうどハデスがそれについての話をしに行っていた間のはずだった。

時間にして凡そ三十分から一時間。
午前から邪魔をしてきたバルゼミアに対してハデスは今日ばかりは相手にできないた【バルゼミア立ち入り禁止】という札を彼女を追い出した時に出しておいたはずだ。
ハデスは珍しく怒りが収まらない顔をして目の前のメイドを見つめるが、彼女もまたこんなつもりでは無かったようで「おじさまにお紅茶をと」「セッティングの際に普通に誤ってしまいまして」「わざとじゃないのですわ!」と必死に言葉を並べつつも机を拭く手を止めない彼女は立派なものだが、ハデスはここ数日の激務と彼女による邪魔立てによりストレスを重ねては限界も近かった。

「余は散々伝えたはずだ、忙しいから今日は構ってられないと」
「は、はい」
「お前を追い出したのも札を出していたのも意地悪だからではない」
「それはもう分かっておりますわ」
「だがお前は余が目を離した隙に忍び込み、あまつことさえ重要書類を濡らした。分かるか?明日中には出さねばならない重要な冥界の予算についての書類もあるんだ」

それはもう分かってますと叱られた犬のような顔をして返事をするバルゼミアにハデスは眉間に皺を寄せては彼女の手首を取るなりソファに腰掛けたかと思えば、自身の膝にバルゼミアを寄せた。
それは恋人としての普段の優しさではなく。
ハデスの膝の上にうつ伏せになる形であり。それは子供が親に叱られる際の屈辱的な姿であった。

「おっおじさまこれは!!」
「お前にこのような事をするのは余も心が痛むものだ。しかし幼い頃よりお前の教育を担当したからこそ、改めて教えねばならんようだな」

バルゼミアはハデスのメイドであり恋人ではあるが、それ以上に友人……いや、家族にも近いベルゼブブとハデスの城に仕える悪魔との間の娘でもあった。
そのため幼い頃よりかわいがってきたハデスはバルゼミアについてはまるで弟たちを世話してきた時のように面倒を見てやり、時に厳しく、時に優しくしてきたものだった。

バルゼミアはハデスの上でジタバタと暴れるものの屈強な冥王の前ではただのか弱いメイドでしかない彼女はその短いスカートを捲りあげられては「おやめくださいまし!」と声を上げた。

「全く下着も規定を守ってないようだな」
「そんな規定知りませんし、私はおじさまの恋人なんですからいいじゃありませッ〜〜ひ!」
「こんな布切れに短いスカートを履くのはやめろと毎日言ってるはずだぞ、まぁ今日に関しては叩きやすくて良いがな」

パシンッ!──と乾いた肌を叩く音が響いた。
スカートを捲りあげられた先にはハデスのためといって用意していた黒いTバックであり。剥き出しになった彼女の肉付きのいい尻にハデスは遠慮なく手のひらを叩きつけた。
最もハデスが本気を出してしまえば彼女は激痛に泣き叫ぶことになるため、相当加減はされているものの、屈辱的な体制と行為にすっかりとやられたバルゼミアは足をまだバタバタと動かすため、ハデスはまた手のひらを上に掲げた。

「毎日のことだがお前はいつになったらわかるんだ」
「ひぅっ……!!」
「規定外の服はダメだと!」
「ヒャンっ!!」
「勤務時間中の悪戯はやめろと!!」
「あぁっ!!」
「言っているだろう!!」

パシンッ、パシンッ、バシンッ!!
何度も肌を叩く乾いた音が部屋に広がり、ハデスは膝の上のバルゼミアを見下ろしては赤くなった尻に多少悪いことをしていると思えた。

「ごめ……んなさい」

掠れた声ですっかりと涙を浮かべているバルゼミアをみてはハデスも悪いことをしているとは思いつつ、教育の為だと言い聞かせながら反省を見せる彼女の赤くなった尻を労わるように優しく撫でた。
しかしハデスは思わず手を止めてしまい、膝の上のバルゼミアを見つめた。彼女は息を整えて必死に鼻を啜って涙を拭っていたが、ハデスは自分の指に感じた熱に思わず疑問を感じると同時に、己の中の男としてのものが刺激された。

「バルゼミアよ、コレはどういうことだ?」
「えっ、あっ…♡やっ、あ♡♡」
「お前は余から叱られていたはずでは無いのか?」

ハデスは彼女の形のいい尻を撫でたかと思えば、そのままTバックのクロッチ部分への指を這わせてみると、指先には本来は感じない熱を感じた。中指で軽くその渓谷を撫でればハデスの指に付着するの粘着質な女の蜜である。
膝の上に伏せる彼女はすっかりと羞恥心に顔をあげることもできずに彼の膝上で手を固くぎゅっと握りしめては答えられずにいると、パシンッと再度乾いた音が部屋の中に響いた。

「聞いているのだ、答えぬか」
「ッッあ……♡こ、これは……その、違うんです」
「違うもなにも、現に余の手を汚しているではないか、ん?」

見てみるがいい。というようにハデスは彼女の前に自身の右手の中指を見せつけると、そこには確かに叩くだけでは有り得ない蜜が彼の指に付着しており。ハデスの機嫌を損ねないようにと僅かに顔を上げたバルゼミアはそれを見るやいなや耳まで赤くさせては顔を伏せてしまう。

「ちが……違うんですおじさま……これは、これはその……」
「仕事の邪魔をし、罰を与えては喜ぶ、全くどうしようもない」
「ごめんなさい、ちゃんとしますから、もうお許しを……」
「罰を与えているのはこちらのはずだが?反省の色が足りんようだな」

バルゼミアは頭上から聞こえるハデスの冷たい怒りの声にその身を小さく震わせては、思わず本能として逃げようと足が自然に動いてしまうのを見逃さなかったハデスは左手で彼女をさらに固定するように抑えると、スカートを捲って剥き出しになっていた彼女の細いTバックの紐を人差し指でズラすなり、そのまま濡れた花園の中に遠慮もなしに指を沈めた。
人差し指と中指とまとめて沈めたかと思うが、ハデスは三本目の薬指を伸ばしては前方の彼女の小さな芽を撫でた。

「ッお、じさま?!」
「暴れるな、これもれっきとした罰だ、メイドとしての職務怠慢、恋人としてのおごり、それら全ての教育は余の勤めだ」
「だっ、からって♡♡あぁっ!!指っぃだ、め♡♡おじ、さま♡♡」

膝の上で必死に快楽から逃れようと身動ぎする彼女が本気で逃げ出そうとしている訳ではなく。ハデスから与えられる快楽と罰を嬉しく思っていることは彼自身も明白であり。
ハナから優しくするつもりもないと夜毎にベッドで愛しては知り尽くした彼女の弱い場所を執拗に責めてやると、バルゼミアの足は簡単に震えて蜜が溢れては激しい音が執務室の中に響いていた。

「おじ、さまッ…♡ゆる、して♡♡きも、ちよくなっちゃ、います♡♡」
「これは仕置きのハズだぞ?全くお前はなんてダメな悪魔なんだ」
「あっっ♡♡♡」
「いい加減に反省を覚えさせねばならん」

これもそれも甘やかしすぎたせいか?とわざと低い声で呟いてみせるとハデスの指を肯定するように締め付けるバルゼミアは「ち……が、います♡♡」といったが、ハデスは頬を緩めてはますます指を折り曲げては彼女の弱い場所のみを撫でてやるため、ハデスの膝の上でうつ伏せになった彼女は彼の外套を握っては快楽のみを得ていた。

「おじ、さま♡♡だめ……♡♡そろ、そろキちゃ、います♡♡」
「ほぉ?仕置きだというのに、悪い子だなバルゼミア」
「は、ぃ♡ごめっんなさっい♡♡」
「よく言えたな、そのまま果てて構わん、ちゃんとお前の姿はみておこう」

甘い声でバルゼミアを誘うハデスの表情は穏やかで、彼女はただその身をハデスに預けては快楽を宿し、そのまま甘美なる声を上げては彼の指を締め付けてはさらに蜜を溢れさせた。

「は……ぁ♡♡あ♡♡だめっ!ダメっ♡♡おじさまっ、ぁ♡♡いま、イッたの♡♡イッた、ばかりで♡♡お""ッッ指、ぃ♡♡そ、こだめ♡♡」
「仕置きだと言ったはずだ、止めるとは言っておらんだろう」
「で、もぉ♡♡あぁッ♡♡すきっ、ぃ♡そこっ、ぉ、だめ♡♡」

ハデスはまだ絶頂したばかりのバルゼミアを責め立てるとバルゼミアは高い快楽の波がまた迫りきたことに足を震わせて、ハデスの外套を掴んでは舌を出して犬のようにハデスの膝上で甘えるような態度を取るしか出来なかった。
ぐちゅくちゅっと激しい水音が響きつつも止まることはなく、内腿を震わせるバルゼミアは「も、ぉだめ♡♡」と告げることにハデスはニコリと微笑んだと同時にプシュッと何かが音を立てた。

ソファに腰掛けていたハデスの膝上にいたバルゼミアは最高級の快楽の中で自分が何をしたのかを冷静に感じ取っていた。
ポタポタと垂れる水の感覚、自分でも聞こえたその音、そして恐る恐る顔を上げた先のハデスの意味深なその顔。

「またしてもこの部屋を汚したなバルゼミア」
「ぁ……ちっ、ちが、ちがいますのおじさま!そ、それはおじさまが」
「尻を叩かれてははしたなく濡らし、果てたと思えば潮まで拭いて、床はもちろん、ソファも床もお前の蜜で汚れてしまっているぞ?」

お前の蜜は蜂蜜のような密度の濃い甘い香りがするからバレてしまう。とハデスは言いながら濡れた指を抜いて、彼女の眼前に再度見せつければ、当初とは違う。ハデスの長い指の根元まですっかりと濡らせた痕跡が確認できたことにバルゼミアはゴクリと唾を飲んでしまう。

反省をしなければならない。
冥王の執務室でこのような失態を重ねたことは恋人以上にメイドとしてあるまじきことだと彼女は理解した。
また、ハデスもそれに対してどう反省出来るのかをみるような眼差しを向けていたことに気付く彼女は、目の前に差し出されたハデスの手を優しく掴むと、その舌を伸ばして子犬のように舐めた。

「おじさま……いいえ、ハデス様……このバルゼミア、本当に、反省しております……ですから、んっ……お許しを」

どうかこれ以上はと告げるバルゼミアをみてハデスはすっかりとその気になっている自分も理解しており。必死にハデスを沈めようとする目の前の恋人をみてハデスは微笑んでは優しくもう片手で頬を撫でてはその瞳を見つめた。
王に屈した雌として蕩けた顔をするバルゼミアをみて、ハデスは「では最後の仕上げだな」と告げた。

「は、恥ずかしいですわ」
「普段のお前と変わらんだろう」
「うぅ……♡おじさまは意地悪です……♡」

執務室の本来であれば客人用のローテーブルに手をついて腰を高くあげるバルゼミアは顔を赤くしてはハデスにそう告げるが、彼は特に気にした様子はなかった。
少しだけ赤くなった丸い形のいい雄に媚びた尻がハデスを誘うように揺れて、ハデスは彼女の剥き出しの濡れた内腿を撫でては、その手が次第に上へと誘うように伸ばされ、期待に揺れた彼女の瞳を見たハデスは立ち上がるとバルゼミアは前を向いて覚悟を決めたようにしていたものの束の間。
スラックスのホックを外し、その熱が彼女を支配すると思っていたが、それ以上の痛みと熱が再度バルゼミアの臀部に触れた。

「ヒャンッッ!!」
「期待をしたのか?全くダメではないかバルゼミア」
「お……おじ、さま」

震える声でハデスを呼ぶが、彼はその背中を包むように抱き込むとバルゼミアの太ももから尻を撫で、そしてもう一度その大きな手のひらで彼女を打った。
乾いた音が響き、彼女の声が部屋の中に聞こえた。
痛みに涙が自然と溢れて目頭に溜まる彼女の顔を捉えてはハデスの中に宿る加虐心が強まる。それでもなお期待したようなバルゼミアの僅かな反応を見るハデスは笑みを浮かべては彼女の高くあげた腰に手を添えると、その大きな手のひらは彼女の細腰を捕まえるには適したようなものだった。

ハデスは彼女のヒールを履いた足を自分の足で開かせては、再度紐と変わらない下着を横にずらしては自分の熱量をそのままに沈めこんだ。

「〜〜ッじ、さま♡♡」
「本当に反省が足りんようだな」
「あっ♡アッ♡おじっ、さま♡ハデ、スさまぁ♡♡」
「子供のように躾られては浅ましく余を求めて、どうしてお前はこうもまぁ……」

上背の高いハデスの巨大な熱量を受け止めるバルゼミアはテーブルの上に手をついては必死にハデスを求めた。快楽も痛みも幸福も全てハデスにより支配された一匹の雌のように、従順になる彼女を見つめる度にハデスの秘めたる感情が強まり。
躾だと称しては彼女の柔らかい尻を叩く度に自分を締め付ける反応を愛らしく感じては、僅かに振り向いた彼女と視線が混じり合う。

「はで……す、さま」

ただの一人の女として抱かれた彼女の潤んだ瞳にハデスはその心が刺激される。
何度も張られた彼女の形いい臀部が赤くなるのを見つめて、ハデスは彼女から一度己を抜いてやると、恋しそうな声が僅かに漏れるが、バルゼミアを掴んでソファに腰掛けては向かいあわせのまま、もう一度抱きしめるように奥へと沈めた。

「あぁっ♡♡ハデ、スさま♡♡」
「バルゼミア、全くお前はどうしようもない」

何度叱っても反省もしない。自分ばかりを追い求めては困らせてばかりの彼女がどこまでも愛おしいと感じてしまうハデスは己の甘さに呆れつつ、膝の上で揺さぶられる彼女の乱れた髪を避けては唇を貪ってやると嬉しそうにハデスの背中に回される。

「んっ♡んっ♡ごめ、んなさいっ♡ハデスさまっ♡♡
「ハァッ……反省はしてるのか?」
「う、ん♡するっ、してる♡♡も、ぅシ、ないから♡♡」

もっと抱き締めて愛してと目で激しく語るバルゼミアをみてハデスはどうしようもなく呆れては胸の内を暖かくさせ、彼女の柔らかい臀部をその両手で揉みしだいては右耳を甘噛みしてやった。
普段よりも激しく乱暴なはずのその行為であれ、バルゼミアはハデスを抱きしめる腕を強めては恋人として名前を呼び交わし、その瞳の色を濃くしてはハデスへの言葉にならない愛を深めた。

「ハデス、おじ、さまっ♡♡わ、たしもうッ……♡♡」
「あぁ構わん、たっぷりと反省させてやる」
「あぁ♡あぁっ♡好きっ♡おじさまっ、もっと……もっとお叱りを〜ッ♡♡」

ハデスを強く抱き締めては果てるバルゼミアが締め付ければ、ハデスも後を追うように彼女の奥へとその熱い愛を注いだ。
すっかりと汗の滲んだ前髪が張り付いていたバルゼミアをみて、ハデスは優しく指で避けてやり、その小さな唇に口付けては反省を教えてやれば、二人はすっかりと抱きしめ合って、互いの熱と愛ゆえの痛みを味わうのだった。


「全くゼウスに連絡せねばな」

ようやく身だしなみを整えたハデスは執務机に向かってはバルゼミアの手でめちゃくちゃになった書類のことを呟くと、ちょうど身だしなみを整えて部屋の片付けをしていたバルゼミアはハデスの傍に行く。
ハデスはすっかり天界にも出さねばならない書類もバルゼミアに事故とはいえめちゃくちゃにされた事に改めて頭を悩ませつつも何とかなるだろうと思っていたものの、バルゼミアに「ハデスさま」と呼ばれては視線をバルゼミアに向けた。

彼女は少しだけ気まずそうな照れたような、なんとも言えぬ顔をしていたがハデスはもう邪魔をしないでくれと思いつつ何かと耳を傾けるように「どうした?」と聞いてやった。

「その……天界や他に出すのに必要な書類は各所に連絡を入れて既に期限を伸ばしておりますし。ほかの職務に関してもお急ぎのもので処理出来るものはこちらでしてまして」
「お前が……か?」
「え、えぇ、もちろんおじさまの許可が必須のものはあれですけど、各所担当の人に割り振ったりとか、メイド長でもありおじさまの信頼たるお母様にもお願いしましたし」

だからおじさまの仕事はそちらと、あとはこっちの確認のみですの。というバルゼミアの言葉に視線を向けると山積みになった仕事は二つかと思うが、片方は極端に少なく。もう片方は捲ってみたところ既に必要なことはまとめられねいたり、サインされていたりとしていた。

「なぜ先に言わないんだ」
「なってしまってすぐに処理してたんですけど……でも……その……怒ってるから……」

その言葉を聞いてはハデスも自分に余裕が泣く。彼女に対して厳しく一方的にしてしまったと思い出してしまう。
少し苦い顔をしつつ立ち上がってバルゼミアを見下ろしては、子犬が主人の機嫌を伺うかのような表情をするためハデスは目尻を緩めてはその髪を撫でてやる。

「よくやってくれたな、さすが余のメイド……いや、恋人だな」
「おっおじさま!?」
「仕事が落ち着いたらお前の好きなイチゴのスイーツでも用意させよう、もう少し待っていられるか?」

ハデスはかわいい恋人の機嫌を伺うように問いかけると短いスカートを揺らした彼女が目を輝かせては「当然ですわ!」と声をあげるなり上機嫌になり、早速自分も仕事に戻るといい慌ただしくし始めるのを見てハデスは微笑ましく見守りつつ、手のひらに残った彼女を躾た感触を思い出してしまう。
悪い事をしたか……とハデスが思う頃、片付けを終えたバルゼミアは執務室を後に出ていこうとするが、少しだけ動きを止めてハデスを見ては照れくさそうな顔をして呟いた。

「おじさまの"お仕置き"私嫌いじゃありませんでした、また……私が悪い子なら、して下さってもよろしいですわ」

そう言い残して慌てて去っていったバルゼミアにハデスは目を丸くしては思わず椅子に腰掛け、片手で顔を覆ってしまう。

「全く……全くあの小悪魔は……反省をしてくれ」

そういう彼の言葉はどこか甘く、そして優しく、どこかダメだとは言いきれぬものだが、それを知る者は誰もいないのであった。



2026.9.15


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