ながくながく尾をひいて



どれぐらいそうしていただろう。触れ合うだけだった唇は徐々に角度を変えて深く交わっていった。ナマエはうまく呼吸ができずにエルヴィンの胸を押すと少し離れて、やっと呼吸が整う頃にまた口付けられる。


「ぅ、…ん…っ」

「…だんだん慣れてきたな」

「っはぁ、…なんで…団長は、普通にしてられるんですか」

「普通じゃないよ。興奮してる」


ぐっと腰を押し付けられて固いものが腹に当たった。そういう意味じゃないと思いつつぎょっとして思わず体を引くとその分だけエルヴィンも追いかけてくる。


「ちょ、ちょっと…それ、やめてください…!」

「それと言うと?」

「お、押し付ける、の!」

「何を?」

「っ…!」


かっと顔が熱くなる。からかわれているのはわかっているが、悔しくて。唇を噛み苦し紛れにエルヴィンを睨むと彼は目を弓なりに細めて笑った。


「駄目だよ、ナマエ…そんな顔したら余計にそそられるだけだ」

「え、…んッ!?」


エルヴィンはぎゅう、とナマエを抱き締めると再び口付けた。先ほどまでとはまるで違い深く執拗に攻め立てられる。ナマエは苦しさのあまりエルヴィンの胸を叩くが彼はやめるどころか更に深く交わろうとする。


「んんッ…んぅ、…っ…ん、!」

「はぁ、っ…ナマエ…」


やっとエルヴィンが離れるとナマエの膝がかくりと崩れる。エルヴィンは難なく抱き留めくすくすと笑ってもう一度軽く触れるだけのキスをした。


「わかったかい?こうなるから、他の者の前で可愛い顔をしたら駄目だよ」

「こんなこと、誰もしませんよ…」

「そうかい?それなら良いけど」


エルヴィンは満足したように微笑んでナマエの頭をぽんぽんと撫でる。ナマエはエルヴィンから離れようとしたが腰が抜けてしまい彼にもたれていないと立っていられない状態だった。しばらく抱き締められていたがふとエルヴィンがナマエを抱き上げソファに移動した。


「ねぇ、ナマエ」

「…はい」

「さっきの質問なんだが、答えをくれるかい?」

「…さっきって、」

「どうしたら私を好きになる?」


言われてはっとした。そう言えばそんなことを聞かれていた気がする。
ナマエは正直、わからなかった。今までエルヴィンのことは団長としてしか見ていなかったのに、急に男として見ろと言われても困るのだ。もちろんエルヴィンは一人の男性としてもとても魅力的ではあると思うのだけど、あくまで一般論としてだ。けれど、ーー。


「…ナマエ?」

「あ、はい…」

「答えは出たかい?」

「……いえ、あの…わからなくて。でも、…」

「……でも?」

「キスは、…嫌じゃなかった……です」

「…そうか」


エルヴィンはふわりと優しく微笑んでナマエの頬を撫でた。ナマエはもう逃げることも出来たけれど、少しだけまだ立ち上がれないふりをしていた。