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固いパンと味の薄いスープ。それが調査兵団ではお決まりの食事だった。他の兵団より少ないとはいえそれなりの人数の食事を賄おうと思えば慢性的な資金不足を抱えるここではそれで精一杯なのだ。しかし今日は何かが違う。スープの味は相変わらず薄めであるが何故か旨い。パンも何時もより格段に柔らかだ。その違いには誰もが気づいていた。だからこそ、いつもはない行列が絶えず出来ている。


「今日はえらく賑わっているな」

「あ、エルヴィンおはよー」

「おはよう。あの列は何なんだ?」

「おかわりの列みたいだよ」

「おかわり?」

「うん。まぁ、エルヴィンも食べてみればわかるんじゃない?」


それ、とハンジがトレイを指差すとエルヴィンは促されるままスプーンでスープを掬う。見た目はいつもと変わらないが。そう思いながら口に運ぶと透き通る水色の目を瞬いた。


「うまいな…」

「だよねぇ」


エルヴィンはその視線を調理場へ向ける。そこには見覚えのない、まだ少女と呼べるほどの女の姿があった。そういえば先日そのような届けが出されていたような気がする。彼女が例の代打か、とエルヴィンはひとり納得した。


「腹が満たされれば何でもいいと思ってたけどさ、やっぱり美味しいと嬉しいよね」


ハンジはおかわりしてくる!と駆け出し未だに途切れない列の最後尾に並んだ。