サイトー
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パートナーとしてより確実により精密に、腕や足が取れても構わないどんなに苦しくても、この人たちのためならば
自分の魂(ゴースト)さえ消えてしまっても
「ナマエ」
低く落ち着いた声に目を覚ました、汗がベッタリと嫌に流れていて、夢見が悪かったのだろうと理解した
隣に座っていたサイトーは起きた彼女を確認しては何度も犬猫のように少しだけ乱暴に、けれども優しく撫でた
「任務は?」
「もう終わった、心配させたか」
銃のメンテナンスをする彼を見てそれ以外することはないのかと思えてしまう
だが彼にとっての腕や足のようなものだったその武器に文句は言えなかった
自分とて擬態部分のメンテナンスをするのと同じなのだから文句は言えないものだ
眠気は消えずまたベッドに横になる広いキングサイズのベッドはワンルームの部屋の半分近くは埋め尽くす
狭い部屋に安堵して広いベッドに心細くなる
サイトーの腕は伸びてきては髪をなでたり頬を撫でたり、触れては優しく離れていく
それでも目線は銃のまま器用な人だなんて思えてしまう
「サイトーさん」
「ん?」
「メンテナンスずっとしてますね」
「まぁな、暫く見てなかったのを思い出してな」
そういいながらこの仕事でよくパートナーとなる彼は普段緩めもしない口元を緩める
まるで幼子の相手とでも言いたいかのような言動は時折ムカツキを感じる
彼の煙草の香りや彼の僅かな体臭が鼻をくすぐる、その度に彼は人間に思えてそして、何よりも生きていると実感した
瀬名##は青い顔をしていた、悪夢に魘され悲鳴を上げる彼女はまるで拷問でも受けているように思えた、サイトーにとってナマエはパートナーだ
いくら、草薙素子少佐に頼まれた関係だとはいえ情が互いに湧いているのは確かである
「奥によってくれ」
武器を全てケースにしまい込み重たい腰を上げて汚れた手を冷たい水で流してしまう
布団の中で小さく蹲る未だ少女と言える娘の元に近づきベッドに入る、女特有の少し柔らかいシャンプーの匂いがした
腕を伸ばして小さな体を抱きしめれば猫のようにそれは胸元に擦り寄る
「冷たいよサイトーさん」
「我慢してくれ」
触れる素足がまるで氷のように冷たくなっていることにナマエは小さく文句を垂れる
けれど嫌な風に言わない彼女に気を許して、背中に腕を回して距離をずっと縮める、柔らかいが彼女の一部は兵器であるとサイトーは思えてしまう
綺麗な娘の顔をしていても殺人者のように殺し、何も感じぬ暗殺者のように冷静に必要ならば敵味方問わない
「温いな」
「ずっと寝てたから」
暖かな彼女の首元に顔を埋める、また香るシャンプーの匂いと混ざったコロンの甘い匂い
近づいた顔が重なり合い、パートナー以上になろうとしそうになる、甘い舌とタバコの味が混ざった接吻に目を閉じて感じるナマエを抱く手に力を込めた
「サイトー…さん?」
止まった彼に少しだけ驚いた、なにか自分はしたかと娘は思って彼の頬に触れれば彼は抱きしめる力を更に強めた
壊す気なのかと文句が出そうになるが何も言えず、彼を見つめた
「お前の悪夢は俺じゃあ拭えないんだろう」
そうつぶやくように行って少女とも言える彼女の頬を包んで重ねる
悪夢を見るのは何もナマエだけでなかった、サイトーの眠りは浅い、スナイパーはいつも戦場で孤独で冷静に撃ち殺す、アドレナリンが溢れて、嫌な汗が流れ落ちて、心臓の音が嫌に響く
そして誰もが死んでも一人だけ生き残る、なんとも愚かしいことかと恨んだ
「サイトーさん、ねぇ、こっちちゃんと見て」
まるで泣いているような、幼い少年のように怯えた顔をするサイトーは顔を手で覆い隠した
ナマエは彼を刺激せぬよう優しくいう、体を起こして彼の手に自身の手を重ねて、まるで優しい母のようにいう
手をどけて…優しくこちらを見てと
「俺は、俺じゃあ」
「ダメなんかじゃないから」
力強く顔を隠していたサイトーの手を掴んだナマエは自分の心臓部に手を置かせた
小さく動き音を立てる心臓、心地よく優しい落ち着くような鼓動、ゆっくりと目を開いて娘を見る、黒い髪に大きな瞳
「私、サイトーさんがいなきゃダメなの…だからダメなんかじゃないから、そうじゃなきゃ」
私、死んでしまうわ
眠る彼を見つめた
短い髪も無褒美に寝ている姿も全て自分のパートナーとして手足のように存在した
唇を重ねて静かにみつめる、彼の悪夢の原因は自分なんて何とも酷い話だと嘲笑い
彼の体に寄り添った
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