道端に花が咲いていた。
それが目の端に入って足を止める。嫌味なほどに真っ赤な花。
こんな花でさえ、堂々と生きて、愛でられる。
それなのに私は、何だ?
疎まれ、拒まれ。目を掛けてくれたのは、外の国から来た人。
「どうしたのです?」
手から潰された花が溢れる。頭目は私の手元を覗き込んで少しだけ、笑みを浮かべた。
「ぼくの国では、この国ほど色鮮やかな花は咲きません」
だから何だと云うんだ。私がこの場には相応しくないと云うのか。
「ですが、極寒の地でも咲ける花はあります。きちんと世話をすれば、どのような土地でも花は咲ける」
解りますね?と念を押される。
「きちんと使えるようになれば、貴女も可憐に咲くことができますよ。それに──」
ちらっと私の目を見て、言葉を切った。
「内緒です」
「何それ、狡い!」
「貴女がその覚悟が出来たら教えて差し上げましょう」
道端に花が咲いていた。
なんとなく立ち止まる。ごめんね、と謝って、茎を折った。
「太宰くん」
少し先を歩く彼に差し出した。
「何?」
「あげる」
「なんで?」
「綺麗だから」
それ以外に理由なんてない。花が綺麗で、彼にあげたかったから。
私の花なんかよりもずっと綺麗。
「貰っておくよ」
私から花を受け取ると、自分の髪に挿した。
「卯羅はもう少し自信持ちなよ。君の異能力は決して卑下するような物じゃないよ」
「なんで?」
「綺麗だから」
にやっと笑った。
その言葉と表情に呆気に取られた。けれど、可笑しくなって、笑ってしまった。
「綺麗な花には棘も毒もある、そうだろ?」
「その花は私?異能?」
「さあ、どちらだろうね」