−真夜中の邂逅 04−
「何故?」
セスは首を傾げながらそう返した。クィレルは少し言葉にするのを躊躇ったがゆっくりと口を開いた。
それに被せるようにセスも口を開く。
「「マグル殺しの家だから。」」
セスはやっぱりと言うとクスクスと笑った。
先ほどまでも絶えず笑顔を浮かべていたが、今の笑顔はクィレルの背筋に冷や汗が噴き出すほど薄ら寒いナニかを感じる。クィレルは引きつり笑いを浮かべながら息を飲む。
あぁ、これがノーサンバランド家の当主。
漠然と感じた格の差は、言葉を発することすら忘れただ目の前のソレを見つめた。
「あまり怯えないでください。今はただの生徒ですよ。よく言われるんです、特に魔法族の人間に。僕は僕のやるべきことをやっているだけだし非魔法族と魔法族に差を感じたことなんてありません。」
「それでは……それでは、あなたの基準は一体……」
彼にとって魔族か否かは判断材料にならないと言うのなら一体何で判断しているのだろうか。独り言のように口から出た言葉にセスは簡単だと返した。
「家のことを抜きにするなら僕が好きか嫌いかです。僕はあなたのこと割と好きですよ先生。」
「あぁ、もうこんな時間。消灯前に帰らないと。遅くまでありがとうございましたクィレル先生。」
クィレルを好きだといったセスは、わざとらしく時計をみてそう言った。その表情に先ほどまでの不気味さはなく、穏やかな笑みを浮かべている。
「あ、あぁ、もうそんな時間ですか。ありがとう、ノーサンバランドくん。きょ、今日は助かりました。」
セスの言葉にどう言う意味だと聞こうとしていたクィレルは、完璧にタイミングを失い、その言葉を飲み込んで薄っぺらい感謝の言葉を口にした。
「いえいえ、お気になさらず僕が勝手にしたことですから。それと、セスで呼んで下さい。今の僕はただのセスですから。」
人懐こい笑みのセスにクィレルは分かりましたと返事を返す。一体どの彼が本物の彼がセスなのだろう。その疑問に答えが出ることはなくクィレルはセスが出ていった扉をただ見つめていた。
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