※社会人


昔はよかった
なんて年寄り臭いかもしれないが心底そう思った、くだらないことで笑いあって泣きあってバカをして抱きしめ合って喧嘩をしてもキスができた

「ただいま」

いつから家に帰る度に苛立ちと虚しさが募るようになったのだろうか、リビングに行けばつまらなさそうにテレビをつけてコーヒーを飲む嫁がいた、テーブルの上には冷めきった夕飯があり手を洗ってそれをレンジで温める
時刻は22時になる、それと同時にソファに座っていた嫁であるナマエは歯を磨いて寝室に行く、思わず舌打ちをしてしまいそうだった
リビングの隅にある棚の上には結婚式の時の写真があった、少し目を赤く腫らした彼女と俺、湘北バスケットボール部のメンバーたちに囲まれて笑いあっていた

「はぁ…」

自然にため息が出るのは仕方がないことだった、それくらい俺たちの関係は破綻している、出会って16年付き合って13年結婚してもうすぐ10年お互い三十路半に突入しようとしていた、時間の流れだけはあっという間だった
周りは結婚したり子供を作っている、俺たちはと言うと結婚したのが早かった分だけ子供について問われることも多い、それが嫌という訳では無いがナマエの顔がチラついた

「疲れてるから」

冷めきった声を両手じゃ足りないほど聞いていたらそのうち心が折れた、身体に触れることも辛くなった
冷めたナマエの目は俺を酷く刺してくる、左手の指輪の意味が分からなくなっていた、俺たちはこれが正しいのかどうなのか分からないでいる

「いってきます」

無言の部屋を出ていく、リビングのソファにいるナマエが珍しく顔をこちらに向けていた、テーブルの上には小さな箱があったがどうせまたなにか自分に買ったんだろうな

就職して4年目必死に貯めた貯金を叩いて少し背伸びをして買ったマンションの一室、今はまるでそこが牢獄のような気分で外に出ると何も思わないのに家に帰る時はそれが酷く重たいものに変わった
在宅勤務のあいつは家から滅多に出ない、元から帰宅部でバスケなんて興味もないのにどうやって出会って好きになったんだっけか…と思えた

「あの…プリント回収してるんだけど、あと三井くんのだけ」

素っ気なくそういって俺の前に現れたお前は凄く地味だった、制服のスカートも他の子よりも長くて髪の毛も真っ黒で緩い三つ編み、顔はまぁ可愛いけど地味でしか無かった
元は不良でずっと居た俺に声をかけるのが怖かったなんてあとから言われりゃそりゃ素っ気ないか…なんて納得もしたもんだ

「あっあぁ進路相談のやつだろ」
「うん、もし難しいなら先生に直接持って行ってもらっても」
「いや大丈夫だけど」

なんとなく知られるのが恥ずかしかった裏を向けて渡せばいいのに普通に渡してしまった、第1志望に記載した大学はバスケが強くスポーツ系の学校だった、じぃっとそれをみつめたナマエに少しばつが悪くて俺なんかじゃ無理だけどな。なんていえばあいつは真っ直ぐな顔で

「絶対いけるよ、三井くんバスケ凄いんでしょ?スポーツ推薦も可能性あるし絶対いける」

どこにそんな根拠があるのか分からないのにその言葉が励みになった、結局9月頃に別の場所にはなるがバスケの強い横浜の大学に推薦を貰った正直学力だけじゃどうにもならない所だったから助かった
その頃には付き合ってたナマエが「ほらね、三井くんだったら絶対いけると思った」なんて笑っていた
そんなところに惚れてた、コーヒーを飲みながらそんな過去を思い出しては少しばかり辛くなってなんだかんだ言って好きな女に拒絶される冷たいあの家が辛いのだと実感する

「三井先輩今日飲みに行きましょうよ」
「あ?…明日休みかいいぜ」
「よっしっっ女の子来るわ」
「合コンなら行かねぇぞ」
「合コンじゃねぇっす、つか既婚者だしいいじゃないですか」
「いいわけねぇだろ」

思わず手元の書類を丸くして軽く叩く、後輩のこいつは本当にそういうところがだらしない、だから女に振られるんだよ
とりあえず"飲み会になった"と短くLINEを送るが案の定帰ってくるはずもない、既読スルーばかりの一方通行の連絡も心を重くする原因だ
18時に退社をして後輩に言われるがまま居酒屋に行く、もう早速人が集まっており15人ほどの飲み会だった
元々運動部だった奴が多いためかスポーツの話が多く盛り上がる、若い女性社員と何度か目が合ったが逸らした、正直な話俺は今何かをされると揺らぐかもしれない、それくらい心が弱くなっていたから

「三井さんって結婚されてるんですよね」
「まぁ、な」
「いいなぁ奥さんこんなイケメン捕まえて」

胸がでかくて甘い匂いがして髪がサラサラで肌にハリがあって、久しぶりに"女"を身近に感じた
ナマエは"嫁"になって"女"を捨てた、いつだってダルダルのスウェットにすっぴん眼鏡で無口無愛想、そりゃあ俺だって華がある方に寄ってしまいそうになるだろ、まぁいかねぇけど

「抜け出しませんか」

飲み会が始まって3時間くらい、みんなが酒に飲んで飲まれて潰されて馬鹿な事をして大学生かよって言いたくなった
隣の若い女性社員(名前覚えてねぇや)が俺の太ももに触れた、彼女は少しだけスーツのボタンを外してその豊満な胸の谷間を覗かせていた艶のある唇がエロかった

「ただいま」

結局誘いには乗らなかった、当然だ
俺は最愛の女を裏切れるほど最低な人間じゃあない、日を跨いだ時間どうせナマエは寝てると思っていた、リビングの電気は消えていてテレビは昔のコメディ映画を流していた、ナマエはぎゅっとクッションを抱きしめて体を縮めていたと思えばこちらをみてテレビを消して通り過ぎようとした

「なぁ待てよ」

ナマエは泣いてた
目を腫らして

「離して」

怒ったような声色を纏ってるが明らかに悲しんでいる声だった、今にも助けと言いたそうな顔だった
腕を引いて抱きしめたら強く押された

「遅くに帰ってきて知らない香水の匂いさせたあんたに抱きしめられたくなんかない!」
「なんだよ!別に飲みに行ってたんだからそのくらい匂う時もあるだろうが」
「はぁ?女の匂いプンプンさせてよく言えるよね、私の連絡も気付かないくせに」

は??何言ってんだよってもっと怒鳴りつけたかった、ナマエは走って寝室に逃げた、ムカついて仕方がないとにかくシャワー浴びよう
給湯器の調子が悪いのかなかなかお湯にならなくて足が冷たかった、そこでようやく少し冷静になった、自分がナマエの立場なら同じように怒ったんじゃないかと、異性にベタベタくっつかれて匂いをまとって夜遅くに帰ってきたら…俺じゃもっと怒鳴って相手の男探して殴りつけてるだろな、ようやくお湯の出たシャワーを浴びて一風呂終えてスマホを覗いた

22:30
"まだ帰らない?"
23:59
"今日結婚記念日"
23:59
"送信取り消し"

3つのメッセージがアプリ内に表記されていた、髪を乾かす間もなくリビングに行った、テーブルの上の小さなラッピングされた箱を乱雑に開ければいつも愛用してるメーカーのキーケースがあった
下を履いただけの姿で慌てて3LDKの家の中を走って寝室に向かった、壊れるんじゃないかと言うほどドアが音を立てた、ダブルが小さいからとクイーンサイズに変えたベッドの隅に布団を被るナマエがみえた

「…悪ぃ」

それしか言葉が出なかった、自分が情けなくなった、ベッドの下で正座をして今日の飲み会は悪かった隣に女子が座っててその香水が移ったんだと思う、不快にさせて悪かった
俺の態度が悪かったと思う、けど本当は…ずっと…

「お前と触れ合いたかった」

にゅっと布団の中から手が伸びてきた

「マッサージして」

少し甘えた俺の好きな声だった、何も言わずその手を掴んで小さな手を両手で懸命に揉んでやった、暖かくなっていて多分眠たいんだろうな…と察した、5分か10分くらい黙って真っ暗な寝室で手をマッサージしていたら手が元の位置に帰っていった、そしてごそごそと動いてまた片手が出てきた

「ねぇ、私可愛くないでしょ」

めんどくさいことを言い出した、悪い意味じゃない
かもな…って返事をしたら手が逃げていくから追いかけた、布団の中に体を突っ込んでナマエの顔に顔を寄せた、暗いけどはっきりと見えたその顔はやっぱり少し泣いていた

「意地張ってると可愛くねぇよ」
「どっちが」
「なぁ……」

触れたい


何年ぶりにセックスするんだっけ?ある日から突然拒否されてそれ以降してないから…多分5年くらいだろうか
ベッドサイドの電気を小さく灯した、お互いにベッドの上で正座をして抱きしめあった、今度は女の香りしてねぇよな?って焦ってたら「なんかおじさんになった?」なんて人の体に触れていってくる、うるせぇそれならお前もだろなんて言ってやりたくなったが機嫌を損ねたくは無い、なんならこんな雰囲気全部ぶち壊して早々にいれたい

「触っていいのかよ」
「やめとく?」
「馬鹿言え、俺の性欲舐めてんのか」
「私のが本当は強いかも」

ちょっと笑ったナマエはエロかった、よく見たら若い頃より色気があって綺麗だと感じた、手を伸ばして頬を撫でてキスをする、まじキスって何年ぶりだ?これこそまじ10年振りとか?いや新婚の頃は玄関でべろちゅーしてたな…なんて頭の隅で思う
角度を変えて舌を吸ったり舐めたり噛んだりした、歯磨き粉の香りとナマエのお気に入りの紅茶の味が少しした、ちっちぇ舌を堪能してたら肩を押される、いつもこれが合図だ帰宅部にはキツイよな

「歯磨いてないでしょ」

忘れてた

「まぁいいじゃねぇか」
「酒臭い」
「じゃあやめとくか?」
「やめない」

今日だけは絶対にやめちゃダメだ、俺たちは分かってるこれが最初で最後の本気のぶつかり合いだから万が一ここから逃げたら本当に夫婦でもなんでも無くなると分かってた
ナマエが俺の顔を撫でる、髭生えてるとかどうとかいってるけど正直俺はめちゃくちゃ勃ってたからそんなの聞こえてない

「今日下着エッチなの着てる」

お前は俺をどうしたいんだよ、余裕のある男にさせてくれねぇのか…あぁもうまじこいつ本当小悪魔(大好き)だよな
ゆっくり肩を押してベッドに寝転ばせたらナマエの長い髪がベッドに広がる、飲み会にいた女と違う黒い髪は染めたことがなく綺麗で俺は好きだ
エッチな下着ってどういう感じだ、穴空いてるとかパールついてるとか透けてるとかなんかそういう感じか?とナマエのスウェットを捲った

「…あんまみないで」

エロかった、黒色の普通の下着、真ん中にチャームがついててフリルとか着いてる多分世間的には普通のやつ
けどナマエが持ってる下着は過去に見た事あるものは大抵ベージュ・グレー・紺色・無地だった、楽しみも何も無く下着に興味も湧かない程だった、女に夢を持ちすぎだと言われたらその通りかもしれないが互いの洗濯物を畳んでる時に「色気ねぇ」と零した記憶が鮮明に蘇った
そんな女が黒い下着を付けていた「下もいいか?」と聞けば恥ずかしそうに小さく頷いた
腰を上げてもらってズボンをぬがして床に落とす、揃いの黒いパンツだった

「後ろは?」
「みせたくない」
「エロいんだろ?」
「エロいから」

正直今すぐ無理やりみたかったがそうはいかない、これは俺とナマエの戦いだ
お互いのプライドも意地も捨てて裸で戦うのだ、だからこいつが動かなきゃいけない

「笑ったらゆるさないから」

マジで茹でダコみたいな真っ赤な顔のナマエがそのままゴロリとうつ伏せになった、俺が中学生だったら射精してた、パンツはOバックになっていた、如何にもセックスのため…というのではなくどちらかと言えばセクシーなだけのタイプ、おしりの割れ目の上の部分がチラ見えするかな?程度のもの
けれど生地は透けてて、黒の透けてるやつってもうそれはエロでしかない、ガキの俺に教えてやりたい「俺の彼女死ぬほどえろいぞ」って
いやそんなことは多分知ってる、知ってるけどなんていうか数年開けた後にこういうことされると男心が擽られた

「なっなにかいっ…」

バッと振り返ったナマエが口元を抑えてる俺を見て少し固まった、そして座り直して俺の顔を覗き込んだ、にやけてる口元とか色々収まりが聞かずにいればナマエは優しく微笑んだ

「好き?」
「超好き」
「よかった」

年甲斐もなくこんな事をして俺達ははじめてヤッた時や結婚式の日の夜よりも何故か興奮した、もう一度口付けて勿体ないがブラのホックを外した、この感覚だって久しぶりで女体だったらなんでもいいわけじゃない、ナマエの体だから興奮するんだ
隠されていた胸が晒されてでかくも小さくもない手のひらに収まる普通くらいのこのサイズ感がよかった、揉んで吸って舐めて転がした

「ひさ、しく…んっ」

何年ぶりにその言葉を聞いたんだろう、それを耳にした途端に込み上げてくるものが大きくなった、そんなんじゃ今日は持たねぇかもしれないなと自分の中で笑ってしまう
胸に触れてた手を下に伸ばしていく、ちらりと交わった互いの目は欲に濡れてて俺たち本当にレスだったっけ?なんて思えるほど熱を帯びていた

「濡れてんな」
「言わなくていいよ」

くちゅ…っていやらしい音がして少しだけ安心した、これで万が一全く濡れてなかったら泣いたかもしれない
そんな訳はなく、探り探りの行為を進めていく濡れたそこに指を沈めて動かしていく久しぶりのそこは少し狭く感じて痛がってはいないがそう思わせたくなくて丁寧に傷つけないように触れていった

「そ、な…しなくてぁ、いいよ」

吐息混じりのナマエの声にちょっと苛立った、久しぶりの行為なんだ甘やかさせろよ愛させろよ、そしてお前も俺に愛されてくれ
好きだといえなかった、愛してるといえなかった、その分だけ今注ぎたいんだ、頬を首を鎖骨を谷間を臍をキスした

「それはちょっと」
「っせぇよ」
「っあ!…ねぇちょ、私お風呂はいったのもう結構前だし」
「全部触りてぇんだよ」

腰骨の辺りにキスをして見上げればナマエは観念したようだった、優しくベッドに寝かせてあんなに興奮した下着を脱がしてまたベッドの下に落とす、今頃ベッドの下はナマエの服でぐちゃぐちゃだろうが明日の朝片付けたらいいことだ

「いい子だ」

観念したナマエの足を少し開かせる、間に体をねじ込んでその中心部に顔を寄せて下を伸ばす、どろりとした粘着的な愛液がべっとりとそこから垂れていてその興奮が自分にも移った
頭の上であいつは甘い声をあげていく、あぁこの感じ懐かしいと過去の行為を思い出してしまう、ふと気付いたのはナマエは今日この覚悟を決めていたということだった、毛は手入れされていて顔を寄せたそこは明らかに石鹸の濃い香りがした

「なぁ、なんかしたか?」
「し、っ…てなぁ、んっい」
「嘘つくなよ、すげぇ整ってんじゃねぇか」
「っちが、ぁ」
「俺以外のためか」

くだらねぇ意地を捨てろよ、俺に抱かれたいって抱かれるって思ってくれてたんだろ、そういってやりたかった
ナマエは観念したように目をぎゅっと閉じて首を小さく縦に振った

「…すげぇ嬉しい」

心からの声だった、思わず溢れた言葉が少し恥ずかしく感じてその恥ずかしさを埋めるために顔を沈めた、左手で細くて白い太ももを制して右手をナカに沈めた、クリトリスもナカも全部ぐちゃぐちゃにしたらナマエは鳴いた、ちんこは痛すぎるくらいだった
よかった俺以外とはしてなさそうだな…って最低な考えもしたけど流石に言えるわけがなかった

「も、いきそ」

小さく呟いたナマエの言葉に気分が良くなって急かしてやった、ダメとか嫌とかそんなちんけな言葉が聞こえてきても反対にしか聞こえない、あっという間に高い声が上がってあいつの足の指がぎゅうっと丸くなって少し腰があがった奥からどろっと濃いやつが出てきて、イッたのかと見上げたら真っ赤な顔のナマエが肩で息をしてた

「はぁ…ぁ…」
「そろそろいいか?」
「…まっ、て」
「おいこれ以上おあずけされたら俺も暴発しそうだけど」
「ふふっ…はは」
「なにわらってんだよ」
「初めての頃思い出した」

俺たち今セックスしてんのに無邪気にナマエが笑った、最悪の記憶を思い出しやがった
高校三年の冬、付き合い初めて数ヶ月俺達ははじめてヤッた
童貞と処女だった、上手くいくわけが無い三行半なんてもんじゃない入れる前に暴発した、ズボンの中でベトベトになったそれをみたナマエは今みたいにケタケタとわらって「寿くんらしいね」なんていった
あぁ最悪の記憶だよ、その後2.3回目の行為でようやくまともに出来たと思う

「かわいかったよ」
「いいように言いやがって」
「嬉しかった」
「俺は…」

恥ずかった惚れた女の前でいい顔どころか恥ずかしい真似晒して笑われたもんだからもう俺の威厳は消えていた、それでもナマエは健気にキスをしてきて慰めてくれた

「なぁそろそろいいか?」
「ん?あー…」
「そろそろマジでやばい」
「高校生の時よりやばいね、いいよ」
「あっ、待て待て」

ふと思い出してズボンと下着を下ろしたあと慌ててサイドテーブルの棚を漁る、確か2段目の隅っこにコンドームがあったよな?と思い出して探ろうとした手をナマエが阻止した

「今日はそのままがいい」

その言葉に目を見つめあった、責任感がないという訳では無い、ただ今日はそういうのを分け隔てなくした方がいいんだと察した
開いた棚を閉めてナマエを見下ろす

「いいんだよな」

そう聞けばナマエは小さく微笑んだ

「大好き」

そうだ好きなんだ、大好きなんだ、結婚した時に幸せにするって決めたんだ、ナマエのナカに自分を埋めてその時ようやく胸の中に空いたそれも埋まったような気がした、動くことも無く互いを見つめあって手を絡めた

「寿くん」
「ん?」
「好きだよ」
「俺も、愛してる」

頬にキスをしてじゃれついて何度も腰を振った、今までにないくらい俺たちは好きだと言い合った愛してると、絡めた指から覗きみえたナマエの指輪が小さく光っていた
あぁ好きだ、この匂いも体温も笑顔も声も何もかも愛してるんだと恥ずかしげもなく伝える、俺にはお前しかいない、お前が好きなんだ
静かな部屋で俺達がセックスする音が響いた、キスをしてドロドロになって体制を変えて何時間も体を繋げた


「俺が原因??」
「…そうだよ、最初に断ってきたの寿くんだし」

翌朝…というか夕方目を覚ますとナマエはいなくてリビングに行けばコーヒーが2つあった、結局原因は俺だった結婚3年目のときだ経験も積んで俺自身1番営業が忙しい時期だった、夜遅くに帰ってきていた記憶はあるその中でナマエからの誘いを「めんどくせぇ」の一言で片付けていたと、確かに覚えがあるそんな時期からレスが始まった

「誘うのも勇気いるんだよ」
「悪かった」
「あと私…性欲強いから」

時が止まった、それはどういう事なんだと見つめたら真っ赤な顔をしたナマエに手を引かれて寝室に連れていかれる、身構えていれば寝室のクローゼットが開かれて真っ暗な奥から箱が出てくる
真っ黒の箱には"寿くん"と書かれており、中を開けば大人の玩具がでてきた

「これってその」
「寿くんがだ、抱いてくれないから」

なんともまぁ俺はおもちゃに負けていたらしい
悔しい思いをした夜が何度もあったという事かと思えばそれさえ憎らしく思ってナマエをみつめて俺はいう

「今晩は2人で使うか?」

盛大に殴られた、だがしかしナマエは少し満更でもなさそうな顔をしていた結婚10年目どうやらここからがスタートらしい