それはとても不思議なことであった
今日も今日とて鷹村のロードに付き合わされたナマエは彼の背中を眺めながら走っていた、そんな彼がふと足を止めて首を捻った

「あんな所にあんなのあったか?」
「いえ、私は知りませんけど興味あるんですか?」

真っ白な外装に窓ひとつないちいさなプレハブ小屋のような建物がひとつ、まるでその建物だけ世間から浮いているようだった
無視しようと進むより先に好奇心旺盛な鷹村が手首を掴んで走り出した、そして彼はそのままあろう事かドアを開け入ってしまった、他人の家だったらそもそも勝手に入るだなんてと吠えるナマエを無視して鷹村は靴を脱いで家の中を探索し始めた

「ラブホみてぇだな、おっ丁度飲みもんもあるし飲むか」
「飲みませんよ、これ人の家かもしれないんですよ!」

兎に角出ようとドアに手をかけたがそれはピクリとも動く気配は無い
ベッドに腰をかけて部屋中を眺める鷹村はガチャガチャと忙しなくドアを開けようとするナマエに視線をやって重たい腰を仕方なくあげた

「こういうのは非力なお前じゃ無理かもなっ…?……なっ!」

自信満々にいつもの嫌味な顔で笑う彼にむっとした顔をするが力に関しては彼の言い分も分かるため仕方なく譲ったが開く気配は無い
その後も彼の上腕二頭筋が血管を浮かせる程に力が込められてもドアは開くことを知らない、そもそも鍵穴もなければ鍵というものさえ見当たらない
そんな中ふとベッドからナマエは視線を上げた時思わず固まってしまう、その隣で取り敢えず面倒くさくなってベッドに寝転び寝ようとする鷹村が突如静かになったナマエをみた後その視線の先を見つめた

「なになに『初体験について話せば開く部屋』ァ?んだよコレ」
「まぁそんなのならカンタンだぞオレ様が18の時に年上の姉ちゃんと酒飲んでそのままヤったのが初体験だ、まぁあんまりいい思い出でもねぇか」

すぐに話をした鷹村にナマエはギョッとしてしまう、こいつは何を言ってるんだとそしてそれ以上にナマエは冷や汗をかいていた22歳処女だからだ.、こんなことを隣の男にバレれば馬鹿にされるのが目に見えている
それに本音を言えばナマエは鷹村に好意を寄せていた、だからこそ彼の前で語るのは羞恥でしかないまるで拷問だ
トンっと肩を押されて急かされたナマエはなんとか口を開く

「…え、っと19歳の頃、おっ同い年の人としました」

その途端ブーッと部屋の中にクイズ番組で間違えた時のような音が響いた、嘘だとバレたのか?はたまた内容が薄いのか分からずにナマエは困っていれば「もっと詳しくいえねぇのかよ」と早く出たいであろう鷹村がいった、そう言われても想像力のない処女には難しいもので必死に考えながら話した

「成人式前の同窓会で再会して…それで、飲み会でいい雰囲気なって近くのホテルに行ってしました」

嘘だとしても恥ずかしくて今すぐ土に埋まりたかった、いっそのこと棺に入って燃やされたい気分だ
そう思っていたのにもう一度部屋には電子音が響いたので鷹村はハァ…とため息をついた、そして部屋の上が小さく開いて紙が1枚落ちてきた

『事実のみ述べよ、経験がない場合はそれでも良い』

もう観念するしかないとナマエは思った、もうここを出たら彼に何を言われ思われようと取り敢えずここから出られるならそれでいいじゃないかと腹をくくった

「ほ、本当は経験ないです」

ぴんぽーん!と明るい音が部屋に広がりナマエは泣きそうな気持ちではあるが出られることの喜びでドアを開けようとしたがそれはやはり開かなかった、無機質な音だけが響いており部屋の真ん中にいる彼の手には1枚の紙が握られていた



正直ラッキーだとは思った
最初はAVでよく見るマジックミラー号的なものかと思ったがこれは今話題の出られない部屋系だったわけだ、どこかで撮影されてるのかどうかは知らないが兎も角

「や…ぁ、やめてください」

ナマエを抱けるということがオレ様にとって最高の褒美だ
好奇心は身を滅ぼすとはよくいったもので確かに過去には良くないこともあったがこんなにうまいものは初めてだ
部屋の中にはシャワーだけだが充分だ

ナマエが嘘をついたといってすぐオレ様の手元に落ちてきた指令の紙は『今ここで卒業するまでドアは開きません』ということだった、かれこれ体感2時間は閉じ込められているのだナマエからしてみればもっとかもしれない限界なのだろう
オレ様がどれだけいっても怯えたような顔をしていて、残念ながらお前は今肉食獣の前に出された肉でしかないのだ

「やめたら出られねぇだろ」
「でも、その、何か方法とかあるじゃないですか」
「例えば?」
「内容を変えてもらうとか、鷹村さんだって嫌じゃないですかいくら女とはいえ私みたいなのとこんなのするなんて」
「こんなのってなんだよ」
「えっと、えっちなことです」

自分で言わせておきながら正直死ぬほど興奮している
今にも泣きそうな顔で羞恥に塗れた真っ赤な顔で言われても説得力は無いまさかオレとのセックスが嫌だという訳じゃあないだろうな?確かに過去にはそういう奴もいたがそういう女は腕から逃げていく
ナマエはそうしない、一応とはいえプロボクサーの身でありながら腕の中にいるということは少なからずダメとは思ってないのではないかと必死に考えた

「観念しろよ、音がねぇのが緊張するのか?」
「それもありますけど、私汗臭いし」
「それじゃあ浴びてきたらいいだろ」
「本当にするんですか?」
「まぁそうしなきゃ出れねぇからな」
「…か、覚悟決めさせてください」

ハイハイどーぞ、いくらでも待ってやらぁ。
逃げていったナマエをみるオレ様の目はさぞかし獣の様だろう、収まりが聞かないのはアイツだからだろう、ラブホのようにでかいキングサイズのベッドで横になりながら膨張している自分のそこにまだ待ってろ。と小さく語りかけたが残念ながらこいつはそこまで賢くはなさそうだった


冷水を頭から被っているというのに頭が冷めない、まるで熱が出ているようだ
今から私は本当に鷹村さんとスるのだろうか、あの人はきっと節操がないからYESといって出来るのだろうけど私は違う、私はあの人だから鷹村さんだからしたい気持ちとしたくない気持ちと怖い気持ちが混ざりあっていた
あくまで先輩後輩という関係がこんな形で崩されるのは嫌だ、例えばお酒に飲まれてホテルに流れ込んだのとは訳が違う事故どころの話ではない、あの体に抱かれるのかとふとシャワー室のドアの隙間から覗くと彼はテレビを見て自身を慰めていた

「っ!?」

あまりの出来事に驚くがテレビではそういう雰囲気を作るためなのかそう言うテレビが流されているようだ
大きなあの人のそれが手の隙間から見えた途端に自分のお腹の下がぎゅうっと締め付ける、あきらかに欲している
ドアを閉めて深呼吸をする、ダメだ、あくまで出るための手段、あの人はそういうつもりじゃないから


ようやく出てきたナマエは長かったせいか少しだけ逆上せているようで備え付けの冷蔵庫からエナジードリンクのようなものを取り出して飲んでいた
少しだけ髪の濡れた彼女がイヤに艶っぽく感じられて鷹村は唾を飲み込む、ベッドの縁に座ったナマエに近付いて低い声で問いかける

「いいか?」

自分ながら酷く紳士的な行為だと思った、キスをしていいのか分からずに出来ずに目を見つめようとすれば恥ずかしそうに逸らされる、それさえ正直エロくてたまらない
ふと視線を下げれば服を押し上げるふたつの突起が胸元に見えてしまい、おいおい…まじかよ…と驚いた

「お前下着は」
「…邪魔かなって」

分からないなりの気遣いなのかもしれないがこちらから言わせればただ興奮させるだけの材料だ、服越しに触れるがこういう時に手持ち無沙汰になるからキスがしたいのにやはり何となく引け目を感じて出来ずにいる

「別にそんなふうに…ンっ♡…しなくて、大丈夫ですよ」

処女のくせに生意気いいやがってと乳首の先をカリカリすれば腰が逃げようとするので逃がさないために抱き上げて向かい合わせになる

「っ、あ、の♡ほ、んとに…いっい♡んです」
「オレ様を楽しませるのがお前の役目だろうが、少しぐらい我慢しろ」
「で、で…も♡…っ」

顔がゆっくりと伏せられて甘い声になる、めちゃくちゃにエロくてここ3ヶ月はこれを目に焼き付けて抜けるなと思った
乳首が弱いのかいじめれば必死に止めて欲しいと弱い力で手首を握られる

「も…い、ですから♡たか、むらさん♡」


私は今酷いメスの顔をしていると思う、鼻の下を伸ばしてだらしない顔だろう
見られたくない知られたくないこんなに甘い高い声だって知らなかった、鷹村さんと呼ぶ声は媚びていて恥ずかしい
それなのに鷹村さんは私をベッドに寝かしたかと思いきやシャツを脱がしてくる「綺麗だな」と私の可愛くもないお腹を撫でていった、本当に綺麗な体は貴方じゃないですかと言いたいけれどいえなくてただ目線を逸らすので精一杯になる

「ひぁっ♡♡」

ぱくっとあの人の大きな口が私のおっぱいを食べてしまった、そのまま舌先に転がされてなんとも言えぬ感覚が頭の中に張り付いた、シーツを足で掻きむしっても鷹村さんが足の間に入っているので意味などなかった

「っ、や♡あ…♡いいか、ら♡も、いれて♡」

はやく挿入して、射精して、それで終わりだと思ってた
でもこの人は女体が好きなのか酷く優しく気持ちよさを教えこんでくる、いままでも何度か想像したことはあったけれど優しさなんて想像できなかった、理想の中にはいたけれどなんとなく違うと思っていたのだろう

「ダメだ、ちゃんと抱く」

リーゼントの奥の目がギラりと光った、私と距離が近づく度に整えられた髪の毛が乱れる、その男らしいポマードの香りや汗の香りなどが混じっていてそれがまた酷く私を興奮させて下着の中が乱れているのがわかってしまう

気付けば沢山ねぶられた胸は恥ずかしいくらいに勃起していて、いつもよりも赤みを帯びて卑猥なセックスのためのもののように感じられた

「もう…いいですから」

顔を隠しながらもう許して欲しいと願うような彼女に鷹村はただ「あぁ」と短く返事した、それは決して同意ではない
その言葉に対しては理解しているがやめる気はない、何せ相手は初めてだ、そして自分は"鷹村守"なのだから最高のセックスを教えてやりたかった、出来るならば死ぬまで自分意外と出来なくなれと思うほど
疲れたような彼女の足からランニングズボンを脱がす、黒いぴったりとしたレギンスのようなズボンから現れる白い足に何度も口付ける
そして下着をおろそうとした時ふとクロッチ部分が酷く色を変えていることに気付く

「興奮したのか」
「…っ」

泣きそうなナマエをみて口角があがりそうだった、この女も好きものだ
下着を脱がして汚れた部分を見れば排卵前だからか粘り気のあるおりものが見えた

「見ないでください」

流石にこれはそういうかと思いつつ鷹村は残念だが下着を床に投げ落とした、何をされるのか察しているなかこの行為の流れ自体は流石に知っているナマエは足を薄く開いた
割れ目をなぞるように鷹村の人差し指と中指が撫でる
くちゅ…と小さな音を立てたそこに流石に我慢していた口角があがる

「痛かったら言えよ」


気持ちいいことしか分からなかった
シャワーを浴びてから鷹村さんも用意をしていたらしく服を全て脱いで下着だけだったせいで直に彼の匂いを感じる、服とは違う彼自身の香りだった
自分でするのとは違う指がなぞって蜜をすくって汚していく、軽く指先が突起を撫でれば肩が小さく揺れるけれどきっとこの人にはバレているだろう

「んッ♡ぁ…」

何度か大きく往復して、そして下から上にゆっくりと撫でたかと思えば突起を中心に小刻みに撫でる
強い刺激に怖くなって鷹村さんの肩に手を置いても彼は何も言わなかった、きっとこの人にとってセックスはセックスでしかないんだろう


「ふ、あ♡やっ、そ…こ、や♡さわ、んないで♡♡」

たまらないほど気持ちいいという顔をしながら言ってたら世話ねぇぞ。といってやりたいが言わない
この顔もこの女の匂いもこの女の気持ちよさもオレ様しか知らないのかと思えば自然と下半身に熱がこもる、これ以上でかくなったら流石に泣かせるんじゃねぇのか。と自分で自分を注意する
ドロドロになったクリトリスを刺激して取り敢えず1回だけと思いきや肩を抱かれる

「も♡だめです♡♡」
「イきそうか?いいぞ」
「っ〜〜〜♡♡」

胸の方に隠れたせいでイキ顔はみれないがトロトロになったナマエがそこにはいた、指を見たらたっぷり汚れていてまだ汚し足りないと感じてしまう

「まだ解しとかねぇとな」
「も…ぃ、い♡や…ら…ぁ♡」
「やめねぇよ」

もう何度されたのかも分からないほどナマエは大きな快楽の波を浴びていた、鷹村の指も寝転がるベッドのシーツもナマエの下半身も全てドロドロのびちゃびちゃで汚れきっていた
鷹村の指がふやけてしまいそうでこんなにしなくてもいいと言ってもまるで天邪鬼のように言うことを聞いてくれることは無かった

「っーーー♡♡」
「あ〜ぁ、またイッてら潮噴いたりまんこヒクヒクさせてなぁ」
「お"っぅ♡も…ぃい♡で、しょ」
「そうだな、もういれてぇか?」

顔を覗き込めば涙や鼻水や唾液でべとべとの到底綺麗とはいえないナマエがいた、あれから鷹村は指で口で奉仕し続けた人生の中で一番女のカラダを愛したのではないかと自分で思うほどだった
ドロドロに溶かされたナマエが息も絶え絶えになっているのを見下ろして仕方なく水を飲ませてやり避妊具を探すが見当たらない

「おい、ゴムがねぇぞ」

2人以外居ない部屋にそう呟けばまた紙が落ちてくる、なんだと思えば『この部屋で行う性行為においては必ず妊娠しません』となんというファンタジーなんだとおもいつつ「なんかあったら許さねぇからな」と念の為いえば返事はなかった、体力の使いすぎたせいかいつの間にか寝てしまってるナマエを見下ろしながら入口に自分のものを近づける
もうあと1mmほど腰を進めるだけでソコに入ってしまう、眠りにつくナマエの目尻には少しだけ涙が溜まっていた、本当は自分では無い男が良かったのではないかと鷹村は少しばかり思った
例えここがいかにフィクションの中とはいえやはりナマエにも思うことはあるのだろうと、けれどあくまでここから出るためだと鷹村は思いながら彼女の寝顔を見つめた

「た…む、らさん」

小さく呟いた彼女の言葉に彼は唾を飲み込んだ
顔を近付けて唇を奪った、薄く開いた唇から大きな舌をねじ込んで堪能した、小さな彼女の歯も舌も歯並びも全て舌先で感じ取る
そして腰を進めていくが先程の苦労のかいもあってかすんなりとそこは入っていった

「ん…ン…あ、れ?鷹村さ、ん?」
「起きたか?卒業おめでとうさん」
「そつぎょ…う?あ"っ♡や、ぁ"♡」
「オレ様が散々してやったからなぁ、痛くねぇだろ」

確かに痛みはなかった下腹部に感じる圧迫感、呼吸の仕方さえ忘れているナマエを優しく見下ろして鷹村は彼女の頭を撫でて包み込むように抱きしめた、二人の距離が近づく度にナカもさらに密着していく

「大丈夫だろ」

彼の低い声が耳に響いた、そうすると何故か大丈夫な気もしてしまう少しだけ痛みはあるものの苦しさの方が大きかっただがそれ以上に今好きだと思っていた相手にどんな形であれ繋がれていることが嬉しかった

「…はい」
「いてぇか?」
「ちょっとだけ」

そういえば彼は動くことなくただ抱きしめた、少しだけ暇なのか指先で彼女の髪を遊びながら待った
鷹村守はあまり待てを出来ない方だ、どちらかといえば自分のままに進む、試合やどうしても必要な時は出来る場合もあるが彼の性分では無い、それでも今は永遠に待てる気さえした
ナマエは真っ赤な顔で少しだけ涙を貯めていたから、ちんけだがこれが愛情なのかもしれないと思ったこの男は性が勝るゆえに愛が分からなかった、それでも今この目の前の女にだけは優しくしたくてたまらなかった

「すこしだけワガママ言っちゃダメですか?」
「……なんだよ」

もうやめて欲しい?
そろそろ動いていい?
鷹村さんのこと嫌い?
一体全体何を言われるのだろうとドギマギしたが彼の思いとは正反対にナマエは耳や首まで赤く染めていきか細いほどの小さな声で呟いた

「キス…してほしい」

ブチッと血管の切れる音がした、オレ様がどれだけ優しくしてやってるのか今のコイツには分からないのだろう
あぁ言った途端に黙ったオレに不安を覚えて「やっぱり…いいです」なんて小さく言いやがるから余計に腹が立って無理やりキスしてやる、深い味わったこともなさそうなキスをしてやる
甘いセックスが好きなのかキスをすればナマエのナカは締まった、そもそもコイツのナカは迫っ苦しくてオレ様のモノをぎゅうぎゅう締め付けてくる、相性がいいのかもしれない

「ンっ♡…ぅ、はあ♡」
「キス好きか?」

トロリと蕩けきったナマエにそういえば小さく頷かれてその後背中に腕を回され抱きしめられると顔が見えなくなる、離せよ顔を見せやがれと思っていたのに胸元で小さく声が漏れた

「鷹村さんだから…好き…」

雷に打たれた感覚と言えばいいのか兎に角衝撃を受けてそこからオレ様の意識は遠のきそうだった
締め付けてくるアソコと抱きしめてくる腕と甘い吐息、全部が興奮材料だ

「キサマ…もう知らねぇからな!」
「なにっっあ"♡♡アッ♡っんむ♡…おっ♡やっあぁ♡」
「痛かろうがなんだろうが知らねぇ、オレ様に喰われろ」
「んぅ♡ぉ…♡た、むら、さん♡♡」

ズンッと大きく杭が打たれたようだった、痛いはずなのに痛くなくて何かもっと違う…多分気持ちいいんだ
胸いっぱいに鷹村さんの匂いを嗅いでじんわりと発汗した身体を抱きしめて人形のように揺さぶられる、最初の頃の違和感はどこかに消えていた
必死に大きな背中に腕を回してしがみついて落ちないように、離れないようにとしていれば簡単に腕を取られてしまう

「あっ…ん、で♡っっン♡ふぅ…♡んぅ♡」

食べられるようにキスをされて舌を噛まれて胸をいじめる、これ以上は頭が処理出来なくて少しだけ鷹村さんの胸を押しても彼はギラついた獣の様な瞳で小さく唸る抵抗もままならず鷹村さんが上半身を起き上がらせたかと思えば腰を抱かれてバチンッ♡バチンッ♡と肉のぶつかり合う音が聞こえる

「ひぅ♡♡ぃ…や♡だ、め♡」
「ダメな、わけねぇだろうが…っ悦びやがって」
「んぅ♡ぁ、むらさっん♡っう♡…や、ぁ♡♡」

舌を何度も甘く噛まれて、首筋に顔を埋められる、鼻にかかる彼の匂いを堪能すればそれだけでまたぎゅうっ♡と締め付けてしまう「あんまり…煽んなよ」普段よりもさらに低い声が乱れた呼吸と共に耳に響いた、声も香りも肌の温もりも全て心地が良くてふとこの人の顔は今どんな顔をしているんだろうかとみつめれば視線が絡む
汗でドロドロで乱れた前髪から覗いた鋭い目は試合とは違う情欲に駆られた瞳だった

「なにみてんだよ」
「あ…ぇ」

ふとナマエの顔を見れば真剣にこちらを見ていた痛かったのか?本気でやめて欲しいのか?それともオレが嫌になったか?なんだと思って動きを止めてみつめて声をかければ意識がこちらに向いた
小さい声があまりにも聞こえづらく顔の距離を縮めて耳を傾ければ

「かっこいいなぁ…って」

はぁ?
心の声は漏れたのか部屋の中に響いた、オレ様が魅力的なことはオレ様が1番わかっている、魅力的でセクシーでかっこよくて美しいことは分かってる、だがしかしどうしていま、なんでいま

「ごめんなさい、続けてもらって」
「なぁ…ナマエよぉ」
「…は、はい」

一旦引き抜けば少し名残惜しそうな顔をされる、もう一丁前に女になっていやがった
持論かもしれないが女は1度寝ると情が湧いてしまうものだ、だから今ナマエは処女という自分の中の特別なものを捧げた男だからそう思ってるのだろうと先程まで思っていた、だがしかし事実が異なるとしたらこの行為はまた変わってくるし
そういう目で見ているなかどうなのか気になってしまえばセックスの続きは出来そうになかった

「お前オレのこと好きか?」
「え…ぁ…ぇ」

そりゃもう沸騰したやかんのように真っ赤になって蒸気を出した、それが確信に変わってあぁこいつはオレ様に惚れてるのかと思うとどうもいじめたくなってきて綺麗な細っこい髪を指先で遊んで顔を近付けてもう1度問いかける

「なぁ…好きか?」

酷く甘ったるい声を出した、優しすぎるキザすぎる背中にサブイボが立ちそうだったが出ちまったものは仕方がない
絡んでいた視線が外れて下に行く、それを追いかければ互いの間の白いシーツには赤い斑点がまばらに散っていた
そしてナマエは声も出さずに頷いて「だからこんなハプニングだとしても初めてが鷹村さんで嬉しいです」と呟いた、重たい言葉だ
処女なんざどうでもよかったはずだがそうじゃなくなってしまう、なんと声をかけたらいいのか分からないが兎に角先程まで冷静になっていた己がまた元気になっていくのを感じたので寝転がして足を開かせてもう1度宛てがう

「忘れられなくしてやるよ」

私の気持ちを知りながら鷹村さんはからかうことは無くただ優しく穏やかに笑ってもう一度私のナカに沈めた
正直もっとしたかった私ははしたなく背中に腕や足を回して必死にしがみついた、大きな肉のぶつかる音が響いて時折キスをされて頭の中が溶けそうになる

「すきっ♡鷹村さんっぅ♡…お"っん♡ふぅあ"っ♡も、イキそ♡♡」
「オレ様も射精すぞッ」
「ンンッ〜〜♡♡」
「…っく」

低い唸るような声が耳元に聞こえて熱い重たい彼の体が沈んでくる、互いに汗だくで疲れ切っている中でも注がれた熱は忘れられなかった、それからすぐにガチャ…と静かな音がしてドアが開き重たく動けない私を抱いて鷹村さんはシャワーに連れていってくれて着替えをしてまるで夢のようなその部屋からでていった

気付けば外はすっかり夕日が出ていて後ろを見ればあの小屋はなくなっており2人で首を傾げたが身体に残る重たさや疲労感は残っていたのでこれは夢ではなかったんだと思ってしまう
隣に立つ鷹村さんはなんだか少し話しづらそうな顔をしているものだから

「今日のこと忘れてください、鷹村さんが気になさることじゃありませんし私が面倒なことに巻き込んでしまったせいですから」
「…あー、まぁな」
「じゃあ…帰りましょうか」
「あんなのでいいのか」

ふと鷹村の言葉にナマエは首を傾げながら見上げる、どういう意味なのか分からずにいれば彼は珍しく悩んだような顔をしていた

「あの時だけで、あの部屋だけで終わる関係でいいのかって」
「…え、はい、だって"そういう"関係で続くのはあまりよくないでしょうし」

鈍感なのか自分が良く思われてないだけなのかは分からないがどうやら意図を汲んでくれないナマエに鷹村は苛立ちを感じた
2.3秒の沈黙の後、彼は恥ずかしそうに普段より覇気のない声でナマエに話しかける

「恋人としてやっていかねぇのかってことだよ」

その言葉を聞いてナマエは目を丸くしてまた沈黙をしたあと酷く驚いた顔をしてすぐに真っ赤な顔で「やっていきたいです」と呟くものだからそうとなればと彼の大きな腕にかかえられる

「ちょっ!えっ?あっ、なんで担いでっえっ?どこいくんですか」
「そうとなりゃ仕切り直しだな」
「いや!待って無理です、離してっ無理です、無理ですってば…ぁ♡」

ナマエの声も虚しく彼の家に連れ込まれたナマエはこの人と付き合い始めてよかったのだろうか?と疑問を抱くのは数時間後の事だった。