今日、治くんはドスくんとお出掛け。珍しいなって思ったけど、あの二人も何だかんだ仲良しさんだし、男の子だけでしたいこともあるだろうし。私も今日は詩音ちゃんと遊ぶの。その前に治くんに電話しよっ。
「もしもーし」
『やあ卯羅。寂しくなったの?』
後ろから、ゴォッて音と、マンドリンの音。
「治くん、何処に居るの?」
『何処に居ると思う?』
「狡い!なんで!何で置いていったの!」
『ごめんごめん。今度一緒に来よう?』
狡いんだ。狡いんだもん。なんでドスくんと行くの!良いもん、詩音ちゃんと甘いの沢山食べるもん。
「それで怒ってんの?」
「うん。怒ってるの」
「いいなぁ〜私も行ってみたい」
詩音ちゃんと私のお部屋でお菓子パーティー。いつもは治くんとドスくんの話で盛り上がるんだけど、今日は違うの。
「お土産買ってきてもらっちゃお」
何欲しいかなぁ。何回行っても、必ず欲しいのがあるの。
「ねえ、しのちゃん何欲しい?」
「何があるの?」
「んとね〜」
ぬいぐるみも、お菓子も、文房具も、なんでもある。そして全部可愛い。
私のスマホを覗き込む詩音ちゃんがうんうん唸る。
「うう〜どれが良いかな、どれも可愛いな」
「治くんたちが居る方だけで買えるのあるよ」
ベッドから、治くんが買ってくれたウサギのぬいぐるみを連れてくる。薄いラベンダー色で、お耳にお花の飾りを付けてるの。
「この子のお友達!クマちゃんと、ネコくんと、カメさんいるよ!あとわんちゃん」
「カメ!?」
カメに凄く食い付いて、可愛いなぁ可愛いなぁって。
「しのちゃん、治くんに電話してもいい?」
「え、あ、いいよ」
テレビ電話にして、治くんに掛ける。すぐに出てくれて、ドスくんも覗いてる。
「治くん欲しいの決まった!」
『何?』
「ルーちゃんの春のお洋服!」
『わかった。詩音ちゃんは?』
画面から外れようとしたドスくんを引っ張って詩音ちゃんと話させようとする治くん。私も詩音ちゃんに正面を譲った。
『こんにちは、詩音』
「あのね、お土産ね、カメさんが良いの……」
『はい?』
ドスくんが本当に驚いてる。珍しい。『カメ、ですか』
「卯羅ちゃんのウサギちゃんにね、カメさんのお友達がいるの」
『嗚呼、そっちですか。ぼくはてっきり、熱帯魚の方かと。ぬいぐるみで善いですか?』
「え……ストラップで、いい……」
遠慮した声で詩音ちゃんは云った。ドスくんはいつもみたいに、そうですか、と云って治くんに画面を譲った。
「卯羅、私たちが好きそうなの何か思いつく?」
「うーんとね……要塞に行って、探検してくれば善いと思う」
『解った』
じゃあねー、と通話を切ろうとしたら、詩音ちゃんがドスくんを呼んだ。ドスくんは優しく『どうしました?』
「あのね、ありがとう!」そう云って、勢いのまま通話を切った。お顔真っ赤。
「しのちゃん照れてる〜」
「照れてない!」
今度はね、四人で行くの。それでね、四人でカチューシャして、コインケース買って、私と詩音ちゃんはぬいぐるみ抱っこ。
「今から治くんたちの所、行っちゃう?」
「行かないからね?」