−真夜中の邂逅 03−
あぁ、なんと言うことだろう。クィレルは悩んでいた。セスが悶々と思考にふけったようにクィレルもまた、頭を抱えて悩んでいた。

「……どこから聞かれていただろうか。」

ただでさえダンブルドアには目をつけられているのにそれに、加えてノーサンバランド家当主にまで?最悪としか言いようがない。子供とは言え甘く見れば痛い目を見るに決まっている。一体どうするべきか。ヴォルデモート卿が私と共にあることがバレれば一貫の終わりだ。そんな事が頭の中をぐるぐると駆け巡り、クィレルの思考をかき乱していく。

仕事など手に着くはずもなく、クィレルは目の前に積み上がったレポートの束を乱暴に机から落とした。こんなはずではなかったのだ。私に一体どうしろと?ヴォルデモート卿はクィレルではもうどうにもならないほどクィレルの魂に絡みついているし、主導権なんてクィレルには指先程度にしか残っていない。拒めば激痛に苛まれ、床をのたうちまわる事になるだけだ。

浅はかだった自分が嫌になって仕方がなかったが、すでにもう手遅れだと言う事実だけがクィレルに突きつけられていた。


コンコン、控えめに扉がノックされた。
「クィレル教授、いらっしゃいますか?」

聞き覚えのある声だ。クィレルは顔わ引きつらせながら答える。
「ど、どどうぞ。」

扉を開ければそこに居たのは小さなバケットを抱えて人懐こい笑みを浮かべるセス・ノーサンバランドだった。
「失礼します。あぁ、やっぱり顔色が良くないですね。夕食の席にも居なかったので心配になりまして。」

「す、すこし、た、体調がすぐれなくて。」

「何かお食べになりましたか?ハウスエルフに頼んですこし包んできましたから良かったらどうぞ。」

にこにこと笑うセス。クィレルは顔を引きつらせながらバケットを受けとった。中にはパンとサラダにスープ。ピンク色の可愛らしいゼリーが入っていて、ご丁寧に保温魔法がかけられている。

「あ、ありがとうノーサンバランドくん。」

警戒しすぎだったか?机を片付けてバスケットを置けばニコニコと人のいい笑みを浮かべるセスと目が合う。その手には闇の魔術に対する防衛術の教科書。

「そ、それは…?」

「あぁ、お気になさらず。体調が戻っているようでしたらいくつか質問があったのですが、まだ顔色も悪いようですし今日は日を改めます。」

「か、構いませんよ。だいぶ楽になりましたし。お、お茶でも入れましょう。」







「と、言うわけで宝石と魔法の組み合わせによる様々な効果が期待できるのではと思いまして。」
何冊かの本を開きながらここの記述ですと本に指を這わすセスにクィレルは深く頷いた。

「じ、実に面白い考えだと思います。この方法なら攻撃を受ける前に対処ができる。」

「でしょう!だいたい魔法使いは魔法に頼りすぎているとは思いませんか。何かあっても魔法でどうにかすると言う考え方が根付きすぎなんです。」

「と、いうと?」
元レイブンクローのさがだろう、セスの話に知的好奇心を刺激されたクィレルはどんどんと話にのめり込む。

「マグルの世界では予防という概念が根強い。何かが起きないように対策を立てる事で被害を抑えたり危険を回避する考え方です。そういう考えを我々も学ぶべきとそう思うのです。」

「……ノーサンバランドくんはマグルが嫌いなのでは?」




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