北岡秀一
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北岡秀一は子供を毛嫌いする、それは彼以上にワガママで頭が悪く暴れ周り厄介の種のようなものだから
自身が子供の頃はそれはそれは静かで大人しく素晴らしい程出来た子供だったとは思う、だからこそどんな形であれ子供は嫌悪の存在だ、ある日現れた少女でさえも同情や手助けはしてもそれ以上はなかった、とはいえ嫌悪と言うとあまりにも酷いものだが好むものではなかった
「んー、葵は本当に何着ても可愛いねぇいい子だねぇ、うんうん流石吾郎ちゃんのセンスだ」
「恐縮です」
多忙な筈のそんな男は事務所の真ん中で白背景にストロボをたきながら撮影をされる一人の少女を見つめる
白いふわふわとしたフリルとリボンの溢れる少女趣味のロリータと言うべきワンピースに頭の先から足の爪の先まで手入れされた少女のような彼女は困り果てた顔をする
「秀一くん、そろそろいいでしょ…」
「ダメダメ、葵ちゃんが言ったんだから俺の好きな物着てあげるって」
「そうっス、その為に昨日徹夜で衣装作ったんで」
「吾郎さんまで…」
幼い顔をしていながらこのような羞恥を受ける彼女は24歳を迎える社会人だ
身長142cm体重39kgAカップがあるかないかと聞きたいほどのまな板に大きな瞳に縁取られたまつ毛、手入れの行き届いた美しい紺色のような黒髪
どれもがあの自称スーパー弁護士である北岡秀一を魅了したのだ、彼は基本的にどんな女性であれ好んだ、けれど子供はもちろん対象外ではある好みの女性は気が強く自分に歯向かうような女性だ
自分に噛み付くような存在をからかう、だからこそ桃井玲子の存在などはまさに面白く自身を魅了するはずだが
「早く終えてね」
そう呟いた彼女の顔は羞恥にまみれ赤色が爆発しそうな程だった
出会いは彼女の弟の弁護依頼だった、若い間に結婚をしたはいいがその嫁がまさに最低で暴力に暴言に何とも酷いもので離婚したくてもさせくれず、したと思えばなかったことを彼に擦り付けてとの繰り返しだった
勿論その弁護には勝ったが秀一はその時にはもう毒嶋葵にゾッコンしていたのだ
「先生も入られますか?」
「うん勿論、かっこよく撮ってよ?」
吾郎の言葉にハッと意識を元に戻して楽しそうにその場に向かう、毎週何か賭け事をした
例えば夕食、例えば次のデート、例えば相手の好きなこと、何でもいい、負けた方はいうことを聞くのが役目
昨夜残念なことに吾郎を含め3人でババ抜き勝負をした結果わかり易い葵は大連敗、通算8連敗を重ねた
「秀一さんもう近いですってば」
「んー?そりゃあ恋人なんだしねぇ」
「ですけど、こんな格好だし恥ずかしいですから」
「そうかな、可愛いよ俺と吾郎ちゃんの期待した以上だもん」
カメラが何度もシャッターを切る音を立てる、フラッシュにストロボに眩しい中でふわふわの白いワンピースを着る彼女はある意味天使様のようにも思えた
それほどまで溺愛をするほどには恋人が好きだ
「今度は秀一さんにしてもらいますからね」
「なら今夜も負けられないなぁ」
拗ねきったような子供の顔をした彼女の言葉にまた本気で今日も戦わなければならないのかと笑う
あぁ命の灯火はいつまでも光り続けたらいいのにとこんな瞬間でさえも願いながら思えた。
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