ひとつ屋根の下


ニコラ・テスラとその助手レディ・レジーナの関係というものに関して、ヴァルハラの科学者達は一同にその関係を深くつつき回すことはやめておいた、昔から人の恋路をなんとやら…という言葉同様に、テスラとレディの関係に下手に手を出せば電流で火傷してしまいそうになるからだ。

それを抜きしても完璧なる淑女レディは彼ら人類叡智の塊となる彼ら科学者たちの癒しであり、支えであり、息抜きの一つで、それは誇張したものではなく彼女が広々としたその研究室にベルを片手に日に何度かやって来ては、彼らに優しく息抜きをしてくれるからだ。

パンプスの小さなヒールの音が廊下で小さく音を立てて、ふわりとクラシカルなワンピースの裾が広がって、焼きたてのスコーンの香りが心地よくてついて行ってしまいそうになる時、今日もヴァルハラの研究室の扉が開かれてカランカランとベルが鳴り響いた。

「十五時でございます、皆様お手を止めてお背に着いてくださいませ〜」

広々とした研究室の会議用の長机の傍に並ぶ椅子には既に何人かが腰を掛けており、彼らはペンや紙を走らせていたものの鐘の音が聞こえると一旦休憩だと即座に机を開けていく。
彼女は持ってきた大きな籠バスケットを机の上に置いては慣れたように研究室の奥の部屋にある食器を手に取り、通り際に研究に没頭する相手に声をかけては長机へと誘う。
一人、また一人と手を止めて椅子に座っていくと一人ずつにいつもの様に淹れたての温度の完璧な紅茶と、紅茶に見合う焼きたての香りが広がるスコーンが二つずつ、本日はプレーンとブルーベリーの二種類、そこにたっぷりのクリームとバターとジャムが置かれるや否やみんな食べ始める。

それまでバラバラだった彼らは席については難しい議論を一時停止してレディに「今日も美味しい」「最高の味だ」と口々に褒め讃えて、彼女はニコリと微笑む中で一人分の紅茶とスコーンのセットを手にしては奥で未だに自分の世界から戻らぬ一人の男を見上げた。

「テスラ様、紅茶が冷めてしまいます、お手を止めてどうかお飲み頂けませんか?」
「……この数字だと、いや、並び方が」
「もうテスラ様!」

彼女は彼が座る移動式全自動キャスターの下で声を張り上げるとなると、先に休憩を挟んでいた彼らはまたいつもの事だと思っている間に、テスラはピタッと手を止めると「十五時十三分三十四秒」と時間を呟いた。
そして次の瞬間に目を見開くようにその大きな瞳で足元を見ては、そこに彼自身が人生の中で一番信頼する相手を目に入れた。

「レディ、いやすまない。分かっていたがつい熱が入ってしまって、今ちょうどいい数式が浮かんでね、これがあれば」
「それは構いませんが休憩してください、今日もあなたのレディがあなたのために、とびきりの紅茶と共にスコーンを焼いてまいりましたのよ?」
「君の淹れてくれる完璧な味の紅茶に、君が作り上げてくれた美しいスコーンという名の焼き菓子、あぁ耳にするだけで私のニューロンを刺激する!!是非いただこう……ところでレジーナ、先程閃いたんだが」

ヴァルハラには人類トップクラスの科学者たちが軒並み揃っている。その中でもニコラ・テスラは特別な存在とも言えるだろう。死してなお人類の未来と希望を見る彼は生前以上にいきいきとしており、キャスターから降りると控えていた助手である彼女が持つトレーの上のティーカップに手を伸ばすのではなく、彼女の腰に手を添えては、彼女の髪に唇を落とした。
テスラはニコニコと、それはもう太陽のように眩い笑顔で自分のひらめきを彼女に発表しており、その姿は子供が無邪気に母に話しかけるようでありながらも全員が揃う机に来るまでの間、助手である彼女と歩幅を合わせて彼女の左肩に手を添える姿は恋人以上の夫婦のようである。

そしてレディとテスラはまるで物理で社交ダンスでも踊るかのような軽い足取りで皆が先に味わっているテーブルの一席に腰掛けるとレディが即座に紅茶とスコーンを二人分並べては互いに優雅なティータイムへと移行した。

テスラの大きな手が彼女の焼きたてのスコーンの割り方の黄金比について説く間に彼女は簡単に彼の手から奪っては二つに割っては彼に差し出す。それまでスコーンの割り方一つに長らく悩ましくしていたはずの彼はそれが簡単に崩されたとしてもなにも気にせず、反対に「レディ!君が割ってくれたこのスコーンの形は」と話し始めるのを周囲の科学者たちは若干ウンザリしたような眼差しで見つめてしまう。

「お前たち家でもそうなのか」

思わずそう問いかけたのはテスラの旧友であり、良き好敵手(ライバル)であるトーマス・エジソンであった。彼は独特の癖のあるその前髪を揺らしては彼女の焼いてくれたスコーンにたっぷりとクリームを乗せながら二人を見つめると、テスラと彼女はキョトンとまるで鳩が豆鉄砲でも食らったような顔をしたあと、声を揃えて答える。

「ああ当然だ」
「ええ当然です」

「「何といっても私たちは単一個体なのだから(ですから)」」

その言葉にその場にいた全員が思わず白い目を向けてしまう、なんと言ってもこの二人は絶対にその言葉と考えを変えることはなく、周囲はそれらを理解しており深く言及するのを諦めた。
しかしながらその中でも気になる点は多く、テスラの口元のクリームを優しくナフキンで拭う彼女に対して声を掛けたのは老齢の科学者ガリレオ・ガリレイだった。彼は長い髭を撫でながらレディとテスラの仲睦まじい姿に少しばかり照れくさくも優しく問いかける。

「そういえば二人で暮らしていると言ってたがいつからそうなったんじゃ?」
「確かに気付けばお二人はご一緒に暮らしていた様子ですもんね」

ガリレオの言葉に好奇心に身を乗り出したノーベルは陽気に楽しそうに二人を見守っており、確かにとその場でティータイムを楽しむ彼らは一同に二人を見つめる。

この二人の科学者と助手は至って不思議な関係性だ、男女であり同じ屋根の下で暮らしキスもハグもする、その上同じ湯船にも浸かり同じベッドを共にしている。それは恋人以上で夫婦以外の何者でもないのにこの二人は互いを科学者と助手という枠組みのみに抑えて、それ以上にはしない。
オマケにテスラは以前レディのためと称して人類が手にするにしても随分と過保護な機能の付いたブレスレットを手渡して彼女の健康を数値化して、安全面まで管理しているほどだった。
そうなって来てしまえば二人の関係は簡単な物言いだけで収めたくないだけ……と言ってしまえば納得できるものでもあり、奥手かつ簡単な枠に収まりたくないテスラらしいとも言えるだろう。

しかし今でこそテスラはマシだが生前は極度の潔癖かつ社交性が乏しいタイプの人間であり、その人生を人類の未来を照らす以外に使わなかったタイプだ。
それが今や生前の白鳩を愛でるように助手であるレディを愛でていることについて、彼を知る者は少々驚愕してしまうような状況でもある。
しかし生前を知らないレディは問いかけに対して「あぁそれは…」と自身も紅茶を飲みながら、いつもの様に美しい所作で微笑みながら答える。

「私からご提案したんです」

その言葉に彼女の二つ隣に座るアイザック・ニュートン、座るアルベルト・アインシュタインはもちろん、全員が目を丸くして驚く中、もう一度確認するようにレディの隣に座るマリ・キュリーが声を掛けた。

「レディ、あなたからってマジ?」
「はい、マジ…でございます。私からテスラ様に…だってもうこの方ったら本当に不安な生活ばかりをしますし、ご一緒になってからも困ったことばかり」
「Non!!レディ、私は君を困らせたことなんて」
「あらテスラ様、嘘はいけませんわ、貴方様はお引越し当日からもう困ったさんでしたわ。今朝も寝癖をつけてるのに気付かないような方ですし」
「レッ、レディそれは私の電流の流れというかだね」

それはレディが彼の助手となってしばらくしてからのことだった。
レディは当初彼に誘われるがまま助手という役割を与えられたが文字も読めなかった彼女の仕事はめっきり彼に紅茶を淹れて、食事を共にして、彼の散らばった書類を一箇所にまとめたり彼の個人研究室の整理をするということだった。
彼女にとってテスラはある意味、未知の存在であった。
何せ彼は一日二時間程度の睡眠しかとらない、食事も片手で終わるものを好む、兎に角常に頭を回転させてレディにとっては何一つ理解できない世界をみてはチョークの粉を被る日々であるのだ。

そんな中で彼女は不安に駆られた。
毎日研究室に寝泊まりしているようにも思えるテスラの私生活はどうなっているのかと。彼の私生活はあってないようなものだと知っているがこの研究室を見ていても感じる不安が彼の最大の居住地(テリトリー)となればどうなるのかと。
そしてある日、自宅に帰ったテスラに対して彼女は夕飯を届けようとバスケットにシチューと焼きたてのパンなどを入れて彼の自宅に行くと、チャイムを鳴らしても出てこないことに不思議に感じた。
中からは騒音に近い音と、窓からは雷が落ちたのかと聞きたくなる光まで見えてきて、彼女は彼の危機を感じてドアを開いてすぐにそれはまるで機械のテーマパーク、といえばまだ聞こえがいいが、その実態は彼の研究物や物や紙で溢れ切っていた。

ヴァルハラ一の科学者ニコラ・テスラともあろう彼は広い家を与えられているはずだが、レディは心底その場所が物に溢れて今にも物が落ちてきたり、踏んで怪我をしてしまうような状態に唖然としつつも室内にあがり、一番騒がしい部屋に行くと、その最深部の部屋の椅子に座って机に向き合う彼がいた。

レディはまるで狭い草木の生い茂った森の中を進むかのように慎重に進んではテスラの傍に寄った。彼は客人が来ていることにも気付かずに手の中で小さな機械を弄り、あぁでもない、こうでもないといつもの様にその整った顔立ちを険しい表情に変えて一人で自分の世界へとのめり込んでいる様子だったがレディは思わず強引に手の中の籠バスケットを机の上に置いた。
それでも彼はまだ気付かずに作業をし続けることに彼女は時計を見るが、残念ながら淑女が来るには少々疑われるような夜二十時を過ぎた時間だった。

「テ・ス・ラ・さ・ま!!」
「この電圧で……それで……っレディ?レディレジーナ?何故ここに?」
「何故ここにと言われますとあなたの私生活が心配になったからです、この部屋はなんなんですか?お食事は?また寝てないのでは?顔色がよくありませんわ」
「いや寝てるさ、ここで」
「ここで!?こんな椅子の上で寝てるというわけではありませんね?」
「いや、椅子の上だよ、寝て起きた時でもすぐに作業に取り掛れるしその方が効率がいいんだ」

それよりもレディよかったちょうど君に見てほしいことが!!とテスラが彼女にいつものように目を輝かせることに彼女は優しい眼差しをキツイものに変えて「寝た時間は?食事は?最後にお水を飲んだのは?」と重ねて問いかけると案の定テスラは全く休みを取ることはない様子であるが、彼女も部屋の状況を見ては、どうして休めるんだと思いつつ「兎に角夕飯に致しませんか?」と声をかけることしか出来なかった。

何とかテスラに食事と風呂を与えても片付けようのない状況、研究室で出会う時とは違うこの生活を考えるレディはなんとかすす汚れの服をパジャマに着替えさせて、どこかスッキリしたテスラにホットミルクを注ぎつつ助手として真剣な提案をした。

「ねぇテスラ様、貴方様はとても素晴らしい方だと思いますが、流石にこの生活はどうかと思うんです」
「ん?そうかいレディ?私としては完璧なんだが」
「そりゃあテスラ様は完璧ですからそう思いますが流石にちょっと人間離れし過ぎですわ、だから私ひとつ提案がございます!」
「おぉレディからのアイディアかい?実に興味深い、ぜひ話してくれ」

レディは淑女だ、それはもう完璧なるお嬢さんでテスラが彼女の愛称に呼ぶだけの程はある。それ故にこの提案はあまり彼女らしくないとわかっていた。それでも彼女はニコラ・テスラという男を科学者や人類の魔法使いなどという周囲の意見とはまた違う、一人の人間としてみていた。

「私の家で生活をしてみませんか?」

自分でもそれが真剣な割に恥ずかしい言葉だと感じていた。
何せ彼女はテスラを尊敬する自身の仕えるべき博士であるとわかっているが、それ以前に彼は立派な男性であり、その相手に立場も気にせずに提案をした内容は少々彼女のレディとしての信念を揺るがすようなことだから。

それでも下心以上のものがあるのは確かであり、レディは必死にいつものテスラが自分にしてくれるようなプレゼンを提供した。
まず家が一つ増えれば荷物の置き場所も増えること。レディの家は現在2LDKであるが一部屋空いているためテスラが生活するのには十分であること。そして自分がいればテスラにいつでも紅茶を注ぎ今のように食事から全ての手伝いをすることができる。つまりテスラをずっと支えることができる。

「それに……その、最近……"授業"をしてくださらないから、してほしいのです。私に貴方の言葉をご教授頂きたいのです」
「……レジーナ、それは」
「アルファベットも辞書の引き方も教わりました。でもやはり私は貴方にご教授して欲しいのです、貴方の言葉を知りたいのです」

それはあの日、優しく教えてくれたことだったがテスラはすっかりレディが文字を読めるようになればその吸収力に感心して本を与えるだけだったが、彼女はたまには自分にも教えて欲しいと甘えて見せたのだ。
その頬を赤い林檎のように染めて、照れくさそうにいう彼女にテスラは自分の鼓動が妙に脈打つのを感じた。そしてそれは彼女と過ごしているとよく見受けられる事だと感じては何故そうなるのか突き止めたいとも思え、さらには彼女との生活を考えてはそこにデメリットを見つける方が難しかった。

「とは言いましたがまさかこの荷物全部をお入れするつもりですか?」

それから数日後、二つ返事の了承でレディの家に住むことになったテスラは自宅から最低限の荷物を持ってくると言ったものの、それはレディの常識を逸脱する量であり、テスラはその両手や背後に大量の機材や機械を携えてはその家の中に詰め込んだ。

そしてレディが彼の為にと与えた部屋は案の定彼の家の中と全くと同じ程の埋まり様になり、手伝いをしていたレディは「はっ入りませんわ、テスラ様!」と声を上げて、テスラは「No大丈夫だレジーナ!」と返事にもならない返事をして、そして荷物は結局テスラの部屋に入らないからとレディの部屋にまで流れた。

「これは困りましたわテスラ様、本当にこの機械は必要なのでしょうか」
「当然だレディ、その機械は我が研究には不可避の機材、あちらもこちらも全てだ!」
「それでは仕方ありませんね、しかしどうしましょう?このままではテスラ様のベッドが入りませんわ。あぁいえ私はソファで寝ますからテスラ様は私のベッドを利用してもらいましょうか」
「No.Non.Nait.レディ……いや、レジーナ、それはいけない。君にそんな無理を強いるなど絶対にダメだ」
「ですが、テスラ様にベッドを使ってもらわなければ」

いや君が、いえ貴方が、と二人は押し問答を繰り返した。
テスラはあれほど睡眠など無意味だと言っていたのに彼女を前にすると途端に彼女の睡眠については一般的な正論を掲げるが、それは全てテスラに跳ね返る言葉であり、二人は絶え間ない議論を始めた結果テスラは手を叩いてレディを見つめた。
それはまた大きな発見をしたような眼差しであり、彼女はどうしたのかと小首を傾げるとテスラは彼女を抱えるなりベッドに転がり込んだ。それは狭いシングルベッドであり、二人は落ちないように抱きしめるような体制でもあった。

彼女の眼前には大きく広いテスラの胸板が広がり、彼の視界には彼女のつむじと心地よい香りが強く感じられて、抱きしめた彼女の腰に添える手が自然と強くなる。

「これでQ.E.D.だレジーナ、このベッドを二人で共有する。そうすれば起こす手間もベッドで眠ることに悩むこともない」
「ですがこれではテスラ様が休めないのでは?」
「いいや、休める、普段よりもずっと心地よく休めるよレジーナ、君を抱きしめるとこの心地よい香りと、君の体温が私を眠りに誘ってくれそうだ」

体躯のいい彼に包み込まれるように狭いベッドで抱き締められるレジーナは、耳に触れる彼の心音と触れる体温に確かに心地よい眠りに誘われてしまいそうで、彼が言うのならばそれが正しいのだろうと感じて、彼の背中に恐る恐る腕を回すとテスラの優しい声が届く。

「それに同じベッドなら本を読みながら共に眠ることも出来る、いい授業の時間になると思わないかな?」
「……ええ、そうですねテスラ様、素敵ですわ。ですが毎夜私の勉強にお付き合い下さりますか?」
「あぁ勿論だとも、私のレディ(助手)のためなら、いくらでもその時間と知識を授けよう」

そうして二人は同じ屋根の下、同じベッドで眠るようになり、そしていつしか家族のように生活をするのが当たり前となり数年の時間をこのヴァルハラで過ごすようになったのだった。

「ベッドにつきましては買い替えを検討しているのですが」
「Non!!ダメだレディ、あの完璧なサイズと寝心地を手放すなど私は異論させてもらうよ」
「もう…テスラ様ったら狭いのがお好きなのですね、あら?そろそろ午後のお時間ですね、お茶の時間もここまで、さぁ片付けをして午後のお仕事に戻りましょうか」

話を終えたレディはパチンと小さく手を叩くことに全員が話を聞き入っていたのを止めて自分の皿やカップを彼女に手渡していき、テーブルの上は新品同然に綺麗な元通りに戻る。
そして一通り終えるとレディは午後も無理をなさらずと全員に声をかけてはテスラが入口まで彼女の腰に手を添えながら連れていき「ではまたお夕食の時間に」「あぁ今晩も楽しみにしているよ」といって当たり前のように触れるようなキスを送って、出ていったレディを見届けてテスラは嬉しさを隠さぬままに自分のデスクに戻ろうとしたが、彼の友人たちはそれを止めるようにその背中に声を掛けた

「テスラ、貴様……さては"わかって"いたな?」

それはテスラをよく理解している人間であるエジソンの言葉だった。
テスラは背中を向けたまま自分のデスクに戻り、そしてチョークを手に取りまた壁一面の黒板に向き直りなにかの数式を書き並べていく。

「知らんぷりしてもいいがな、お前レディが"仕方ありませんね"と言ってくれるとわかって荷物を持ち込んだだろ」
「……」
「そもそも、テスラあなたって自分の身の回りは自分で整えるタイプだものね、科学者(私たち)の中では清潔で整理整頓出来るタイプ」
「……」
「そうじゃ、あの超絶潔癖症でもあったニコラ・テスラともあろう男があの子に全てを尽くされることを受け入れてるのも不思議なんじゃ」

エジソンもキュリーもアインシュタインもほかのメンバーも何かを悟った顔をしていた。
まるでそれは謎が解けたような、否、わかりきったこたをいうようなものだ。

「つまりお前はレディをだま「Non!人聞きが悪い、全くエジソン、君はやはり単純な思考しかしていない!私が彼女と生活していることはそれが効率的であること以外に理由などはないのだよ。ベッドを共有してる?それは確かなことであるが、それ以上も以下もない、何故なら私たちはパートナーとして契約を交わした仲なのだ、いわば私と彼女は磁石のような存在!」

これはいつものことであり、テスラが彼らに反論しようとしてもその耳や首元の赤らみは隠すことの出来ない事実であり、午後の研究室は今日もまた騒がしい時間となるが、普段の喧騒よりもずっと穏やかなものであった。

「そして人々は光を知るようになりました……おしまい」
「ウム、完璧だレディ、君の朗読を聞いていると私の一日の全てがリセット(浄化)される気持ちだ」
「それはよかったです、しかしそろそろ本当にベッドを変えることを検討しなければですね」

その夜、狭いシングルベッドに大人二人で横たわるテスラとレディ、レディはいつからか勉強のためと言って寝る前に絵本を読むようになり、テスラもそれを聞いてから寝るのが日課へと変わった。
彼女が本を片しては彼の腕に潜り込みながらそういうとテスラは彼女を抱きしめる腕に力を入れると「No.レディ」と静かな声で彼女を呼んだ。

「私と君はこのサイズがピッタリなんだ、だからこうして熱を共有し合い、そして静かな夜をまたこうして明かしてくれないか」
「フフ、テスラ様がそう仰るのなら」

仕方ないと彼女はいうようにテスラの頬を撫でると彼は彼女の唇におやすみのキスをして、二人は狭いベッドで落ちないようにしっかりと抱きしめ合い瞼を閉じた、優しく深く夜を小さな光たちが今日もまた寄り添いあって明かしていくのだった。


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