続き

何度も名前を呼びながら、求めあった。
欲を放り出し、求め合う。
「卯羅、平気かい?」
「おしゃ、ぁむ……しゃ……」
未だ、裸で抱き合う。頬を治さんの胸に擦り寄せる私と、私の髪を鋤くように撫でる彼。
それから無言だった。時折規則の変わる鼓動。
「その遊びやめて」
「卯羅……」
頭を抱えるように抱き締められる。鼻腔から彼の匂いが嫌と云うほど入ってくる。身体の芯近くで、彼の熱がまだ蠢き、火照っている。その熱がぶり返す度に眠気が押し寄せる。
「眠い?」
「なんか、格段に……」
そうか、とだけ呟いて、後頭部に当てられていた手が頬へ降りてくる。御所望のままに口付ける。再開するのか、という程に激しい。
「……っん、治さんどうしたの」
「ねえ、卯羅」
「なあに」
「この先も、私の伴侶として歩んでくれる?」
「何を今更」
急な質問に応えられなかった。苦しそうに、私の胸に顔を埋めようと、体勢を変える。蓬髪が顎を擽る。手は頬から腰へと回る。その感触に腰が跳ねた。私は蓬髪を撫でながら、彼の背に手を置く。
「愛してる」
胸の谷に感じる痛み。そのまま、その痛みは南下していく。
「まっ、て……」
終えたばかりの行為を思い出し、身体が本能に支配される。
「済まない、もう一度だけ」
謝られながら、雄の質量が押し入る。
さっきは見せてくれなかった彼の表情。下唇の厚みに煽られ、扇情的な声、表情。
「はぁ……っあ……おさ、だめ、な……か……っ!」
後頚から上腕にかけて爪を立ててしまう。その痛みに苦悶しているのか、眉間に皺を寄せながら、私の腰を掴んで最奥に欲を放つ。
「卯羅……」
頚を舐め上げるように口付けてくれる。腰が引き抜かれ、また隣に彼が寝転ぶ。
「事後薬、切れてるのに……」
中心へ、彼が流れ込む。これは、もう、確実だろう。
「ねえ、もし、私が消えたらどうする?」
「やめてよ。居て?」
「孕んだら、産んでくれる?」
「順番が逆」
愛してる、ときつく抱き締められる。近付いた上腕を見ると、少し血が滲んでいた。
「あのね、聞き流してくれても善い。近いうちに、また鼠達と抗争が起こる。その時君は、逃げてくれ」
えっ、と彼の顔を見上げる。細められた眼は笑っていなかった。
「姐さんを頼っても善い、君だけは生き延びて」
何を意図しているのか、解らなかった。「お腹の子も」と付け加えられた。
「絶対嫌、なんで、そんなこと……私は治さんと居たいの。ずっと、治さんと……」
「聞き分けの無い子だ……」
「無くていいもん……愛してる」
「『それだけを覚えていて』?」
私が何度も彼に言った言葉。
今度は私から口付けた。離したくない、絶対に手離したくない主人を、繋ぎ止めるように。


───翌朝、彼の姿は無く、彼の旧い友人から最悪の連絡が入った。

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