岸辺露伴










正直恋人というのは面倒な物だと認識していた
女っ気ない漫画家だと思われがちの僕にも恋人の1.2人…いやもっといた、そのどれもが名声や富に目をくらませた
それか僕のことをワーカーホリックだとかヒステリックに言い続けて一方的な価値観か。
だからここ数年はもう作ることはやめた…女ほど面倒な連中はいない
噂話が好きな口が止まらない雌という存在、どうも苦手だ
もちろんそんな女性ばかり出ないのは承知している、周りの女はそんな連中だから

特に


イヴァン


この女に関しては
彼女に出会ったのは半年ほど前か…承太郎さんが来る前に一度出会っていた
ドゥマゴでお茶をしていた時、ふと顔を上げた時その少女らしき存在を見つけスケッチをし始めた
挙げ句の果て追いかけ声をかけた


「ちょっと!そこの君待ってくれ」

横顔しか見れなかった彼女の顔を真正面で見た時、フランスで見た美しき人形のようにみえた。
丸く長いまつ毛の瞳に白い肌に小さな体
全てがまるで人形のような美しさに感じた、人で無い者に見えたのは間違いない

「少しの間時間をくれ」

そういって必死にいえば彼女は小さく頷き見ず知らずの他人の僕についてきて、公園のベンチに座った
無我夢中になって書けば彼女は眠りについていたが飽きるまでもなくスケッチした、そして漫画のアイディアを閃かせ続けていたが、ふと…その「作品」という彼女に触れたくなった
小さく人差し指で触れれば起きもせず彼女の頬をなで、唇に触れた
流石に僕も常識というルールは知っている、だが人間は好奇心に弱い、それに争う事はなく唇に指を触れさせた時だった

「終わった?」

開かれた瞳は見上げていう
背中がぞわりとするほど甘美な声に興奮したのはまるで変態のようだが否定しない
本当に彼女はそのとおりだったから、開かれた唇もサーモンピンクのような舌がちらりと見え、白い歯が規則正しく並んでいた、上から見下ろしているため見えた下の歯の第一大臼歯が尖っていたのが見えてまた興奮した気がした
この女に対して異常な目を向けてしまう自分に驚くと同時に
疑問と好奇心と…男の性が湧き出て爆発しそうになる。


「どこから来たんだ」

「目が覚めるとここにいた」

「夢みたいな話だ」

「夢だと言ったら」

「…」

その答えに喉まででかかった言葉を必死に飲み込んだ
夢なら禁忌なんてないということを。
普通ならそんな女、頭の弱いという一言で片付けることができたが、どうもそう思うことは出来ない


「…きっとあなたと、また会えるわ」

Addio……


さよならとイタリア語で行った彼女はすぐ見つけれなくなった
それが半年前…試しに1日だけ杜王町に戻ってきた時の話。
そこから三ヶ月後に矢に射抜かれ僕はスタンドに目覚めた…そして今彼女をみつけた
変わらない格好に変わらない美しさはこの町を別世界に誘い込む
名を聞くのも歳も何もかも知らない彼女を自宅に招き入れた
スタンド能力を試して気づいた彼女に驚きが隠せなかった…そしてまたいった

「私を読んで楽しい?」

あぁそのとおりだとも、こんなに変わった人間はいない
吸血鬼に究極生命体、スタンドの全てに…世界が一巡してしまうことも
名は##、僕はようやくそこで名前を知った、憎たらしい東方仗助達と今は一緒なのが憎らしい
書き換えてやろうとしたがそっといわれる

「貴方は自分の<本>に折り目をつけたり落書きするタイプ?」

自分が今スタンド攻撃を受けているというのにその冷静な声は僕を見抜くようにいう
思わず書こうとした手が止まりスタンドを解除してしまう
立ち上がった彼女は来た時に用意していたがもう温くなったセイロンティーに口を付けいう


「あなた悪い人じゃないわ…仗助はあなたが苦手だといっていたけど」

口角を上げて、彼女はそっと微笑んだ
その姿がまるでルーブルでみたミロのヴィーナスの如くの美しさであった。
それが僕らの出会いであり始まり
まるでこの話じゃあ、僕らは恋人になれたかのような話だが現実はそうじゃない
互いのお話友達だ、康一くんのような僕の一方的ではない、ちゃんとした僕の友人##
本能は彼女を穢したくて堪らないが僕にはまだそれは出来ない。
そして僕は東方仗助を憎みそうになるほどに気持ちが変わった

そんなやつの隣で笑う彼女が美しくまた僕はスケッチした彼女の微笑みを見て、まるで恋煩いの少女のような苦しいため息を吐いた。







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