朝早くに家のチャイムが鳴らされる、時計の時間を見て男は知らぬふりをして布団に潜った、だがしかしチャイムが止むことはなくリズム良く鳴らされあまりの騒音に苛立ち足音を強く鳴らしてドアを開けた

「人が寝てんのにふざけてんじゃあねぇぞ!!」
「おはようございます守坊っちゃま」
「…ど、どうしてここにいやがる」

古びたアパートには似合わない容姿端麗な女性がクラシカルな長いメイド服を身にまとい立っていた、彼女の手には大きなトランクケースがあり、男もとい鷹村守は嫌な汗を額にかいた

「卓様よりも守坊っちゃまの世話をしろと」
「その坊っちゃまはやめろっていつも言ってンだろナマエ」
「失礼しました、では守様で」
「で…俺様の部屋に勝手に上がるんじゃねぇよ」
「ボクサーをされてるそうですがあまりいい食生活をされてるように見えませんね、というよりもホコリが多いです掃除しましょう」

靴を丁寧に脱いだ彼女は淡々とそう告げるが鷹村は苛立ちを感じる、それでなくても実家とは縁を切ったつもりでいるのにお節介な兄による超絶お節介な女が来てしまったのだから
思わず彼女の肩を片手で掴み壁に押し付ける、顔だけは相変わらず好みだと内心思いつつ自身の顔を寄せて彼はいう

「男の部屋に来てんだ、ヤられても文句ねぇだろ」

苛立ちを収めたい気持ちと、彼女に帰って欲しい気持ちで脅しをかけて見るが少し間を置いた彼女はメイド服のボタンに手をかけて1つ2つと開けるものだから思わず鷹村はその手を止めてしまう

「何してんだよ!」
「いえ…お求めになられたので」
「ちげぇよ、帰れってことだよ」
「いけません、卓様の御命令ですから」
「…卓兄め…厄介な女呼び出しやがって…クソ」

負けた
あの理不尽大王が簡単に負けてしまい、部屋の隅に座らされコーヒーを入れられて座らされた、その間にナマエは部屋の掃除を黙々とこなして行く

ミョウジナマエは鷹村家の専属メイドだ、年齢は鷹村守の2つ下である
頭脳明晰容姿端麗何を取っても彼女は完璧な存在であり、そうであるからこそ鷹村家の専属メイドとして仕事ができるのだろう、守とナマエは10からの付き合いであった、彼女の両親が鷹村家の家政婦であったことからナマエもその道に来たのだ
齢8歳の少女はとにかく彼を護り付き添い味方した、守にとって彼女は特別であったが中学時代の暴行事件をきっかけに家に勘当され関係が終わったはずだ、実際には2人は家という繋がりしかないのだから仕方がないと思っていたのに現れたのだから全く困ったものだった

「こんなものですかね…どちらか行かれるのですか?」
「ロードワークだよ」
「お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「…おう」

たかだか挨拶だと言うのに気持ちがいい、ナマエの言葉は不思議だいつだって自分を柔らかくしてくれる
どんなに怒っていても彼女の声を聞けば少しだけ落ち着いてしまう、それほどまでに彼女に毒されている、いつも通りに走り込んで戻ってくれば昼頃になっている

「おかえりなさいませ、昼食を作ってますので少しお待ちください」

そういって玄関を開けて目に映るのは昼食を作る彼女の姿だった
部屋の中は今までにない程整えられており、まるで引っ越してきたばかりのような美しさに思わず感動してしまう
テーブルの近くに腰掛けてテレビをつけてボクシングを眺めていれば味噌汁とおにぎりとだし巻き玉子が置かれ、ナマエはお茶を入れて鷹村の前に置いた

「食わねぇのか?」
「ええ」
「そんじゃいただきます」

黙って食べていればナマエの視線がえらく注がれる、何事だと思わず焦っていればふと思い出したように彼は言った

「うまい」

その一言に花が咲いたように微笑んだ彼女が可愛らしくてたまらなかった、そして少ししてからきゅう…っとナマエの腹の虫が鳴いたものだから思わず見つめれば彼女は酷く恥ずかしい顔をして顔を背けた

「すみません」
「ひとりじゃ多いから食えよ」
「でも」
「オレ様がいいって言ってるんだから食え」
「…い、いただきます」

申し訳なさそうな彼女の顔をみつめておにぎりを無理やり口に詰め込んでやれば必死に掴んで食べ始める、その様はまるでハムスターのようだな…と思えば彼女は美味しそうに食べる
鷹村は昔から彼女の自然な姿が好きだった、少し抜けているような、けれど真面目なかわいらしい姿がだ

「それじゃあ帰りますね」
「おう」
「じゃあまた」
「…待て待て待て、どういうことだ」

昼食の片付けも終えたナマエは満足気に帰る準備をしたため送ろうとすれば真隣の角部屋に消えていこうとした、思わず腕を掴み見下ろせば彼女の手には自分の家の鍵に似たものが握られている

「こちらに住むことになりました、しばらくは守様のお世話をしますのでよろしくお願いします」

眩しいその笑顔にウッ…となって鷹村はダメともいえずに見つめるしか無かったのだった

それから彼女は鷹村のメイドとして鴨川ジムの手伝いに来たり彼の家に毎日通ったりなどたいそう尽くした
初めこそ会長は許さなかったがやはり綺麗になるジムや人手不足で積み上がった事務仕事が解消されることについて文句は言えず特にマネージャー兼トレーナー兼経営補助などをしている八木からすればナマエは重要な人材であり、給料を出して正式に雇ったほどだ
ナマエの性格は誰にでも合う為かジムにも直ぐに馴染んだ、流石にメイド服は…ということで普段はジーパンにシャツの姿だがこれがまたシンプルで堪らない…という理由で男たちは忽ち虜にされて、彼女のおかげで入会者も増えたとか

「守様帰りませんか」
「今日は用事があるから1人で帰れ」
「かしこまりました」

そしてなによりあの鷹村が彼女が来たことにより首輪を繋がれた犬のように大人しくなったのが会長にとっては大きなものだった
普段の悪ふざけや冗談は確かにあるが、彼女が来る前より随分落ち着いたものだ、特に女遊びに関しては
それに関しては理由がある、ある日鷹村は酒に飲んだ際にスナックの女を持ち帰ろうとした世界王者である彼は記者にとっては美味しいネタだ、まるでキングコングのように女を片手に連れ帰ろうとした際にナマエは店の前にいた

「守様いけません」
「なんでいやがる」
「貴方様のメイドですから」
「っせぇな、ガキじゃねぇんだ縛られるかよ」

家が親が大嫌いだ
規律にうるさく世間体にうるさく大事なもの一つ守ろうとしないあの寂しい家が大嫌いだった
そしてそれに縛られているこの女も
ナマエは脇に抱えた女を奪うように抱き上げて「申し訳ありません、今日はここまでで」と財布から札を3枚取り出して女はそれに満足した顔をして帰ってしまう

「キサマ、どういうつもりだ」
「貴方様の名誉の為です、わけも分からない女性に無闇矢鱈と手を出すのは貴方様のためではありません」
「じゃあなんだ惚れた相手以外はやめろってか?オレ様にはそんな感情はないんだよ」
「どうしてもというのでしたら、私では役不足ですか?」
「は」

驚くと同時に少し息を飲んで充分だというように鷹村は笑ってナマエの手を引いた、家の中に連れ込んで布団に座らせる
ガチャガチャと音を立ててベルトとズボンをずらして、既に軽く起き上がった自身のそれをナマエの前に出す、彼女の白い柔らかい頬にそれを軽く擦り付けて

「舐めろよ」

冷たく言い放った
電気のついていない暗い部屋の中は月明かりが入るせいか思ったより明るかった、彼女の1つに結った髪の毛が何度も揺れて自身の男根にあたる息にさえ心地良さを覚える

「はっ、案外慣れてんだな」
「ふぁい…めいろ、れふから」
「ッ…咥えながら喋るんじゃねぇよ」

小さな女の口内に詰め込まれた肉棒、頬は大きなものを受け入れているためかハムスターのように少し膨らんでおり、それでも全てを呑み込めないせいか彼女は指で根元をしっかりと扱く
部屋の中でじゅっ♡ちゅっ♡と水音が響く、顎が疲れれば少し離して強めに扱いて、先端をちゅうちゅうと吸い付く、竿だけではなく玉としっかりと愛撫する彼女が行為に慣れているようで少しだけイラついてしまい鷹村はその顔を見つめて声をかける

「メイドはみんなお前みてぇに教えられてんのか?」
「いえ、私は守様専用なので特別だと思われます」
「恋人もいねぇのにどうしったんだ」
「…卓様にご教授頂きました」

兄の名前をされて思わず苛立ってしまう
広いあの家の中でメイドは何十人もいる、長兄の卓に関しては専属メイドも数名いる上に秘書やら様々な役職の存在がそばに居るのを知っている
それなのに何故自分の所有物に触れるんだと苛立ってたまらない、乱暴にナマエの頭を掴んだ鷹村は彼女の喉奥まで一気に進める

「ングゥ♡…んっ。ジュボッ♡ジュッッ♡お"っ♡♡」

ナマエの苦しそうな声が小さな部屋の中に溶け込んで、鷹村は乱暴に腰を振って絶頂を迎える

「オレ様の貴重なザー汁ちゃんと飲めよ」

そういえば律儀に彼女はごくりと喉を鳴らして飲み干した、口から垂れた唾液と精液が真っ白だった彼女を汚したようで酷く興奮をして鷹村はナマエの髪を撫でて「いい子だな」と犬のように褒めてやれば彼女が酷く嬉しそうにしているように見えてしまった
それから二人の関係は主従でありながらも少し歪になった、鷹村は定期的に彼女を性処理の道具に使い彼女もそれを受け入れた、体はやけに軽くなるのに心はどんよりも重くなるばかりで気が悪かった


「どうしてナマエを寄越した」
「今更聞くのか」

珍しく弟からの誘いに乗れば案の定その質問かと鷹村卓は内心ため息を着いた、会話の内容としても人気のない会員制の信頼のあるバーに大男が2人カウンター席に横並びになる
客たちは自身の身を隠したいモノ達だけだから誰も有名人だとしても知らぬ顔をする

「お前の生活の乱れが目に余ってな」
「ハッ、今更の事じゃねぇか」
「今更?それに対してどれだけ迷惑しているのか分かってるのか」
「さぁな、勝手にケツを拭いてんのはテメェらだろうが」


守の女遊びが度を超えていた、鼻の効く女であれは直接鷹村の実家に来るのは勿論、そうでなくとも嘘か誠か分からないが妊娠をしたという女もいる、そうなればそう簡単に産んでどうぞ…と言えるわけもない
鷹村家の次男なのだ、この男はその自覚が無さすぎる
自身のデスクに並べた下らないゴシップ雑誌には見慣れた男が並んでいる、あまりの出演回数に頭が痛くなった時だ、丁度卓の休憩の用意に現れたナマエが卓の姿を見て紅茶を入れながらいった

「守様については私がお世話なさいましょうか?」
「世話か…まぁ確かにヤツはキミにだけは心を開いてたな」
「京香様もご心配しておられました」
「そりゃあな」
「卓様さえよろしければ」

彼女はまるで生贄のようだった
でもその目を見てわかる、彼女は守を異性としてみていると、二人の関係を幼い頃から眺めていれば何となく分かってしまう、主従だけではないとけれどナマエは聡明な女性だ、自分の身分をわかっているていのいい言い訳を使う彼女はもう数年守と会っていない、焦がれるのも無理はないだろう

「とはいえ彼女が来てから少しは落ち着いた生活ができてるそうじゃないか、結果ともあれいい事だ」
「別にオレ様は頼んじゃいねぇよ」
「下手によその女に手を出すくらいなら彼女にしてくれよ、あの娘は自分の身分も身の振り方もよく分かってる、まさに鷹村家の誇るメイドだ」
「…気が悪ぃ、帰る」

兄の言葉に居心地の悪さを感じて舌打ちを残して出ていく
あの家は価値という下らないものに取り憑かれている、金がないことが不幸だとしても金があることも不幸だ、人の心を無くすばかりだから
あまり飲まなかったはずだと言うのにやけに酔っていた、アパートの階段をあがり自分の家の隣とドアを開けるが鍵が掛かっており開きはしない、ガチャガチャと2.3度音を立て続けていれば中から慌ただしい音が聞こえナマエがでてくる

「守様、どうされましたか」
「いれろ」
「はい、どうぞ」

風呂上がりなのか髪が濡れて甘いシャンプーの香りがしてきた、自分の家とは違い必要最低限だけが揃った殺風景な部屋、彼女には趣味も好きな物も何も無い、与えられてこなかったからだろう
先程の会話やナマエをみて苛立ちが募る、洗面所で髪を乾かすナマエの後ろに立った鷹村に思わずドライヤーを片手に見上げれば唇を奪われる

「あっ…チュ…ま、ってくださ」
「待たねぇよ、苛立ってんだ」

どうせ心配するだろうドライヤーの元栓を抜いて、体を自分の方に向ける、慌てたような照れたような困った顔のナマエの顎を掬いもう一度口付ける、長ったらしいキスに限界を迎えた彼女に胸元を叩かれても離さずに舌を入れて角度をかえて深くキスをした

「ハァっ…はぁーっ、まも、るさま…すこしまっ、てください」

ようやく唇を離せば真っ赤な顔の彼女の唇が唾液で光って、必死に肩で息をしていた
苛立ちをこの女にぶつけても仕方が無いと分かっている、なのに抑えようがない欲が爆発しそうだった

「ナマエ」

名前を呼べば小さく肩が揺れる、なにをすればいいか彼女はわかっているのだ
洗面所の冷たい床に膝立ちして鷹村のベルトを外し、ズボンのファスナーを下ろす、既に興奮して小さく膨らんだそれをみてナマエはいつも緊張してしまう、覚悟するように唾を飲み込み足首までズボンと下着をまとめておろせばぼろんっ♡と大きな彼のソレがナマエの顔を掠めた
蒸れているような雄臭いその香りに目眩がしそうで唾液を垂らしてキャンディを舐めるように舌で全体を舐める

「っは、いいな」

小さく漏れた彼の声に少し気分が良くなる、愛はなくても彼が心地よさそうに反応してくれれば満足だ
大きく口を開いて鷹村のちんこを喉奥まで一気に飲み込む、苦しい♡苦い♡くさい♡色んなものが頭の中を支配する、彼の陰毛が顔に触れるのさえ興奮材料になる

「ナマエ咥えながらオナれ」
「っへ」
「オレ様の命令だったら出来るだろ」
「…ぁ…でも」

強い支配者の目をしている
ゆっくりと右手をパジャマのズボンと下着の中に侵入させる、痛いほど彼の視線が上から注がれる

「口止まってるぞ」
「ンッ♡…ぁ、い♡」

彼の手が髪を何度も撫でて頭に手を添えられる、ゆっくりと自分の人差し指と中指で陰核をなぞる、愛する人のものを咥えてはしたなく濡らしたそこは自然によく滑る
静かな洗面所にはくちゅ♡と小さな水音が響いた、フェラをする音とは違うそれに鷹村は頬を緩めた

「濡らしてたのか、案外キサマも好きだな」
「ッふ、ぅ♡…んぅ♡」

口いっぱいに頬張っているためにくぐもった声しか出せずにいるナマエの全身を眼姦する、見たことの無い寝巻き姿に濡れた髪に強いシャンプーの匂い、それとは別の強い女の匂い
激しさを増したフェラは下品な音を立てる、じゅぼ♡ずぼっ♡じゅう♡と激しさをものがたり、ナマエの自身を慰める手も初めよりも激しく動いた、大きな彼の手がナマエの頭を掴む

「一緒にイくぞ♡…っくぅ♡♡」
「ンンッ〜♡」

喉の奥でドクドクッ♡と注がれ、それと同時に自身の股がじっとりと濡れているのもよく分かる、教えられてきたようにごくり♡と音を立てて飲みきったナマエの頭を撫でる
出し終えたのを悟り、もうこれで終わりかとナマエは立ち上がればそのまま抱き上げられ寝る前に敷かれていた布団の上に寝転がされて簡単に衣類を脱がされる、思わず目を丸くしてみれば鷹村の顔は酷く落ち着いていた

「ヤるぞ」

拒否権などあるわけもなくナマエは小さく頷いて足を小さく開いた、鷹村の大きな体が間に入ってくるのが分かり背中に手を伸ばす
ぐぐっ♡と濡れそぼったそこにねじ込まれるペニスに彼女は顔をゆがる、そして鷹村はふとその感覚に気付いて胸元の彼女にはっとした顔で声をかける

「ッ…」
「…処女じゃねぇか」
「だ、大丈夫です…やりずらいでしょうがお好きに動いてください」

その言葉に舌打ちをして、奥にねじ込む
汗をかいているナマエは酷く疲れた顔をしており、繋がっているその部分は赤い血が小さく流れていた、思わず彼女の顔をみつめるも反対に不思議な顔をした彼女がみつめていた

「お前はオレ様でいいのかよ」
「-…は、い」
「いや…誰でも命令だったらいいのか?」
「そ、れがメイドですから」
「オレ様はナマエだから抱いてんだよ」

その言葉に思わず目を丸くして驚くが身体は素直に喜んで鷹村のモノを締め付けた、そのお陰で思わず顔を顰めるがまたすぐに慣れてナマエの顔を覗き見る、顔を近づけて

「家なんざ関係なく、お前が好きだ」
「…私は…ただのメイドですよ」
「命令ならオレ様以外にも抱かれるのか?」
「ッッあ♡♡ひっ、ぁ♡」
「答えろ、キサマはオレ様以外に抱かれるのか」
「ひぅっ♡ぁっ、は♡」

抱かれたくない、守様しかいやだ
初めてあったあの日から、あなたの専属になった時からずっと好きなんです、処女なんてめんどくさいものを大事にしてたのだって、あなたの慰みものになるのだって、全部私のエゴだけれど好意の元だ
でもこんなことをいうと失格になる、私はメイドでいられなくなる
なのに、守様はひどく優しい顔をして呟いた

「オレ様だけって…いってくれ」

この胸のざわめきを、苛立ちを、全てこいつにぶつけても何も変わらない
馬鹿なガキみたいな恋心とやらに気づいてもこの女には意味なんざないのは分かっている、淡々とした声で仕事だと言うだろう
オレ様がずっと惚れていることなんざ知りもしねぇ、だから卓兄の指示に従ってきたんだ、どれだけ色んな女と寝てもこんなに気持ちいいなんざ知らない、情けねぇオレ様の言葉を聞いてもナマエはきっと変わらないと思っていたはずだった

「守様を…っ本当は、昔から…愛しています」

メイド失格だ、もうここには居られない、この仕事も終わりだ
好きなのに愛してるのに離れたくないのに、守様の背中に腕を回して必死に抱きしめる暖かくて少しお酒の匂いが混じっているけれど私の大好きな守様の匂いだ、好き…好き…大好き

「好き、なんです」

嘘だ、いやウソでもいい
思わず唇に噛み付くようにキスをして、背中に回された腕が心地いいなんて初めてだ、どんなに女とセックスしてきても満たされなかったものが今満たされた気がした
オレ様の耳元で「愛してます」と呟くナマエの目を見つめた

「本気か、冗談だろ」
「ほ、本当です…メイド失格ですよね主人にそのように想いを寄せるだなんて」
「じゃあメイドやめろよ」
「え」
「俺様の女になりゃいい、仕事がしてぇならオレ様の嫁として家の事してたらいいしな」
「えっとあの」
「なんだよ、嫌なのか?」
「…嫁と言いますと」
「嫁さんだよ!女房、妻、ワイフ」
「誰の」
「オレ様のだよ、いやなのかよ」
「驚いてしまいました」

本当に布団の中での言葉か?というほど互いに言葉数多く言ってしまう、少ししてから驚いていた顔のナマエの表情が崩れて初めて見るような柔らかい子供のような無邪気な笑みがこぼれる
思わずそれに目を奪われた鷹村は見つめ続ける

「本当に愛しています」
「…そーかよ」
「守様は?」
「お前しかもう抱けねぇくらいだな」

なんて熱い言葉だろうか、ふと自分の中に押し込まれていた熱を再確認して2人で顔を見合わせる、最初の頃の痛みなどなくなり鷹村のものを自然と受け止められるほどになっていた

「いいか?」

彼の低い声に頷けばゆっくりと機動的に動き始める、ずちゅ♡ずん♡ずん♡と音を立てて繋がる大事な部分に、こんなに気持ちがいいとは知らないとナマエは心が満たされる

「んっ♡あっ、まもるさ♡まもるさま♡♡」
「はぁ…っ」

ナマエの甘い声と鷹村の小さな吐息が部屋の中に消えていく、時折キスをして指を絡めて何度も何度も奥を突いた
ばちゅん♡ばちゅん♡と気付けば大きな肌のぶつかる音が響いて、大きく足を開かせて子宮口にピッタリと鷹村のペニスがぶつけられるごりごり♡と腟内で暴れるそれにナマエはいよいよ限界が来て強く背中に抱きつく

「も♡イッちゃ…ぁ♡♡」
「っ、オレ様もイくからな」
「ひっぁ〜〜〜っ♡♡♡」
「〜っ!」

好きだと言わんばかりに締め付けるそこに眉間に皺を寄せてびゅっ♡♡びゅっ♡♡とナマエの奥に射精する、ふと避妊具をつけていなかったことに気付くがもう今更自分たちにはいらないかと考えて自分の下で潰れるナマエの髪を撫でながら額に愛おしむように守はキスをした


「それでメイドを解雇しろと?」
「おう、あいつはオレ様の嫁になったからな」
「…ったくお前は」

久しぶりにまた呼ばれたかと思いきや突然そう言われ、奥を見れば弟と妹に挟まれ嬉しそうに微笑む鷹村家の元メイドがいた
彼女の左手薬指には銀色に輝く指輪があり、それのペアのものが守の指にははめられている

「ところでよ」
「なんだ」

少し離れた場所で大男が2人睨み合っていた
守は兄を強く睨みつけて告げた

「ナマエに変な知識教えたってのは本当か」
「変な知識?」
「夜のことだ、卓兄に聞いたって言ってやがったぞ」

その言葉に頭の中で彼女が確かに昔聞いてきたことを思い出し納得する

「あぁお前に尽くす方法知りたいと言っていたからな、お前の部屋のものをあいつに見せたんだ」
「んな!何してやがる」
「なんだと!?そもそもキサマがあんなものを大量に持っているから」

ふと大声で揉め始める2人に驚いたナマエは慌てて行こうとするが長女の京香に手を取られそれを阻まれる
この方はずっと応援してくれていたのだ、ナマエにとってはまるで姉のような…いな義姉になったのだと改めて感じる

「2人のことは放っておきましょう、また続きを聞かせてちょうだい?守ちゃんの好きなところ」
「僕も聞きたいです、ナマエさんの守兄さんのお話」
「そんな…えぇ」
「おいナマエなんの話してやがる、帰るぞ!」
「え!?あれ…卓様は」
「殺っちまった」

話をしていたはずが突如背後から抱き上げられ思わず卓をみれば地面にねじ伏せられた姿が見えてしまい背中に冷や汗をかいてしまう、挨拶も程々に走り出す彼の腕の中で思わず笑みが零れてあぁこの人が好きだと改めて思いながら、もう手元には無いメイド服を懐かしむのだった。