紫原敦
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私の彼氏は大きいトトロのように大きい、ビルのように大きい、このー木なん木のCMの木のように大きい
そしてナマケモノのようにのっそりしてて、周りが小さいから猫背気味で眠たそうなやる気のない目、長い紫色のサラサラの髪の毛
「ナマエちん何してんの」
「んー敦くんみてたの」
「首痛くない?」
「痛いよ」
私たちの身長差は約70cm
子供一人分だ、好みの人は背の高い人のはずの彼がどうして141cmの自分を選んだのか未だによくわかってはいない、付き合う際に言われたことが「ナマエちんってリスみたい」だった、同じクラスの同じ委員会の同じお菓子好きの友達だった二人が成長したものだとしみじみと噛み締めていた
「みててわかったことは?」
「ええっと、かっこいいなぁってさらさらの髪の毛で綺麗だし、おっきいし…沢山あって困っちゃうや」
「…なんか好きすぎて潰しそう」
そういって抱き上げられてまるでお菓子たちのように大切に抱えられる、でも少し待ってほしいと思ったここは廊下で丁度移動教室で行こうとしていた時だ、手を繋げば大人と子供下手すりゃ宇宙人を連れてこうとする某写真のよう、氷室先輩にある日「敦と付き合ってて大丈夫?」などと言われた、いや何をどう大丈夫なのかは特にわかってはいないものの「毎日幸せです」等といった時には「それはよかったねぇ」なんてお菓子をもらうほどだ
「敦くん離して、ほら今移動教室」
「えーめんどい」
「もう成績はいいのにどうして面倒くさがるのかなぁ」
私の彼氏はとても努力家だ、あまりバスケに興味はないけれど中学の頃から名を轟かせ、キセキの世代と言われていたとか
高身長を生かしてどこまでも強いもんなぁ、等とわからない故に適当に思って時折試合を見たり練習を見たり(勿論監督が監督だから手伝いをしながら)面倒臭がりだけれど負けることはもっと嫌だって、すごく負けず嫌いだ
そんな彼の真面目な姿がとても好きで堪らないのに滅多に見れることがない
「んーナマエちんには真面目だよ?」
「そっ、そういうんじゃなくってさぁ」
「はい、あげる」
たった今咥えていたチェッパチャップスの大好物のチェリー味を口に入れられてしまえば学校だと言いながらもその甘さに酔いしれる
上を見れば何となく嬉しそうな敦くんがいる、身長差がこれだけあれば不便なことばかりで手を繋ぐのも、キスをするのも難しい身長の高い敦くんが座っている時くらいしか出来ず
しゃがむのはしんどい、自分は背伸びをしても無理だという結果、時折身長の高いほかの女子なんかを見て変な嫉妬をしてしまいそうにもなる
「ナマエちんは今日もちっこいねぇ」
朝の挨拶にそういって学校の玄関で頭を撫でられる、毎朝登校は別で入り口で挨拶
その大きな手が触れる度にドキドキとしていつかそれに殺されそうな気がしてしまう
「敦くんはおおきいね」
手を握り返すのが挨拶、身長が高ければ頭を撫でれるのかな?などと思う
いつも自分が小さいことにコンプレックスがありどうにかならないものかと思った、小さいと女子からも男子からもからかわれる、可愛いといえど小学生にすら抜かれる身長は流石に悲しい
「ナマエちんは大きくならないでね」
後から抱きしめる敦くんがそういった、私の部屋の中でお菓子パーティーをしながらテレビを見ていればいうから、どうしたのかと聞く前に力が込められる
「俺今のナマエちんでもずぅっと好きだから」
「…私もだよ、敦くんがビルよりおっきくなっても大好きだよ」
「それなら俺はナマエちんが小さくなって見つけるの難しくなっても探し続けるから」
ひょっこりと顔が見えて体を向かい合わせにする、サラサラの紫の綺麗な髪の毛を撫でていればほっぺたに大きな手が触れて唇をなぞる、合図だと思いながら近づく顔に目を閉じる
あぁ、ほんと幸せで溶けそうだ
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