「忘れ物は無いかえ?」
「わんわん!」
お部屋から、わんわんを連れてきて、お靴を履く。
「卯羅や、わんわんではなく、ランドセルじゃ」
「いいの」
ママがランドセルを横に置いた。重いの。「うさぎちゃんも連れて行かなくて善いのか?」
ランドセルにつけたうさちゃん。一緒にランドセル背負ってるの。お気に入りなの。
「うさちゃんとわんわん」
「うさちゃんと揃いの鞄じゃ」
ランドセル背負って、わんわん抱っこ。
「いってきます!」
「これ、わんわんはお留守番じゃ」むーーーっ。「そろそろ詩音ちゃんらがくる時間であろ?」
「ねーえ、わんわん、いつつれてっていいの?」
「うらちゃーん!」
玄関の向こうからしのちゃんの元気な声がする。わんわんは……おするばん!ママとおするばんしててね。
ママがドアを開けてくれて、いってきまぁす。しのちゃんと、ドスくんと、おさむくん!しのちゃんのランドセルは水色。ドスくんとおさむくんは茶色。
「うら、今日は、なかない?」
「うーちゃんね、おさむくんとしのちゃんとドスくんいるから、がんばる」
学校に行くときは、しのちゃんと手つないで、帰りは、おさむくんと手つなぐの。
「ねこちゃん!しのちゃん、ねこちゃんだよ!」
「やだーねこちゃんけんかするもん」
ねこちゃん、行っちゃった。
「しのんは本当に、ねことあいしょうが悪いですね」
「ドスくんもにげられるじゃん!」
「おさむくんには、ねこちゃん、くるよ?」
学校に着いたら、まずなにすると思う?お靴を履き替えて、ランドセルの中身だすの。
「んしょ」
「うらはちいさいなあ」
「うらちゃん、だざいおさむ、ぺんしていいよ?」
お椅子に座ると、足がとどかないの。「きゅうしょくまだかな〜」
「しのんは気がはやいですね」
「だってきょう、あげパンだよ!」
しのちゃんのお話聞いてたら、おなか空いてきちゃった。
今日は、さいしょに、ずこう。そのあと、こくごとさんすう。それからきゅうしょく。
ずこうはね、四人でお席をくっつけて、するの。だから、ドスくんと、しのちゃんと、おさむくんと、いっしょ。
「ねんどつかうんだって!」
「しのちゃん、ねんどでなにつくるの?」
「ねずみさん!うらちゃんは?」
「うさぎさん!」
お手手にお水付けて、こねこね。
お耳ぴこんってして、お顔つくるの。
隣のお席から、ねんどを叩く音がして、びっくり。
「しのん、らんぼうですよ」
「たのしいよ!」
「しずかにおやんなさい」
ドスくんはお母さんみたいに、しのちゃんに云うの。「ドスくん、なにつくってるの?」
「りんごです。ぼくの国では、とてもだいじなものなんですよ」
「へー。まんまるなの?」
「そうです。まんまるです」
おさむくんはもくもくと何かつくってる。よくわかんないけど、ずっとこねこねしてる。
「おさむくんは?」
「ぼくも、うさぎ作る」
「だざいおさむ、うらちゃんのまねっこだー!」
「いいだろ、べつに。うらのうさぎがメスで、ぼくのがオス。ふーふなんだ」
「じゃあ、かわいくつくるね!」
いっしょうけんめい、ぺたぺた。
しのちゃんはもうすぐ完成。わたしも早くつくろっと。
「うらちゃん、やすみじかん、うさぎごやいこ!」
「いくー!」
学校の裏庭にうさぎさんのお家があるの。いつもしのちゃんと遊びに行って、だっこしたり、なでなでしてるの。
でもね、今日いったら、お兄さんたちがたくさんいて、遊べなかったの。
「うさぎさん、みせて!」
「今、俺達が遊んでるからだぁめ!」お耳引っ張ったりして、いじめてるの!「いじめちゃ、だめ!」
しのちゃんが、お兄さんを棒でたたいた。うーちゃんは、うさぎさんをどうくつに、こっちだよーってする。「うさぎさん、うーちゃんもいるからね、こあくないよ」
「よわいものいじめだ!うさぎさんいじめたから先生にいうかんな!」
「何だよ一年生かよ。大きいやつは何しても善いんだぞ!」
「生意気云ってんな!」
「なまいきなのは、どちらでしょうね」
「みっともないなあ。大きいのは、小さいのをまもるのがやくめだろうに」
どうくつから顔をだすと、おさむくんとドスくんが、お水をやるホースをお兄ちゃんたちにむけて、お水まきをしてた。「ドスくんやっちゃえー!」しのちゃんはノリノリで持ってる棒をふりまわしてる。
「お前たち!何しているんだ!」先生が気付いてかけてきた。
「あ、せんせい。ようぶんが足りないひとたちに、お水あげてた」
「すこしは脳みそにえいようがいくかと思いまして」
「太宰、ドストエフスキー、後で職員室に来い」
「はぁい」
お兄ちゃんたちは、ニヤニヤわらって、ざまあみろ、ってひどいこと云ってる。
「せ、せんせ!」よいしょっ。どうくつからでたら、うさちゃんたちがついてくる。
「尾崎どっから出てきだんだ?」
「おさむくんとね、ドスくん、わるくないよ?おさむくんとドスくんね、おにいちゃんたちが、うさちゃんいじめてるの、とめてくれたの」
「しのもみたよ!しのも、だめっていったけど、やめてくれなかった!わるいのは、おにいちゃんたち!」
「うそっていうと、うーちゃんここからでないもん。うさちゃんたちといるもん。おきょうしつもどんないもん」
「じゃあ、しのもーっ。うらちゃんもどんないなら、しのも、もどんなーい」
先生は、お兄ちゃんたちをじろっと見て「まずはお前たちからだな」ってつれてった。
「うら、がんばったね」
「しのんも、よくやりました」
「おたむくんこわかった〜ぁ」
「こんどは、しのがおみずまくね!」
おさむくんがなでなでしてくれる。うれしくてぎゅってする。
しのちゃんもドスくんにほめられて、うれしそう。
「うさちゃん、ほけんしついかなくて、へいき?」うさちゃんは、だいじょうぶだよ、ってお耳をうごかした。
「さて、ぼくたちのうさぎも完成させなきゃ」
「そうですね。もうやすみじかんが終わってしまいますから、もどりましょう」
四人でおててつないで。
四人でいれば、こわいことなんて、なにもないもん。うーちゃんがちっちゃくても、みんながたすけてくれるから。帰って、ママとわんわんにお話しするんだ。
「きゅうしょく、まだかなぁ」
「しのん、あと二時間がんばってください」