母と姉

ポートマフィアと言えば、横濱の誰もが震え上がる。
其の組織で、私の面倒を看てくれるのは、真っ赤な髪を結った女性。
「新首領殿はよう童を拾ってくるのう」
「紅葉さん、君の所にはもう一人女の子が居たね」
「姉に丁度佳かろう。あやつも退屈しておってのう」
そのまま手を引かれ、新しい部屋に連れていかれた。私よりも少し大人びた女の子が居た。
「お前は今日から私の娘じゃ。母と呼んで構わぬ」
「……はい」
「そう怯えるでない。彩、お前の妹じゃ」
「えっ妹?」
その子が寄ってきた。何故か食べていたプリンを隠した。
「宜しく、お願いします」
部屋の案内をしてもらい、自分の寝台に腰かける。一緒に連れてきたお友だちを置いておく。
「そうだ、首領の処に居る男の子、近寄んない方が良いよ」
「何で?どんな子なの?」
「何時も包帯ぐるぐる巻きにしてるし、怪我だらけ」
「その子会ったことあるかも」
もしかしたらそうかもしれない。一度だけ診療所で会った子。
「えっ良く生きてたね?!」
「なんで?」
「だってあの子怖いじゃん…」
確かに躯は余りに細かったし、全てを見透かしそうな眼をしたと思ったら、年相応な眼に変わってたりと、奇妙だった。
「気を付けるね。ねえ、姉さんって呼んでもいい?」
「いいよ?名前は?」
「卯羅」
「よーし。何度も言うけど冷蔵庫のプリンは食べちゃ駄目だからね!」
そうして、プリンとトマトが大好きな姉さんとの生活が始まった。

前の話目次次の話