クロロ=ルシルフル
身体は強くなかった、身体能力は高くない、ただ普通であったのに拾われたのはただ自分の能力だけが優れていたから
それ以外は何一つとして意味はない、旅団の中では一番弱く脆く、感情的にいつも泣いて誰もがリーリェだから、なんていうものだからそれに甘えた
だから旅団のリーダーである彼を好きなったのは仕方がなかった、クロロ=ルシルフルという名を知っただけで心地よかった
「そうか、別に構わない」
彼に声がでなくなったことを伝えると本から目を外すこともなく静かに告げるものだからそれ以上なにも伝えることはない
そもそも彼は恋心に気づいていたのだから、今更そんなことを言ったところで変わらない
「なにかいいたいのか?あぁ声が出ないんだな」
床に落とされたメモ帳とボールペンを見つめれば、クロロは「それに書いておけ」といった
能力は恋をしている間、能力値が伸びるそれは計り知れないほどの能力で無限にあふれるように体の奥底から力が出るのは何も悪いこともない、逆に彼らからしたら有難いほどなのだ、だから出て行けと言われない、繋がれるのは蜘蛛の足として生きているからだろう
特別だと思っては命取りになる、優しいシャルナークがいっていた「団長なんかに恋をしたって意味ないし、報われないよ」とリアリストなノブナガがいった「別の男にしとけ」と大人なパクノダがいった「若いから年上の男を好きになっただけよ」姉のように優しいマチがいった「団長はコレクション以外興味ないのくらいわかってたでしょ」
「-団長、私はあなたが好きです-」
その紙は地面に落ちては黒い自分の影の中に消えた、意味のないものだからと内心思っていたのがばれたのかそれはこの世界から亡くなった
古そうな本を手に、内容はわからずともその瞳が輝くのを見れば、本に負ける自分に価値はない、などと今更ながら思う、ずっといわなかったことが溢れたのか能力に現れるなどと思わなかった
「なぁリーリェ」
名前が呼ばれるだけで心臓が跳ねそうで、けれど彼から優しく甘い言葉など期待もできずに下を向けていた顔をあげてみれば、本から離されたまるで宇宙のように美しいその瞳と絡み合った、今この場で殺されても幸せの海の中に溺れそうだと思えた
「出ていけ、俺に姿を晒さないでくれ」
冷たい言葉でも構わなかった、彼に存在を認められているだけで彼のその書庫のような世界の中で一冊の本として存在してもらえるだけならば十分であった
声が出ないために返事もできず、また本を読み始めるクロロをみて小さく口を開いた
ごめんなさい
そういって、自分の影の中に消えた
この能力はいいものだった、いつでもどこでも影の中に潜むことができる、そうすれば彼の邪魔にもならずにずっと見てられた、気づかれてはいても目の前にいないだけでまだましに思えるのだろう、平凡な自分の能力にしては優れすぎたものだった
愛や恋に溢れた世界の波に溺れそうになる、黒いだけのその空間はまるでクロロに包まれるかのように心地よくてたまらない、そして悲しさに溢れそうになる
どうして彼を望んでしまうのか、はじめは見ているだけで幸せだったものは欲望が強くなり最後には今のように彼の心を望んでいる
けれど心をつかめば最後は何を望むのだろうか、愛のカタチは様々でその愛はなんだろうか、愛する人を食うのもそれはまた愛
愛 愛 愛 愛 愛 それは憎しみに変わっていくのに、心地よく
まるで麻薬の海の中で溺れていれば、トントンっとたたかれるような音を聞いてもう一度彼の元に現れれば、本を読み終えていたのかサイドテーブルには本が3冊おかれていた
「泣くほど俺が好きか」
クロロの言葉に頷いた、考えるたびに瞳からは涙が落ちていくのを黙って見つめた、ここで涙を拭いてくれるほど優しい人じゃないことくらい理解していた、こっちに来いとジェスチャーされて近づけば長い髪を撫でられる
それだけで心地がよくて、自分の身体の熱がまた上がったのがわかる熱は力となるのだからきっと彼は嬉しくなってくれるのだろう
「俺がお前を愛してるといえば、それで満足か?」
それに対して答えることができない、自分の欲の底のなさを理解していたせいで、きっと見透かされている最後に望むものは二人での死なのだと
死しても尚彼を望む呪いであればどうなるのか
「俺はお前を愛さない、だがお前のその感情を受け止めることはできる」
きっとそれでいいのだ、その言葉だけで満足で指先から熱はたまっていく
「それでも愛するか」
ずるいことをいうのだと思いながらもそれでよかった愛はきっといつまでも続くから、涙をどうにか押し込めて小さくうなずけば彼の優しい指が頬を撫でるだけだった
涙はまた一つ、地面に溶け込んでまた愛をさけんだ