パズ
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年がいくら20を越えたって中身は子供のままだ、大人に恋をした時点で負けなのだろう
事件を共に解決するたびにその男を知っていくナマエは自分がどれだけ子供なのかを理解し、深いため息をつく回数は少なくはない
何度違う香水のにおいをつけて帰ってきただろう
何度首筋に赤い後をつけ
何度あの唇についたルージュをとっていたしぐさを見ただろうか
恋人ではなかった、だから何も言わない
いまさら仲間がその女癖をやめろなど、誰も言うはずがないからだ
ナマエも勿論のこと、言わなかった
好きなのか憧れなのか、どうなのかわからない気持ちが大きかったから
「どうした」
「なんでも」
交わす言葉の数は少ない、隣で暇そうにタバコを吸う男の姿に見惚れることも多かった
特別とても若いわけではない、だが言うならば「いい男」である
声にしろ、顔にしろ、性格にしろ
冷たく、大人らしい男であるが故、女は惹かれるのだろうか
「熱っぽい視線を送るな」
「パズさんなんかには送らない」
「なら少佐になら送るか?」
「えぇ、いつも送ってるもの」
「...へぇ、それとは違う風におもったがな」
灰を落とした彼の仕草は手馴れていて、ナマエは持っていた紙コップコーヒーを口に含んだ
今は互いに任務の待機中なわけでもない、ただ互いに仕事の休憩である
ただ何もするわけでもなくパズの隣に##はいた
お互いに意識しているわけでなく任務のときと同じように一緒に隣にいて、少しの会話をしていくだけ、長い会話をしない、続けなくてもいいとおもっているから
「...今日は甘いね」
ナマエの言葉にパズは珍しそうな顔をした
「珍しいな、ナマエがそんな風にいうとは」
「なんとなく、いやなくらいにおうからいっただけ」
「そりゃあ悪いな」
「悪いと思うなら香水のにおいのきつくない女と寝ることが大事だとおもう」
小生意気にナマエはいったあとに後悔した
これでは完全に彼のプライベートに口を出して文句をいってしまっているではないか、女のことなど特に彼女自身が触れたくないことを触れてしまう
パズは少し楽しそうな顔をして##にいった
「嫉妬か」
「恋人でもなんでもないパズに?」
「あぁ」
「...ばっかみたい」
子供みたいな言い方であろうがナマエは言い返すことができなかったから、そういっただけだったパズに恋をした時点でいいことなどない
叶うはずはないのだから、ナマエはあきらめなどついていた
「子供はかわいげがないな」
その言葉にナマエはびくりと肩を揺らすが、すぐにほうっておいた
「素直にならない女は苦手だ」
「女になれてる男は苦手」
「ほぉ、口の達者なヤツは好きだぞ?」
「からかう人間は嫌い」
「からかってるとでも?」
パズは笑っていた、ナマエは座っていたが立ち上がり紙コップをゴミ箱に捨ててそのままパズの前を通り過ぎて帰ろうとしたが腕を引かれる
「まぁ、本気でほしいなんておもった女は子供みたいな女で素直にならないやつだからなぁ」
「私は逆に女遊びが得意でいつも香水が甘ったるくって私をからかってくる人よ」
ゆっくりと腕を引かれて、そのまま腰に手を回されるそして...となるはずだが、ナマエは口元を手で押さえた
「遊ばれるのはいや」
「言葉を言わなきゃだめなくらい子供なのか」
「子供を好きになった貴方が悪いもの」
得意げな顔で笑ったナマエはそっと手を下ろして、パズの首に手を回してくっついた
パズはゆっくりとナマエの耳に近づき笑った後に小さくささやきキスをした。
「愛してる、これで十分だろ」
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