『Happy Anniversary With YOU』サンプル

結婚記念日のお祝いに治くんとお出かけ。何処行こうかな。
お風呂入る前に急に云われたの。湯船に浸かりながら、あれこれ考える。
治くんに訊いても、卯羅となら何処でも、って云うから決まらない。温泉も佳いけど、お部屋に備え付けの露天で一日過ごしちゃって、観光が出来ないんだよね、何時も。
だとしたら、今一緒に行きたいのは───
「治くん、今度のお休み、舞浜行こ?」書斎で仕事をしてる治くんに声をかけた。海外との取引もあって、お家でしてる方が楽なんだって。知ってるよ、たまに私を寝かしつけてから、仏語で会議してるの。
「佳いよ、ホテルは?」
「ランドホテル」
おいで、って手招きしてくれて、私は彼の脚の間に収まった。パソコンの画面には取引先の人かな、何人かの海外の人。その人達に、私を紹介するから、恥ずかしいけど“Hello”って手を振ってみた。
「Sorry, my sweet honey bunny wants to make plans for our short trip, so I'm going to take the next Wednesday to Thursday off.」
私の頭を撫でながら、治くんが流暢に云うの。海の向こうの人達は、口々に「楽しんでね」とか「善い旅行を!」って云ってくれる。
「さあ、これで休みは確保した。可愛いうさぎちゃんは何をして楽しみたいのかな?」
目的地の予約サイトを開いた治くんは、まずホテルを押さえてから、食事処の予約を始めた。
「あんね、治くん。そこからじゃなくて、此方のカレンダーからの方が楽だよ」
トラベルバッグと書かれたバナーを選ぶと、時間割式に予定が組めるの。そうすれば時間管理が楽だし、一目で予定が解る。
「どっち?」
「ランドがいい。ルアウ行きたい!」
「じゃあ、夜に行こう。朝食はパーク内で佳い?」
「うん!」
宿泊特権で早く入れるなら使わなくちゃ。パークで朝ごはんを買ってお部屋に戻ったって佳いんだから。
無事に予約を終え、あとはその日を待つだけ。
「楽しみだねぇ」
座ったまま抱き締められ、上からの口付けを受けながら、あと何かしたいことがあったなぁ、って考えた。
「治くん、バウンドコーデしたい」
「なあに、それ」
最近、常連さんの間で流行ってるの。好きなキャラクターみたいな格好で行くの。ミニーちゃんだったら、赤地に白の水玉ワンピースと黄色いハイヒール。白雪姫なら、青のトップスに黄色のスカートと赤いカチューシャ、とか。
どれやりたいかなって考えて、やっぱりオーロラ姫かなって。小さい頃から何度も映画を見て、幼稚園の御遊戯会は、私が眠り姫で治くんが王子様じゃないと嫌だって駄々捏ねたぐらいに大好き。
「お衣装は歓びの桃?それとも哀しみの青?」
「森で愛の歌を待つ農民の娘」
「なら私は、夢で会った王子様だね」治くんと暮らすようになってからも何回も見たから、彼も覚えちゃったみたい。たまに台詞を諳じて、王子様みたいに気取るの。
「服は私が揃えて佳い?」
「勿論。卯羅だけの王子様を作り上げてくれ」
却説、下準備は出来た。
あとは荷物を詰めて、何食べたいかと、何観たいか考えて、うふふ、まだまだ沢山考えなきゃ。
「愛しの眠り姫、そろそろ寝る時間ですよ」
端末を閉じた治くんがベッドに運んでくれる。おやすみなさいのキスは、起きたら隣に居てくれる御約束。

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