オートボット衛生基地デブリの司令デッキにて今回のメンバー編成に悩ましい顔をするスプリンガーにリアンは苦笑いを浮かべる気負いすぎるのが彼の長所であり短所だと毎度思う、そんな彼の横で忙しなく荷物をまとめるリアンをみてスプリンガーはどうした?と顔をモニターの12人のメンバー表から彼女に移した
「プロールの許可も降りたから1度キミアにいこうと思ってね」
「それならパーセプターも今回のメンバーに入るらしいから連れてきてくれるか?俺はデルファイに用事があるから送迎しよう」
「本当?よかった1人だと心細かったから」
「別に声をかけたら良かっただろ」
「悪いかと思って」
そういいながらも嬉しそうに微笑むリアンにそれまで険しい顔をしていたスプリンガーの表情も和らぐ、それならそうと2サイクル後に行くぞという声掛けを受けて彼女は同意してキャリーケースの中に荷物を詰め込む
キミアはリアンにとっての実家のようなものだろう
彼女の38年の人生のうち20年近くはこの場所で過ごしたといえよう、人間の身でありながらキミアの優秀な科学者の1人の仲間に入ることは名誉ある事だとされるが彼女にとって今は監獄となんら変わらない場所にも感じられた
荷物を席に置いたリアンは操縦席に座るスプリンガーを見つめた、準備はいいか?勿論、メインエンジンサブエンジンOKと声を出して彼女はその少人数用の小型ポッドの操作をする、船のハンドルを握ったスプリンガーがレッカーズの常套句を告げれば船は飛び出した
「それじゃあまた迎えに来るからな、多分1デカサイクル程で戻ってくるはずだ」
「わかった、それまでに出来るだけ用意しておくね」
拳を作って2人は優しく重ねて微笑んだ、去りゆく彼の船を見送っては1デカサイクルならば約1週間ほどかと思いそれまでに用意できるのか?と不安が過ぎる、丁度シャトルの発着所の横にあるイグジット・ルームには所々見覚えのある仲間達が彼女に気づくこともなく話をしていた
リアンはその中のエナジョンなどが並んでいるバーカウンターのようなリチャージブースのカウンター裏に入り人間サイズの冷蔵庫に手を伸ばした時頭上から声が聞こえた
「ネズミかと思えばリアンだ」
「ブレインストーム、久しぶり元気にしていた?」
「そりゃあもう当然、なんだついに追い出されたのか」
「そんな訳ないでしょ、ちょっと次の任務の関係で」
「腕の調子は?」
「バッチリ」
見覚えのある顔をした彼はリアンに親しげに話をした、キミアには人が少ない為大抵のトランスフォーマーと彼女は知り合いであった、それでも話しかけるメンバーというのは凡そ決まっていてそれは人間を見下したような視線も混じることをリアンは知っている、現にブレインストームもその1人であった
キミアは案外実力主義者しかいないためリアンの発明を認めた彼は素直に友人として接することにした、それでもたかだか人間…と思うものは少なくは無いため彼女は合わない者は人間もトランスフォーマーも合わないと認める他無かった、冷蔵庫から取り出したジンジャーエールを蓋を開けて口にしたら不思議な味がした
「誰これ、絶対なにか細工したでしょ」
「あぁ俺だよ、刺激物が好きと思ってね」
「もうやめてよ、あっそうだパーセプターはいる?」
「まぁたパーセプターか、好きだよな居るよ」
強炭酸どころかこれじゃあ喉が破裂しそうだとリアンはブレインストームにペットボトルを投げ付ければそれは強すぎる炭酸の刺激にペットボトルごと爆発してしまい思わず絶句する、投げられた本人は後で洗ってくれよと笑いながらいうがリアンからしてみれば自分の身の危険を感じたのだった
兎も角時間があまりないのだから天才の手は2-3人は借りたいところだとリアンは告げる、丁度暇を持て余していたブレインストームはそれなら天才500人分の俺がいるじゃないか。と提案する
「そうだった、貴方がいたら確かに何もいらないかも」
「だろ」
「まぁあとパーセプターが居るけどね」
「またそれか」
呆れた声の彼にリアンは笑みを浮かべる、人間の言葉には三人寄れば文殊の知恵っていうんだよ。というからどういう意味だとブレインストームは興味深そうに問いかける
「三者三様ってこと」
天才が集まれば尚のことね。と付け足す彼女にブレインストームはやはり彼女のことは嫌いじゃないなと機嫌よく思いながら抱き上げてパーセプターの元に足を向けてやった
そして最後に彼女は腕の中で呟いた「あとついでに仏の顔も三度までね」それってどういう意味?と彼が見下ろせばジンジャーエールの件怒ってるからね。と彼女は笑った